腰の痛み緩和に役立つ5つのヨガポーズ
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ヨガポーズの中には、腰痛緩和の効果が高いものがある。 この5つのポーズを試してみてほしい。
腰痛は多くの人に共通する悩みだ。 複数の研究者の推定によると、腰部に何らかの痛みがあると訴えるアメリカ人は6,500万人に上り、持続的または慢性的な腰部の痛みによって日常活動が制限されていると訴える大人は1,600万に上る。 米国では、腰痛は受診理由の第5位となっている。
腰部の筋肉は非常に多くの日常動作にかかわっているため、腰痛の及ぼす影響は大きい。 残念ながら、身体を動かしているからといって、それで身体を守れるとは限らない。 アスリートは一般の人々よりも腰痛になりやすいのかどうかは判然としないが、腰痛は「アスリートによく見られる痛み」であると研究者は結論付けている。
腰痛の標準的な治療法には、理学療法、温熱パッド、冷却スプレー、鎮痛剤などがあるが、 ヨガにも腰痛緩和の効果が見込めることが複数の研究で明らかになっている。
腰痛に効き目のあるポーズは?
ヨガポーズの中には、腰痛緩和の効果が高いものがある。 脊椎と首を専門とする整形外科医であるラーフル・シャー博士は、腰の柔軟性と体幹の安定性を高めるヨガポーズを選ぶように勧める。 目指すのは、筋肉を「整えて」、どのような動きをしているときも頭を楽に骨盤の上に乗せた姿勢を保つことだと博士は言う。
こうしたポーズ、つまりアーサナをすることで、可動性を向上させ、背中と腰の筋肉をリラックスさせて、痛みを和らげることができる。 ただし、実際にこうしたポーズを行う際には常に痛みを指標とする必要がある。 ある姿勢が症状の悪化につながるようなら、その姿勢はとらないようにしよう。 また、腰痛が慢性化している場合は、医療機関に相談して、最適な治療法について個別にアドバイスを受ける必要がある。
1. 猫と牛(キャットカウ)のポーズ(マージャラアーサナ/ビダーラアーサナ)
このポーズをすると、背中の上部から中央部、腰部だけでなく、尾骨や臀部に至るまで、背すじ全体の緊張を和らげることができる。 また、姿勢に対する意識を高めて、一日中背すじを伸ばしていられるようになる。
方法:両手と両膝をマットに付けたテーブルトップポジションから始める。 両手を肩の真下に、両膝を腰の下に置く。 足の甲をマットに付け、足を完全にリラックスさせる。 頭頂部から尾骨まで、背すじ全体を一直線に伸ばす。 そして息を吸いながら、カウポーズに移っていく。 お腹を床の方に下げるのと同時に、頭頂部と尾骨の先を上に持ち上げる。 背骨を伸ばす。 息を吐きながらキャットポーズに移る。 ヘソを背骨に向かって引き上げるようにして、背中をCの字に反らす。 動かせる範囲内でキャットポーズとカウポーズを繰り返す。
プロのヒント:このポーズをする間は、肩をリラックスさせて耳から離した状態を保つこと。 カウポーズに移るときはアゴを下げるが、胸に付けないように注意しよう。
2. ダウンドッグ(アドームカシュヴァーナーサナ)
「ダウンドッグ」または「ダウンワードドッグ」とも呼ばれるこのマイルドな逆転ポーズをすることで、腰とハムストリングを伸ばし、上半身を強化できる。 上半身の関節に問題がある人が逆転ポーズをすると、トラブルにつながる可能性があるので、注意してほしい。 ダウンドッグで関節に痛みが生じた場合は、このポーズを省いて、腰痛に効く別のヨガポーズに移ろう。
方法:テーブルトップポジションから始める。 手の指を広げて、息を吐きながら床を押し、つま先を立て、膝をマットから持ち上げていく。 両脚を伸ばしながら、身体を逆V字にしていく。 踵をマットに押し付けながら、腰を上に伸ばしていくことを意識する。 両腕と両脚は真っすぐに伸ばすが、関節をロックしないようにする。
プロのヒント:両手と両足に体重を均等に掛けるようにしよう。 手のひら全体に力を掛けて、手のひらとすべての指で床を押すようにする。
3. スパイナルツイスト(スプタマツエンドラーサナ)
この仰向けの姿勢でひねるポーズは、ヨガセッションの最後によく行われるが、胸を開いて脊椎の可動性を向上させるために一日中いつでも行える。 ひねりを伴う動きをするときは、関節を過度に動かさないように、ゆっくりとコントロールしながら行う必要があるとシャー博士はアドバイスする。 こうすることで、身体を傷める危険性を最小限に抑えられる。
方法:マットの上に寝て、両腕を広げたTの字の姿勢から始める。 両膝を曲げて、足の裏を床に付ける。 右脚を伸ばす。 次に、左膝を約90度に曲げた状態で、左脚を右側に倒していく。 左脚をリラックスさせて床に置き、右手を右膝の外側に置く。 呼吸し、30秒間休んで、反対側で同じことを繰り返す。
プロのヒント:胸を開き、両肩をマットに付けたまま下半身をひねり、臀部、外側の臀筋、腰全体を伸ばす。
4. ハーフロードオブザフィッシュ(アルダマツエンドラーサナ)
このハーフロードポーズは、座った姿勢で脊椎をひねって上半身を伸ばし、回転させて、よりよい姿勢に持って行くことで緊張を和らげるポーズだ。 熱心なヨガ愛好家の中には、このポーズをすることで、消化機能が向上すると言う人もいる。 この高度なひねりのポーズをする前に、スパイナルツイストを楽にできるようにしておく必要がある。
方法:マットの上に座り、両脚を伸ばした姿勢から始める。 右脚を曲げて引き寄せ、右足を左臀部の外側に持ってくる。 左膝を曲げて、左足を右膝の外側に置く。 右手を右臀部の脇の床に置く。 息を吐きながら上半身を右にひねり、左脚から遠ざけていく。 肩をリラックスさせて、胸を開き、背すじを伸ばす。 視線は、身体を回転させる方向に向ける。 左肘を90度に曲げて、上腕の外側を左膝の内側に付け、手のひらを開く。 呼吸し、リラックスした状態で30秒間、またはできる限り長くひねる。 元の姿勢に戻り、反対側で同じ動作を繰り返す。
プロのヒント:このポーズをやりやすくするために、道具を使ってもよい。 補助枕か畳んだ毛布の上に座って、臀部を開き、背骨の底部で大きくひねることができる環境を整えよう。
5. チャイルドポーズ(バラーサナ)
このシンプルな前屈のポーズは、ストレスを発散させ、腰、臀部、太ももの筋肉をリラックスさせるのに最適だ。
方法:正座をし、両膝とつま先をそろえた姿勢から始める。 息を吐きながら、上半身と両肩を床の方に下ろしていき、両腕を頭の上に伸ばし、手のひらをマットに付ける。 額をマットに付ける。 必要なだけこのポーズを続ける。
プロのヒント:両膝をそろえられない場合は、両膝を離して、身体を脚の間に入れてマットに寄せてもよい。 また、両腕を身体の脇にたらし、手のひらを上に向けてもかまわない。
腰に効くその他のヨガポーズ
ヨガポーズには可動性と筋力を向上させて、背中側をより健康的にすることができるものがある。 臀部と体幹の筋肉を鍛えることで、姿勢がよくなり、痛みを軽減させることができるとシャー博士は言う。 ただし、正しく行わないと、腰痛が悪化する可能性がある。 そのため、こうしたアーサナを初めてやるときは、適切なフォームをとれるように、ヨガインストラクターと一緒にやるか、ヨガクラスを受講することを検討してほしい。
- ローカストポーズ(シャラバアーサナ)は、マットにうつ伏せになって行う入門レベルのポーズだ。 両腕を太ももの脇に置き、頭頂部とつま先を反対方向に伸ばす。 背中をひどく痛めている人にはお勧めできないが、胴体と脚の背面を鍛えることができる。
- コブラポーズ(ブジャンガアーサナ)は、胸を開くアーサナだ。このポーズもうつ伏せの姿勢から始める。 ただしこのポーズでは、両手を肩の下に置いて胴体を押し上げ、コブラのような姿勢をつくる。 このポーズをすることで腰痛を和らげられるが、胸を引き上げるときに背中をしならせすぎないことが極めて重要だ。
- トライアングルポーズ(トリコナーサナ)は、背すじを伸ばし、強化するこの体勢が三角形に見えることから名付けられている。 このポーズでは、まず足を広げ、できる限り背すじを伸ばして胸を広げたまま上半身を傾けていく。 腰痛を悪化させないように、身体を前ではなく横向きに曲げることが重要だ。 このポーズをすると、臀部の柔軟性と筋力も向上し、腰痛の予防に役立つ。
- エクステンディドトライアングルポーズ(ウッティタトリコナーサナ)は、トライアングルポーズにさらに深く手を伸ばす動作と上を見つめる動作を加えて、さらに深くしたポーズだ。
腰痛があるときに避けた方がよいヨガポーズ
反対に、腰痛がある場合に避けたいヨガポーズもいくつかある。 後屈を伴うアーサナは、トラブルにつながる可能性がある。 たとえば、ラクダのポーズやフルホイールは、腰痛を悪化させる可能性がある。
不快感が増すようなポーズは、痛みが和らぐまで避ける必要がある。 シャー博士は言う。「一般的に、ヨガポーズは、姿勢を改善して腰痛を和らげる出発点として有効だ。しかし、いずれにせよ、腰痛の根本原因を特定することが重要だ」
博士はまた、腰痛が1~2週間以上続く場合、痛む頻度が増え始めた場合、また痛みが身体の他の部分に広がっている場合は、医療機関に相談することを勧めている。 腰痛に限らず、身体を強く健康な状態に保つには、身体の声に耳を傾け、身体のニーズを最優先にする必要がある。