バスケットからラグビーへの大転換その魅力を広げていきたい
流通経済大学附属柏高校ラグビー部で女子ラグビーに没頭する城遥花(しろはるか)さん。中学校の時はバスケットボールの強豪校に所属していたが、進路選択の際に一念発起し、
女子ラグビーをスタート。男子チームと合同練習をする中で、ワンチームの精神を感じ、仲間とのかけがえのない絆を得ているという。
将来は教職に就いて、ラグビーは男女ともに楽しめるスポーツであることを伝えていきたいと語る。
プロフィール
団体:流通経済大学附属柏高校ラグビー部
地域を代表し、世界に目を向け、地域社会、グローバル社会に貢献する高い志を持った人材育成を使命として活動。高校ラグビーの界の頂点を目指す男女混合部。
「自らの志に基づき主体的に取り組む姿勢を持ち」「教育の一環として高い倫理観を持ち」「絶対に諦めない。全力でやりきる」「『成功』への道のりを楽しむことができる」を求める4つの選手像に掲げる。https://ryukeirugby.com
アスリート:城遥花(しろはるか)さん
年齢:17歳高校2年生
所属:流通経済大学附属柏高校
在住:茨城
人生の最大の決断、ラグビーへの転向
中学校ではバスケットボール部に所属し、県大会で準優勝に輝いた城さん。弟の試合を見たことがきっかけでラグビーに興味を持ち、高校では一念発起してラグビーへと転向した。流通経済大学附属柏高校ラグビー部女子1期生として入部。「バスケットボールからラグビーに転向した決断は、自分の人生の中で一番大きいものでした」と城さんは振り返ります。
バスケットボールは身体接触がほとんどないスポーツなのに対し、ラグビーはタックルがメイン。自分から相手にあたりにいかなければ負けてしまうことは大きな違いだったと語ります。また、ラグビーの「ワンチーム」の精神の良さも感じていると言います。
「バスケットボールは個人技が光るスポーツです。一人で点数が取れるし、一人でディフェンスもできる。それが種目の魅力でもあると思います。一方で、ラグビーは15人でワンチーム。自分が失敗してしまうとチームに大きな迷惑をかけることになりますし、自分がよいプレーができたらチームへの貢献度も高くなります。こうした全員が力を合わせないといけないというラグビーの特徴に非常に惹かれました」
現在は、1・2年生の男子部員合わせて60人ほどがおり、女子メンバーは2年生が3人、1年生が1人所属しています。また、高校からラグビーを始めた女子メンバーは城さん1人だけ。男子チームの中で、練習する日々について城さんはこう語ります。
「中学時代は、ずっと女子の中でやってきたので、最初は男女混合の練習に抵抗がありました。しかし、今ではすっかり慣れましたね。自分が真剣に取り組まなければ相手の練習にもならず、迷惑をかけてしまいますから男女関係なく練習に励んでいます」
城さんは、現在、自分が起点になってアタックすることもあれば、だれかを使って味方を生かすプレーをしてトライを演出するセンターのポジションにつく。「高校にはラグビーをやると決めてきたので」と力強く語り、「自分を強く持つことと、相手の意見を聞くこと、両方を大切にして練習を重ねています」と熱意を口にしました。
強くなるための対話「チームトーク」の重要性
城さんは、仲間たちと行う「チームトーク」の重要性を強く感じているといいます。チームトークとは、様々な課題に関してチームメイトが率直に意見を出し合う対話の場。例えば、ミスが続いたときには、「なぜミスをしたのか」について多角的に話し合います。パスキャッチでミスが起きたとすると、パスが悪かったのか、キャッチする方が準備していなかったのかなど様々な原因が考えられ、それぞれの視点を出し合い、改善につなげます。ミスがなぜ起こったのかを話し合うことで、次に同じような失敗を起こさないようにする意図があるのです。
「多くの場合、ミスをしたその人だけが悪いわけではありません。チームで円陣を組み、様々な原因を語り合う。お互い思っていることを意思疎通できるようにならなければ強くはなれませんから、思ったことを率直に言い合います。それができるのが、理想のチームだと思います。つきつめていくと、最後には人間性こそが一番大事になる。だから、私は日頃からチームの全員と関係性を築けるようにしています」
ただ仲が良いというだけでなく、「練習は練習で、私生活は私生活と切り分けていることが重要だ」と城さんは言います。
「バスケットボールをしていた時は、誰かがミスをしても気まずくなり強く言えない雰囲気がありました。お互いがいがみ合ってしまうこともあり、どんどんミスに対して厳しく言えなくなっていったのです。今、一緒に練習をしている全国トップレベルの男子たちが、互いに厳しくし高め合っていける姿を見て、尊敬をしています。私もそんなチームをつくっていきたいです」
チームとして男女や学年を問わず、主体的に取り組む姿勢を持つ事を大切にしているので、私たちも率先してリーダーシップを発揮する、発揮できる環境です。
ラグビーの楽しさをもっと多くの人に知ってほしい
城さんは、「ラグビーはまだまだ認知度が低いと感じている」と言います。特に、ラグビーの練習について「『女子なのに男子の中に混ざっていてすごいね』と言われます。それは、女子のラグビーが痛そう、怖そうというイメージから男性が行う競技だと思われがちマイナーだからだと思います」と女子ラグビーへの問題意識を語ります。
「教職に就いてラグビーを教える立場になり、ラグビーは男女ともに夢中になれるスポーツだと伝えていきたい」と展望を語る城さん。ラグビーは自分のプレーがチームに大きな影響を与えます。そのため、チームメイト間の信頼がすごく大きなものとなる。城さんは、「痛いこともきついことも一緒に乗り越えてきたからこそ生まれる絆があります」とラグビーへの強い思いを口にします。自分を強くしてくれたラグビーとこれからも関わり続けたいと、城さんは改めて決意を語ってくれました。
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