ヨガは有酸素運動なのか筋力トレーニングなのか?
健康とウェルネス
ヨガに取り組むと、体力がつき、気持ちが穏やかになり、心血管系の健康に関する数値を改善することができる。 しかし、ヨガから得られるメリットは、プラクティスの種類と、行い方によって大きく変わってくる。
私たちはエクササイズを、つい筋力トレーニングか有酸素運動かにカテゴリー分けしがちだ。しかし、日々の生活で起きることのように、いつだって白と黒にはっきり分けられる訳ではない。 特定のエクササイズの中には、筋力トレーニングと有酸素運動が組み合わせられているものもあれば、取り組み方を変えることでそれぞれのカテゴリーの効果を得られるものもある。 ヨガはその最たる例だ。
ヨガとは、さまざまな種類やプラクティスの方法を含む包括的な言葉だ。 ヨガのクラスでは、講師が一連のポーズや呼吸法を指導してくれる。 また、クラスではヨガのワークアウトウェアを着る。加えて、ヨガマットのような基本的なヨガ用品が必要となる場合もある。 ヨガというエクササイズを有酸素運動と見なすのか、筋力トレーニングと見なすのかに影響するのは、ポーズへの取り組み方だ。
ヨガプラクティスの種類
1.ハタヨガ
ハタヨガは、30秒間から数分間ほどポーズまたは姿勢(アーサナ)をホールドすることに重点を置いたヨガ。 ハタヨガのポーズは、呼吸法(プラナヤマ)と共に実践する。
2.アシュタンガヨガ
アシュタンガヨガのクラス中は、6つの決まったアーサナのセットを呼吸法と連動させながら続けて行う。 このクラスは早いペースで進んでいく。
3.ビクラムヨガ
ビクラムヨガには、26のポーズと2つの呼吸法がある。約40℃に暖められた部屋で取り組む。
4.ヴィンヤサヨガ
アシュタンガヨガと同じく、止まることなく、ポーズを流れるように連続で行い、呼吸と動きを一体化させる。
5.クンダリーニヨガ
クンダリーニヨガでは、チャンティング、歌、瞑想を行う。 このエクササイズでは、動きに合わせて精神的なエネルギーを活性化させる。
6.リストラティブヨガ
リストラティブヨガは、主に心と体のつながりに焦点を置いており、元気の回復を実感させてくれる。 リストラティブヨガで講師が指導するのは数ポーズのみで、深く呼吸しながらポーズを練習し、長いときは20分間ポーズをホールドする。
7.陰ヨガ
陰ヨガはリストラティブヨガに似ているが、こちらはポーズの維持時間を長めにとることで副交感神経に働きかけることを重視している。
8.ホットヨガ
高温に設定された室内で行う、あらゆる種類のヨガ。 ホットヨガで最も一般的なのは、アシュタンガまたはヴィンヤサのクラスだろう。
ヨガは有酸素運動なのか筋力トレーニングなのか?
ここでは、ヨガのスタイルを目的と共にまとめて紹介しよう。 これは、プラクティスの行い方や、強度のレベルによっても変わってくる。 ここでは、一般的に知られている各ヨガの種類の効果を紹介する。
ハタヨガ=筋力トレーニング
アシュタンガヨガ=筋力トレーニングと有酸素運動
ビクラムヨガ=筋力トレーニング
ヴィンヤサヨガ=筋力トレーニングと有酸素運動
クンダリーニヨガ=筋力トレーニングとリラクゼーション
リストラティブヨガ=リラクゼーション
陰ヨガ=リラクゼーションと可動性
ホットヨガ=筋力トレーニングと有酸素運動
筋力トレーニングと有酸素運動の違いとはなにか?
極めて簡潔に言うと、有酸素運動は心血管系の健康を向上させるものだ。 心血管系の健康は、身体活動中に、心臓がどのくらい効率的に酸素や栄養素を運ぶことができるかの目安となる。
心臓に負担をかける運動とは、通常、有酸素運動のこと。心拍数が上昇し、グルコースを細胞のエネルギーに変えるために体が酸素を使用する。 また、高強度のアクティビティに取り組み、酸素を使用せずにエネルギーを作り出しているような場合は、無酸素運動にもなり得る。
エクササイズとしての有酸素運動の主なメリットには、以下が挙げられる。
- 心臓の健康の向上
- 肺活量の増加
- 病気のリスクの低減
- 持久力の強化
筋力トレーニングでは、抵抗に逆らってワークアウトをすることで体力や筋肉を強化することができる。 ヨガのプラクティスにおける抵抗といえば、大体の場合は自分の体重のことを指す。 筋肉は抵抗を受けることで働く。それにより、筋肉が抵抗に順応し、より強く、より大きく成長する。
筋力トレーニングの主なメリットには、以下が挙げられる。
- 体力の強化
- 代謝の向上
- 体組成の向上
- スポーツのパフォーマンスの増進
特定のタイプのヨガを、有酸素運動または筋力トレーニングと考える理由はなにか?
心拍数が上昇するような運動であれば、有酸素運動と見なすことができる。 ヴィンヤサなど特定のタイプのヨガプラクティスでは、ポーズや姿勢を動きの中で流れるように行っていく。 ポーズを長く維持しない代わりに、ポーズを変えながら動き続けることで、心拍数が上昇した状態が維持される。
ハタなどのその他のタイプのヨガでは、体幹の強さ、バランス、柔軟性が求められる難しいポーズを取ることで筋肉を活性化させる。 各ポーズをキープするときに心拍数が上昇した状態は維持されないため、有酸素運動とは見なされない。
早いペースで行う場合には特にそうだが、ヨガは有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせとなり得る。
ヨガの健康面でのメリットは?
ヨガのメリットは幅広い。さらに、運動能力を高める効果的な方法となる場合もある。 2016年に『International Journal of Yoga』で発表された研究によると、習慣的なヨガのプラクティスを10週間にわたって続けた被験者は、柔軟性とバランスの改善に加えて、関節の可動性と可動域(ROM)が向上したという。
また、ヨガはメンタルヘルスやストレス管理にも有効である。 2011年の研究では、ヨガがストレス、不安、落ち込み、慢性的な痛みを軽減し、睡眠を改善して、全般的な健康や生活の質の向上に役立つと結論付けられた。 ヨガには有酸素運動と筋力トレーニングのメリットもあるが、プラクティスとしてのヨガには深呼吸と瞑想という要素もある。
身体活動としてのヨガに関する研究では、さまざまな見解がある。 言い換えると、健康状態を実際に向上させるのかという点については、未だに結論が出ていない状態なのだ。
2007年に『BMC Complementary and Alternative Medicine』で発表された臨床試験では、ヨガは強度の低い身体活動と同等で、心血管系の健康を向上させる程の運動量はないと結論付けている。
しかし、ヨガが心肺機能に関する指数を向上させることを示す研究もある。 2013年に『Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine』で発表された体系的レビューでは、心血管系の健康の主要な指標である血圧を、ヨガが低下させる可能性があると結論付けている。
研究において意見が分かれているのは、ヨガが包括的な言葉であるためだ。 強度、種類、頻度といったプラクティスへの取り組み方によって、得られるメリットが定まる。 理想としては、さまざまなヨガのプラクティスに他のタイプの身体活動を組み合わせることだ。そうすることで、心肺の健康や体力の面で最適な結果が得られることになる。
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