エア テイルウィンド 79
デザイン誕生まで
Nike Airを搭載した初のシューズがエア マックス 1だと思っていたなら、それは誤解だ。Nike Airシリーズの最初のシューズは、1978年のマラソンシーズンにハワイでデビューを果たしたナイキ エア テイルウィンド。発売後、瞬く間に人気シューズのシリーズとなった。
誕生から40年が経った今、その革新的なクッショニング技術だけでなく、クラシックなシルエットはシンボルと化している。メッシュのアッパー、柔らかい足首の履き口、切りっぱなしのシュータン、フルレングスのNike Air、ワッフルアウトソールを備え、快適性、パフォーマンス、時代を超えたスタイルに求められるすべての要素をクリアしている。
ナイキ スポーツウェアのデザイナーたちは、Nikeのアーカイブ部門に協力を依頼。現代のシューズ製作プロセスを取り入れ、履く人に合わせてフィットする最新バージョンの開発に取り掛かった。最初の課題は、もはや稀少というレベルを超え、貴重な一足となったエア テイルウィンドのオリジナルバージョンを見つけること。「オリジナルバージョンの多くはとても貴重なため、値段のつけられない芸術作品のように、選ばれたスタッフのみが手袋をして取り扱うルールになっている」と、Nike Sportswearのプロダクトラインマネージャーを務めるローリー・フレーザーは説明する。
通常、デザイナーはオリジナルシューズに触れたり、分解したりできるもの。そうした自由な取り扱いが許されない今回のような状況でも、彼らはオリジナルの形状、カラー、素材、レトロな雰囲気を維持することに専念した。70年代の製品カタログにエア テイルウィンドをお揃いのトラックスーツやソックスと組み合わせて着用するランナーたちの姿が写っていたことから、チームはシューズの付属品として新しいソックスの制作にも着手。シューズとソックスは、いずれもブルーバージョンのオリジナルボックスに収められている。
「Nike Airには、アスリートのパフォーマンスを向上させるだけでなく、快適な履き心地を提供する目的があった」ローリーは説明する。「このシューズの本質は、ランナーや履く人に、これまで以上に走りを楽しんでもらうことにあるんだ」