かつてないスピードを発揮する現代のバスケットボールプレーヤーたち。ゲームは以前よりもはるかに速いペースで進み、体格よりもスキルが物を言う。スペースを生み出すことが何よりも重要になる時代だ。エア ズーム G.T. カットは、敵を引き離してゲームに影響を与えるスペースメーカーのためにデザインされた。Nike Basketballプロダクトマネージャーのニコール・チャウとNike Basketballデザイナーのブライアント・クルーグが、彼らの作業スペースで、この新しいシューズについて語ってくれる。デザインチームに画期的なシューズを生み出すためのヒントを与えたWNBAのポイントガード、サブリナ・イオネスクとの会話についても紹介する。

Nike Basketballのデザインチームは、シーズンごとに目標を設定し、プレーヤーが自分の力を最大限まで発揮するための商品開発に取り組んでいる。ゲームの進化に伴い、高性能バスケットボールシューズにもさまざまなニーズと課題に応えるためのアップデートが必要になる。「現代バスケットボールの特徴は、とにかく速いこと。ゲームが広範囲で展開されるため、プレーヤーには複数のポジションに対応できる力が求められます」と、ニコールは語る。「コンマ数秒が勝敗を左右するため、重視すべきポイントを変えて、アスリートが目的の場所により速く到達できる設計が必要だと気付きました」

エア ズーム G.T. カットは、ウィメンズ用高性能バスケットボールシューズに求められる要件に対処しながら、一般的なニーズにも応えている。ブライアントは、「スケッチをする前やシューズに構成要素を割り当てる前に、常にアスリートの意見を聞くようにしています」と語る。コート用シューズに求める要素について尋ねるため、チームはサブリナ・イオネスクと会い、話を聴いた。「彼女が話した内容というより、その表現の仕方にはっとしました」と、ニコールは振り返る。サブリナは、こう語ったという。「私は快適な履き心地を得るためにスピードを犠牲にしていて、自分にしっくりくるシューズが一足も見つからない」

ブライアント・クルーグ
Nike Basketballデザイナー

サブリナの抱える悩みに対処するため、チームには快適性と反発力を備えながらもスピードを追求したシステムの開発が必要になった。そこで登場したのが、フルレングスのReactドロップインソールと放射状のZoomストロベルという確かな力を発揮する2つのイノベーションだ。ニコールは、「この2つを組み合わせることで、アスリートに安定性、クッショニング、反発力を提供することができるのです」と説明する。

シューズは完成したが、その成果を実際のプレーで確認する必要があるため、チームはサブリナに完成品を送り、テストしてもらうことにした。「履いた瞬間から本当に快適でした。そしてすごく軽かった。それはまさに私がバスケットボールシューズに求めていたものでした」サブリナは語る。また、NBAのスター選手、デアーロン・フォックスにもシューズを送り、テストを依頼した。彼は「エア ズーム G.T. カットは、間違いなく僕の動き、スピード、カットに対応できるシューズだと感じた」とコメントする。問題を特定し、アスリートの意見に耳を傾け、製作過程で何か新しいものを発見した結果が、この予想外でユニークなシューズ、エア ズーム G.T. カットの誕生につながったのだ。