6つのヨガポーズで筋力を高める
スポーツ&アクティビティ
ヨガのポーズ(アーサナ)の中には筋力の向上を目標としている場合に特に効果を発揮するものがある。しかも、そうしたポーズはどのレベルのヨガプラクティスでも行うことができるものだ。
筋肉をつけ、筋力を高めることをフィットネスの目標にしている人は、おそらくウェイトルームやブートキャンプスタイルのドリル、またはミリタリースタイルのワークアウトでトレーニングすることを最初に思い浮かべるだろう。 筋力をつけるためのヨガ? 多くの人は、筋力とバランスのためにヨガを行い、その過程でマインドとボディへのさまざまなメリットも得ている。 さらに研究によると、ヨガは従来の筋力トレーニングと同様の効果を発揮しうるということが明らかになってきた。
筋力を高めるために最適な6つのヨガポーズ
ほとんどのヨガポーズは、柔軟性、バランス、筋力を同時に促進する。 しかし、一部のポーズ、つまりアーサナは、筋力の向上を目標としている場合に特に効果を発揮する。 以下に、ヨガプラクティスのどのレベルにあっても取り組むことができる、筋力増強に優れたポーズの例を挙げる。
1. プランクポーズ(パラカーサナ)
いまやプランクポーズは、コアトレーニングに欠かせないポーズだ。 腹筋(腹直筋、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋)、背筋(脊柱起立筋、僧帽筋、菱形筋)、臀筋、肩、胸の安定性と筋力を高めるのに適している。プランクを維持するためには、脚の筋肉も必要だ。このポーズでは、大腿四頭筋とふくらはぎも鍛えられる。
プランクポーズのやり方
- マットに膝を付いたポジションから始める。
- 手で這うようにして、手の位置を身体から離し、膝を床から浮かせる。頭からかかとまでが一直線になるようにする。
- マットから身体を浮かせたまま、30秒以上そのポーズを維持する。
- より簡単なやり方として、肘を90度に曲げ、前腕で身体を支える方法もある。
プロのチャレンジ:一段上のレベルへ進むなら、プランクポジションから左右のサイドプランクに移行してみよう。 腕を伸ばしたままのプランクポジションから、右手に体重を移動しながら、身体を回転させて身体全体を左側に向ける。 体重を右手と右足の外側に等しく分散する。 左手を、肩と一直線にして天井に向けて上げる。 このポーズを30秒以上維持する。 次に、左手をマットに戻し、基本のプランクポーズに戻る。 深呼吸を数回する間、ポーズを維持し、反対側でサイドプランクを繰り返す。
2. ガーランドポーズ(マラサナ)
この深いスクワットポーズは、背面と太ももの筋力を鍛えながら股関節の柔軟性を高める。 さらに、このポジションでは、足と足首の筋肉も鍛えられえる。
ガーランドポーズのやり方
- マウンテンポーズ(タダーサナ)から開始する。
- 足の幅を腰幅よりも少々広めにする。 脚を外側に向けて、つま先がマットのコーナーを向くようにする。
- 次に、腰を後方に突き出し、下げる。深いスクワットポジションになる際に、胸を落とさないようにする。
- 胸の前に合わせた手の平を持ってくる際に、前腕を膝の内側に入れ、肘で膝を開く。
- このポジションを、呼吸3〜5回以上する間保つ。
プロのチャレンジ:ヨガの経験がある場合は、この深いスクワットから、バランスにチャレンジするアーサナである、クローポーズ(バカーサナ)に移行する。 ガーランドポーズから、手を床につけ、体重を足から前方に移動しながら、手で身体を支える。 膝を前腕に押し付け、身体が浮き、足がマットから浮くまで、体重を手の上に移動し続ける。 つま先を揃え、このバランスポーズを呼吸3〜5回分維持する。
3. ウォリアー Iポーズ(ヴィーラバッドラーサナ I)
この基本的なアーサナは、上半身をストレッチしながら、下半身の筋肉(大腿四頭筋、ハムストリング、臀筋、脚の下部の筋肉、足首、足)を鍛える。 この立ったポーズでは、バランスを保つため、コア(腹部の筋肉や背面全体の筋肉を含む)も使う必要がある。
ウォリアーポーズのやり方
- まず、マットの上に立ってマウンテンポーズから始める。
- 息を吸い込み、腰幅よりも広く足を開いて立つ。
- 手の平を合わせて、手を空に向けて上げる。
- 脚を前後に開く。後ろ足を45度外に向け、つま先がマットの脇(長い辺)に向かうようにする。 前足をしっかり床につけ、つま先がマットの前(短い辺)に向かうようにする。
- 息を吐き、前脚の膝を90度曲げて、腰を前方に向けたままにし、脚を安定させる。
- 後ろ脚をまっすぐに保ち、後ろ足の外側がマットから離れないようにする。
- 胸をはり、視線を上の手に向ける。
- 数回呼吸する間そのポーズを維持してからリリースし、反対側で同じことを繰り返す。
プロのチャレンジ:ウォリアー Iの次は、安定性と筋力を強化するバランスポーズ、ウォリアー III(ヴィーラバッドラーサナ III)へと進もう。 ウォリアー Iから、徐々に体重を後ろ足から前足に移動し、上体を前方に傾ける。 上体を前方に倒しながら、腕を前方にまっすぐ伸ばし、後ろ脚は腕と一直線になるように、つま先まで後方に伸ばす。 膝を少々曲げた状態で、呼吸3〜5回する間このポーズを維持する。 ウォリアー Iを経てマウンテンポーズに戻る。 反対側も同じように繰り返す。
4. ドルフィンポーズ(カタースヴァナーサナ)
このポーズでは、身体を逆さまのV字にする。 肩、背中、コア、腕の筋肉を使って身体を安定させるように、チャレンジするポーズだ。 脚と足も使うため、全身を使っていることが感じられる。
ドルフィンポーズのやり方
- ドルフィンポーズは、ダウンドッグポジションから始めることができる。 または、マット上に手と膝をつけた状態(四つん這い)から開始してもよい。 まず、手首が肩の真下に、膝が股関節の真下にくるようにする。
- 肘をマットにつけ、上腕が耳の近くにくるようにする。 同時に、かかとを床に押しつけながら、腰を空に向かって上げる。
- 左右の腕と手の平を並行に保ち、肘をマットにつける。 または、手を組むこともできるが、いずれの場合でも、肘が肩の下にくるようにする。
プロのチャレンジ:ドルフィンポーズをマスターしたら、ドルフィンプッシュアップを追加しよう。 インバージョン(逆さま)ポーズのドルフィンポーズの状態で、手の平で床を押しながら、肘を伸ばして身体を持ち上げる。 腕を完全に伸ばした際に、腕は緊張していてもよいが、肘が「ロック」しないようにする。 コアを使い、脚を安定させ、かかとで床を押す。 ゆっくりと肘を下げてマットに戻し、ドルフィンポーズに戻る。これを繰り返す。
5. ブリッジポーズ(セツ バンダ サルヴァンガーサナ)
これは胸を開くポーズで、ブロックやボルスターなどの支えを使用すると、リストラティブヨガにもなるポーズだ。 支えを使用せずに行うと、腰周りの柔軟性を高めながら、臀筋やハムストリングを鍛えることができる。
ブリッジポーズのやり方
- 仰向けになり、膝を曲げ、足裏をマットにつける。
- 手の平を開いた状態でマットにつけ、腕を身体の脇においてリラックスさせる。
- ポーズの間を通じて視線は天井に向け、首をリラックスさせたままにする。
- かかとで床を押し、背骨を床から浮かせて、身体を弓のように曲げる。
- 尾骨をまず最初に上げ、次に背骨の中心を上げ、最後に背骨の上部を上げる。
- 身体の下で肩甲骨を内側に引き寄せ、手を組む。
- 呼吸を通常どおりに行い、30秒ポーズを維持する。
プロのチャレンジ:ヨガの経験がある程度ある場合には、ブリッジポーズを、車輪のポーズまたは上向きの弓のポーズ(ウルドゥヴァダヌラーサナ)にする。 ヨガを行う人の中には、ブリッジから車輪に直接移行する人もいるが、マットに仰向けになったリラックスしたポジションから開始することもできる。 身体にかかとを近づける。 肘を曲げて上げ、両手を肩幅に開いて頭の両サイドに置いて、指先を肩に向ける。 両脚と両手で床を押し、肩と腰を床から浮かせて、身体を持ち上げる。 身体が、「U」字を逆さまにした状態になる。コアを使い、胸を開いて、脚を並行に保つ。 ポーズをリリースするには、ゆっくりと身体を床に下ろす。
6. チェアポーズ(ウトゥカターサナ)
チェアポーズでは全身をアクティブに働かせる。 このポーズは、大腿四頭筋、ハムストリング、ふくらはぎ、コア、背中、肩を鍛える。 ポーズを維持するには、精神集中と、忍耐力が必要とされる。
チェアポーズのやり方
- 足を腰幅に開き、立ったポジション(マウンテンまたはタダーサナ)から開始する。
- 息を吸い込みながら、手の平を内側に向けたまま、両手を空に向けて上げる。
- 次に、息を吐き、膝を曲げる。腰を後方に出して、下げる。 左右の脚を並行に保つ。 上体は少々前方に傾斜するが、胸を開き、腕を力強くまっすぐに伸ばしたままにする。
- このポーズを、呼吸を3〜5回する間維持する。 チェアポーズに慣れてきたら、脚を閉じた状態から始め、ポーズの間左右の太ももをくっつけた状態を保つようにする。
プロのチャレンジ:このポーズのバリエーションに、安定性と背すじを鍛えられるリボルブドチェアのポーズがある。 チェアポーズから始め、合掌をしてプレイヤーポジションをとる。 手の平同士を押し付け合いながら、左方向へ上体をねじる。右肘を、左脚の外側部分で支える。 膝は曲げたままにする。 このポーズを、呼吸を3〜5回する間維持し、反対側で繰り返す。
ヨガと従来の筋力トレーニング
ヨガは、どんなフィットネスレベルの人にも健康上のメリットをもたらす。 ヨガは、ストレスを緩和し、姿勢を良くし、また精神的および感情的な健康を向上させるのに役立つ。 さらにヨガは、睡眠の質を向上させ、腰の痛みを軽減し、更年期の女性が関連症状に対処するうえでも役立つ。ヨガは、明らかなフィットネス上のメリットをもたらすことでも知られている。 定期的にヨガを行うと、安定性、柔軟性、固有受容感覚(空間における自分の身体の位置を知る感覚)、そして筋力を向上させることができる。
ならば、ヨガは従来の筋力トレーニングよりも優れているのだろうか? その答えは、フィットネスの目標によって異なる。 ヨガには特別な器具は必要なく、ほぼどこでも練習でき、ローコストで、あらゆる経験レベルに合わせてやり方を変更できる。
その一方、従来の筋力トレーニングには通常、ある程度のコストがかかる。 ジムの会員になるか、またはダンベル、バーベル、ウェイトプレート、その他のツールなどの器具を購入する必要がある。 高度なウェイトトレーニングには、ある程度の経験が必要であり、高重量のリフティングにはスポッター(補助役)が必要なことさえある。
目標が多量の筋肉を増やすこと(筋肥大)や、パワーリフティングのようなアクティビティに参加することである場合にもヨガのメリットはあるが、 最適な筋肉量を獲得するにはジムでのトレーニングを続けた方が良いだろう。 ジムでは、抵抗がかかる器具を使用して、プルとプッシュ両方の練習ができる。
一方、ランナー、サイクリスト、水泳選手をはじめとするアスリートは、ヨガをトレーニングに組み込むことによって機能的強度および安定性の向上というメリットを得られる。 ヨガにおける筋肉収縮はアイソメトリックである傾向があるが、ポーズでは、一定のポジションでバランスをとり、そのポジションを保つ必要があるため、集中力と身体能力の両方が鍛えられるのだ。
ヨガのルーチンを作る
筋力をつけるアーサナを中心に練習を行う際には、それらをヨガフローとして組み立てることを検討しよう。研究によると、太陽礼拝フローは、筋力、身体組成、身体の全体的耐久力に効果があることが分かっている。 各ポーズにおいて多くの筋肉グループの収縮を同時に維持することが必要とされるため、このフローがレジスタンストレーニングに匹敵する効果を発揮することが研究で明らかになってきた。
ヨガのクラスをとり、フローシーケンスを学ぶことを検討しよう。 ロープランク(チャトランガダンダーサナ)、アップドッグ(ウールドゥヴァムカシュヴァーナーサナ)、ダウンドッグ(アドームカシュヴァナアーサナ)などの、新しい筋力強化ヨガポーズの取り入れ方を学ぶことができる。 自分にさらにチャレンジして、三角倒立や逆立ちなど、インバージョン(逆さ)のポーズで筋力を高めるインスピレーションが得られるかもしれない。 認定を受けたヨガインストラクターに相談し、正しいフォームやシーケンスのガイダンスを得よう。