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エア プレスト MID X ACRONYM®

デザイン誕生まで

2016年、「T-shirt for your feet」と呼ばれたシューズを大胆にアレンジし、スニーカーカルチャーに旋風を巻き起こしたアクロニウム x ナイキ エア プレスト MID。アクロニウムのエロルソン・ヒュー曰く 、当時すでに忘れ去られていたプレストのプロトタイプを見つけたことからコラボレーションは始まったという。ミッドカットのサンプルに目をつけると、彼とNikeLabのデザイナーたちは、新たな配色、デュアルジッパーを備えた履き口で「Acronymize」に着手した。

Behind The Design: Nike Air Presto Mid X Acronym ®

「機能性を重視し、アクロニウム特有のデザインや素材を駆使した脱構築主義的アプローチを取った」とエロルソンは話す。オリジナルのシューズが持つシンプルさを、より複雑なデザインに展開するには注意が必要だった。「プレストはほぼスリッパのようなシューズだ。ミッドカットバージョンを作ろうなんて考えが型破りだよ」と続ける。「通常、ミッドカットはサポート性と安定性を確保するスタイル。僕らはシューズのリラックス感はそのままに、機能性を追加したいと思っていたんだ」

Behind The Design: Nike Air Presto Mid X Acronym ®

最大のチャレンジはジッパー部分。素早く同時に引き上げられるものができるまで、何度も試作を繰り返した。シューズ全体のデザインは3時間で完成したものの、ジッパーの長さや角度、スライダーの種類を掛け合わせたテストは6回おこなった。こうして完成したのは、クリーンなシルエットをキープしながら、目を引くプルコードと、シューズ上まで伸びたジッパータブを備えた一足。ヒール部分に使用したレザー、3Dメッシュの履き口、前足部に配したスペーサーメッシュ素材でサポート性と通気性を強化している。

Behind The Design: Nike Air Presto Mid X Acronym ®

3種類の配色は、履く人一人ひとりのことを考えてオプションを用意するというアクロニウムの哲学から。ホットラバ/ボルトは最大光度、オリーブ/ブラック/ホワイトは汎用性を表現。バンブー/ブラックは、ブランドを象徴するツートーンスタイルであり、プレストにとって初となる、ミッドソール、ヒールケージ、アイステイを同色に揃えた配色だ。

Behind The Design: Nike Air Presto Mid X Acronym ®

そして、忘れてはならないのが、シューズのつま先近くに配したU型テープだ。筋肉のサポートや治癒を目的としたキネシオロジーテープをイメージしている。「このシューズはクールだし、僕ら自身満足していた」と当時を振り返るエロルソン。「でも、こんなに熱狂的な人気を得るとは思っていなかった。この種の先鋭的なアプローチにあれほど反響を受けるなんて興奮したよ」