エア フォース 1 パート 2
デザイン誕生まで
1983年のエア フォース 1を復刻させることになっても、ヒール部分に配したクラシックなNike Airロゴなど、詳細については何も明らかにされなかった。「こうした細かなディテールには何度も頭を悩まされた」とトリバーは語る。「このシューズは他のシューズと違う。それをみんなに認識させた最初のポイントが、ロゴだったと思うよ。世の中にたくさん出回っているAir Force 1 のデザインで、目に入るのはナイキ エア フューチュラのロゴばかりだったから」。
2014年末、エア フォース 1 レトロは中国をイメージした2種類のカラー展開で初登場。ホームバージョンとアウェーバージョンの「耐克」エディションに採用された赤白の色調は、もともと中国の若者が着ていたユニフォームから着想を得たデザインだった。北米などでリマスターエディションを発売する段階まで来て、チームはこのプロジェクトを振り出しに戻すべきだと考えた。
トリバーは説明する。「単なる『耐克』製品の延長として進めていたけど、原点に立ち返りたくなったんだ。それがホワイト/シルバーの#4190のシルエットだった。オリジナルのエア フォース 1なくして、エア フォース 1の原点とは言えないだろう?」
1983年の「スタイル#4190」は、エア フォース 1が文化的現象になった初期の日々を代表している。商品の売り切れが続き、消費者や販売業者から復刻を求める声が挙がっていた。特に強い要望を寄せたのが、メリーランド州ボルチモアにある販売業者3社だった。この3店が、Nikeにエア フォース 1を復活させようと働きかける。話が進むにつれてNike側も同意したが、初期の2つのカラーウェイで1,200足の販売を店側が約束するという条件を付けた。
結果的に、販売店はホワイト/ロイヤルブルーとホワイト/チョコレートブラウン1,200足すべてを即時完売。そして後に「Color of the Month」として定着する企画がスタートした。この企画が進むにつれて、新しいデザインやカラーが次々に登場することになる。歴史をたどれば、Air Force 1が多くの人々に支えられながら定番シューズのステータスを獲得していく過程を振り返ることができるだろう。
「誰もが復刻を願っていたシューズだ」とトリバーは言う。「エア フォース 1こそが、Nike Sportswearシューズの第1号だという人もいる。実際、販売終了後に復刻させた最初のシューズだったからね」。