駒澤大学 桑田駿介 選手

駒澤大学 桑田駿介

Mental
勝っても負けても、レースは次への原動力になる

───あなたの走りを支えるもの・ことは何ですか?

自分の好きなものにふれる時間をとると、リラックスできるしまた頑張ろうと思えます。よくないことがあったときも、切り替えてまた前向きな気持ちで練習に励める気がします。たとえば僕はディズニーが好きなので、モチベーションを上げたいときは『アナと雪の女王』などの音楽を聴きます。ディズニーランドに行くのも好きだし、そのほかだとぶらぶら散歩をしたり、温泉に浸かったりするのも癒されます。どこかに行く時間がないときは、YouTubeやNetflix、Disney₊などでいろんな動画を観るのも好きです。

もっとダイレクトに走ることを支えてくれる物事でいえば、食事でしょうか。レース前の勝負飯はうどん。レース後はあまり食欲がないことが多いため、フルーツやゼリーを入れることが多いです。


───走ることの原動力は何ですか?

正直僕は、「この理由のために走っている」とかはなくて、自分は走ることしかできないのかなって思っています。練習やレースでつらいときは「この練習をしたら強くなれるだろう」とか「勝って雪辱を果たしてやる」とか、終わったあとのことを考えてテンションを上げていますね。きつい練習が終わったときはすごくうれしいし、やりきった感がまた次へのモチベーションになります。とくに苦しいのはスピード練習。軽めのジョグや、ペースがそんなに速くないから修正が効く距離走と違って、いつも少し緊張しながらやっています。

でも、一番「今後も頑張っていこう」という気持ちになるのは、やっぱり試合のあと。いい結果が出せたときはもちろん、狙いどおりに走れなかったときでさえ、悔しさがバネになって「もっと練習に力を入れよう」と思え、それが原動力につながります。

駒澤大学 桑田駿介

Run
もっと速くなるために、くらいつく

───ナイキのシューズを履いて、あなたの走りはどう変わりましたか?

ジョグでは中学のときからペガサスやターボ、ライバルフライなどを履いていました。ロードシューズでよく覚えているのは、初期のアルファフライです。初めての厚底で、自分の足じゃないように軽かったし、ふわふわと気持ちよかった。でも、当時はミッドフット走法だったからうまく反発をもらえず、しばらくは薄底を履いていたときよりもレース後の足の張りや疲労感が強くなってしまいました。でも、ここで反発を活かせたらもっと前に進めるし、スピードが出しやすくなるはずだと思い、フォアフット走法に変更。少しずつ走り方に慣れると、前傾したいのに上に跳ねてしまっていた重心が安定し、前に蹴り出しやすくなったことで、終盤まで余裕を持ってレースを進められるようになったんです。


───そんなナイキのシューズとともに、最近乗り越えたことは何ですか?

この夏、志賀高原で行われた合宿での距離走はかなりきつかったですね。箱根駅伝に向けて長い距離に慣れることと、最後にペースを上げられるようにするための練習でした。一回目は最後の600mで離されてしまい、悔しくて、二回目は、ラストまでちゃんと付こうという気持ちが強かったぶん、最後までAチームと一緒に走りきることができました。ここで頑張れたからメンタル面でひとつ成長できたし、今後のレースでも、中盤のキツい場面で粘れるんじゃないかと思います。

駒澤大学 桑田駿介

Passion
心は燃やしたまま、視界が開ける瞬間

───走っていて熱くなれる瞬間はどんな時ですか?

やっぱりレース前です。アップが終わって招集されるくらいのタイミングは、緊張もするけど燃えていて、やってやるぞというモードになります。でも、いざ走り出したら熱はそのままにすっと冷静になって、緊張もしなくなる。だから周りも結構見えていて、ペースを切り替えたり、マークした選手の位置を確認したり、わりと落ち着いてやれているかなと思いますね。かつ、前を追うときは一人でもどんどん突っ込んでいける。周りからも、淡々と走るところが強みだと思ってもらえているんじゃないでしょうか。

これまでで一番納得感があったレースは、高校2年のときの都大路です。体が動くし、いいリズムに乗って走れている感じがしました。後半になってもよく動けたから、気持ち的にも余裕があって。そういう良い走りになるときは、適度な熱と緊張感を持って、いいイメージができているんですよね。


───チームのなかでともに熱くなれるメンバーや、ライバルは誰ですか?

最大のライバルは谷中晴です。監督からもよく比較されるのですが、練習、試合ともに強くて、負けたくない。ほかに意識しているのは、夏合宿くらいから一緒に練習する機会が増えた伊藤(蒼唯)さんや、全日本駅伝や出雲駅伝でチームの流れを変える走りを見せてくれた山川(拓馬)さん。それから篠原(倖太朗)さんは、海外合宿に行けた夏にそれを断って、チームを先頭で引っ張ってくれたんです。いつも周りを見て気にかけてくれて、本当に尊敬しています。篠原さんのように人柄がよくて慕われる選手になりたいし、自分もああいう気持ちの強さがほしいです。


───これから見てほしい自分の姿を教えてください。

箱根でしっかりと走り、“勝ちきって”いる自分の姿です。納得いく結果が出せた大学初の10000mを終えて、残すは箱根。距離も長いし、今年やってきたことが表れるレースだと思っています。目標は箱根だけじゃなかったけれど、高校までとは違って、日々の練習で距離走もしっかりやってきました。

それから、全日本駅伝では僕の走りでいろんなライバル校に差をつけられてしまったのに、チームのみんながその差を縮めて2位でゴールしてくれたんですよね。しかも、レース後にみんなが口々に声をかけてくれて。レースの面でも気持ちの面でも、本当に助けてもらいました。だから、そのお礼を返せるように、しっかり走りたいと思っています。

そのために足りないのは、レースの最後の勝負強さです。高校のときからずっと、レースの最後にペースが上がりきらなくて負けることが多いんですよね。これからは最後にしっかり上げられるように、400mのインターバルなら後半200mを速く走るなど、ポイント練習も頑張ってきました。最後に“勝ちきる”ことを意識して、一年間の集大成に臨みます。