産後の目標を根本から見直そう
Nike (M) が登場
自分を罰しない。罪悪感を持たない。他人と比較しない。無条件で気持ちいいことだけに注力しよう。
- 出産前の体に戻す。やるべきことは全部やる。そんな社会からの圧力は、新米ママや新米パパの心身をボロボロにする。こういう目標は、非現実的だし理にかなっていない。
- 赤ちゃんが生まれたばかりの時期は、フィットネスとの新たな関係作りに充ててみよう。つまり、体が喜ぶことに注力するのだ。自分のためにならないワークアウトは、休んだっていい。
- トレーニングを再開する準備ができたら、NTCをチェック。ヨガなどの低負荷ワークアウトをはじめ、多彩なメニューが紹介されている。
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*このコンテンツの目的は情報提供と意欲の向上であり、診断、治療、特定の医療に関するアドバイスを意図したものではありません。妊娠前、妊娠中、出産後の健康と安全の維持については、必ずかかりつけ医に相談してください。
出産後の数週間は、高揚感と疲労が同時に押し寄せてくる。人生の中でも、そんなに経験する機会がない感覚だ。この出産にまつわる悪戦苦闘を、さらりとやり過ごして日常に戻るのがクールだと考える人はいる(特にSNS上)。だがそんな風潮や圧力は、百害あって一利なしと言っておこう。
出産したら、このようなメッセージからしばらく距離を置いたほうがいい。
まずは「出産前の体に戻す」という考えを捨てて欲しい。何の役にも立たないし、正気の沙汰ではない。そう語るのは、アイダホ州イーグルのブリアンナ・バトルズ氏(ストレングス&コンディショニング認定スペシャリスト)。アカデミックフォーラム「妊娠と産後の運動」を主催する専門家だ。母親は妊娠して赤ちゃんを体内に宿し、体に消すことのできない大きな変化があっても何ら不思議ではない(バトルズ氏談)。ロンドン在住のジェーン・ウェイク氏(出産前後のフィットネス専門家)は、「出産前の体に戻す」こと自体に意味がないと言う。出産前の体に近づけることで、出産という偉業の価値が高まる訳ではないからだ(妊娠で40週間走り続けるマラソンと同等のエネルギーが費やされるという研究もある)。
捨てるべき考えは他にもある。自分を追い込むことが美徳だという、地獄のマインドセットだ。「あのセレブもすぐに体重を戻した」といった心理的圧迫もその一例。新米のママやパパにとって、そんな考えはひたすら無益だ。誰かがやったことをすべてやるのは不可能で、そうすべきでもない。義務感や処罰感情を捨て、無理なくできることだけを楽しめるように考え直すべきなのだ(バトルズ氏談)。
それならば、産後期のエクササイズ(再開の準備ができてから)を無理なく継続するために必要なのはどんな考え方なのだろう。大切なのは、新たな現実に合わせて目標を見直すこと。まずはそこから始めよう。
1. 外に出る。
出産後の数週間から数か月間は、授乳、おむつ替え、洗濯、掃除の無限ループ。こんな時期は、シンプルなルーティンを心がけるようにしよう。たとえば、毎日の散歩だ。歩く距離、時間、スピードは気にせず、ただ外を歩く(アプリなどでの計測もやめる)。散歩の内容がどうであれ、まったく動かないよりはマシだからだ(バトルズ氏談)。自然の中で過ごすことにより、ストレス反応で増加する体内ホルモンのコルチゾール値が下がったという研究もある。
ウォーキングがもうアクティビティの中心(あるいはすべて)になっている人は、ベビーカーの代わりにスリングやだっこひもを使ってもいいだろう。このような気分転換には、心を落ち着かせる作用もある。カリフォルニア州オークランドのアマンダ・ウィリアムズ氏(認定産婦人科医)からのアドバイスだ。
2. 現状を冷静に受け止める。
以前にできていたことを再開しようと焦るのではなく、自分の体が今できることに満足する。これが理想的な再スタートの切り方だ(ウェイク氏談)。早急に出産前の筋力を取り戻そうとしたり、カーディオトレーニングの自己記録を目指したりしないこと。無理をしてケガを誘発し、精神的にも追い詰められ、自信や意欲も失いかねない(バトルズ氏談)。親になったばかりの人に、こんな不幸は必要ないのだ。
だからといって、以前の体力を取り戻し、自己ベストを更新することが不可能になった訳ではない。今はただ自分にあったアクティビティとの新たな関係を深めるチャンスなのだ。バトルズ氏は次のように問いかけている。「1キロあたりのペースだけで、ランニングの価値が決まっちゃうの? 再びランニングできるだけで、幸せだと感じてみたら?」
3. 完璧主義をやめる。
エクササイズに熱心な人は、バトルズ氏が「アスリート脳」と呼ぶ特徴を備えている可能性がある。心身をハイレベルに保ち、困難とやりがいとスピードを求めてチャレンジを繰り返すタイプだ(決して悪い思考法ではないが、自分がそうなら自覚しておこう)。このタイプの人は、「30分未満の運動なんてワークアウトに入らない」といった考えに陥りがちだ。そのためウォームアップの途中で赤ちゃんが目を覚ましてしまうと、欲求不満や疲れを溜め込んでしまう。
すべてを一息で変えてしまうのは難しいが、ここで効果的なワークアウトの定義を見直してみよう。「全力を尽くすことや、たゆまぬ努力を続けることは二の次。今は筋肉さえ使えているなら価値あるワークアウトだと考え直しましょう」とバトルズ氏は言う。そのとき自分にできる最善を尽くせたら、それだけで大成功なのだ。
たまにセッションを休むのも、正しい行動だと言える場合がある。エクササイズは幸運な息抜きの時間と捉えるべきなのに、それが苦痛に感じるようなら休んだほうがいい。出産後の数か月間は、トレーニングよりも休息や回復が重要だ(バトルズ氏談)。体はとても正直だから、いつも体の声に耳を傾けよう。
4. いつでも自分の心と話し合う。
立派な目標を立てても、毎日エクササイズができる保証はない。でも、それでいいのだとウェイク氏は言う。「出産の翌日から、体のためにできることがあります。それは自分の呼吸に注意を向けること。体の動きがなくても、呼吸を意識することで心身の両面に落ち着きをもたらせます。これは最もシンプルでパワフルなエクササイズのひとつなんです」(深呼吸には骨盤底筋を整える効果もある。深呼吸により骨盤底筋のサポート性が改善されることで、いずれエネルギッシュに活動できる自分を取り戻せるだろう)。
毎日、最低でも数分間は静かに座って(可能ならば横になってもOK)、鼻から息を吸いながら3つ数え、4〜6つ数えながら鼻または口から息を吐く。
以上が、今できる心と体のワークアウト。目標はもうほとんど達成できているはずだ。
文:サラ・ゲインズ・レヴィ
写真:ビビアン・キム
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さらに詳しい産後のアドバイスは、Nike (M)ページをチェック。心構え、運動、栄養、リカバリー、睡眠など、出産関連のお役立ち情報が満載だ。トレーニングを再開できるようになったら、気分を上げてくれるギアも購入しよう。