
エア フォース 1
SNKRSの芸術
エア フォース 1のピボットポイントを、象徴的にとらえた均整美。伝説的な屋内コート用シューズのアウトソールに刻まれた円形パターンは、急な方向転換を可能にする機能性と、ひと目でわかる美しいスタイルを兼ね備えている。このシューズが1982年に登場すると、Airを搭載した高性能なライフスタイルシューズの時代がスタート。当時の革新は現代にも受け継がれている。このピボットポイントも、バスケットボールシューズとスニーカーの両方で定番のパターンとなった。エア フォース 1の画期的なスタイルと深遠な伝統を有機的に表現したのは、アムステルダムを拠点とする写真家でアートディレクターのヨースト。スニーカーが大好きな弟のおかげでカラーウェイに興味を持ち、代表作となるシンメトリカルなスニーカーの写真作品を制作した。
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「スニーカーを使って、何か新しい世界を撮りたかった。それに弟がNikeの大ファンなんだ。僕の目には、弟のシューズコレクションがただの色違いに見える。僕は自分が好きな色のシューズを選ぶからね。でも、弟が自分のコレクションのカラーウェイについて説明してくれたんだ」。弟のお気に入りスニーカーとスニーカー文化全般に興味を持ったヨーストは、スニーカーの本質を捉える新たな手段を模索し始める。有名なスニーカーには見えない抽象的なイメージを作成するため、ヨーストが最終的に採用したのはモーションブラー技術。軸点を中心に回転する、アイコニックなシューズの色彩をとらえた。

「僕にとって、弟のコレクションは、同じモデルの色違いシューズに過ぎなかった。ならばシューズであるという情報を消し去れば、シューズだと認識できなくなるんじゃないか。それとも色だけで何のシューズかわかるのか。そんな疑問から、モーションブラーのアイデアが浮かんだんだ」。ヨーストがこの発想を行動に移すと、アイコニックなスニーカーを使って作成されたモーションブラーグラフィックがすぐに見事な調和を見せる。ヨーストが採用した抽象化の手法は、Nikeの大人気スニーカーのカラーをシンボリックに強調。それぞれのシューズに、繊細で直感的な個性がプラスされた。

「撮影してみたら、うまくいったんだ」とヨーストは回想する。「みんなが色に注目して、シューズの特徴やカラーパレットに惹かれたという理由で写真を気に入ってくれた。瞳の色と同じように、シューズも色が個性の決め手になるんだ」。現代を代表する伝説のシューズに、斬新な方法でスポットライトを当てたヨースト。特殊なモーションブラーグラフィックを作成して、忘れがたいエア フォース 1のカラーウェイと共にピボットポイントの対称性を美しく印象付けている。
