ランニングシューズはどれくらいの距離使用できるのか?
購入ガイド
ランニングシューズの走行距離や機能低下のサインをチェックし、使い古したランニングシューズを適切なタイミングで交換しよう。
シューズボックスを開封し、紙に包まれ、可能性に満ちた、汚れのない新品のランニングシューズを目にする瞬間が好きでない人などいない。 新しいランニングシューズは、新たな目標を設定し、これまでの自己記録を破り、もっとランニングをするためのモチベーションになる。
しかし、新しいシューズも時を経れば機能が低下し、最終的には交換しなければならなくなる。 走行距離はこの先どれくらいランニングシューズを使い続けられるかを判断する指標の一つだが、ランニングシューズを交換するタイミングを判断する際に考慮すべき要素は他にもある。
どれくらいの距離を走ったらランニングシューズを交換すべきか?
ランニングシューズの交換について、ルールが定められているわけではない。 2011年10月に「Footwear Science」に掲載された18年にわたる研究のレビューによると、高品質なランニングシューズでは950キロ以上走ることができる。
一方、専門家は一般的に500~800キロで新しいランニングシューズに交換するようアドバイスしており、 目安としてはかなり幅のあるものとなっている。 また、ランナーによってトレーニング量は大きく異なり、さらに、ランニングシューズに歩数計を取り付けている人はおそらくいない。 それでは、新しいシューズを買いに行くタイミングを判断するにはどうすればよいのだろうか?
ここでは、ランニングシューズをどれくらい使い続けられるかを判断するために役立つ、トレーニング量を基準とした一般的なガイドを紹介する。
気軽なランニング
- 1週間あたりの走行距離:最大15キロ
- シューズ交換:7.5~12.5か月ごと
5Kレースや10Kレースに向けたトレーニング
- 1週間あたりの走行距離:最大25キロ
- シューズ交換:5~8か月ごと
ハーフマラソンに向けたトレーニング
- 1週間あたりの走行距離:30キロ以上
- シューズ交換:4~6か月ごと
マラソンに向けたトレーニング
- 1週間あたりの走行距離:60キロ以上
- シューズ交換:2~3か月ごと
考慮すべきその他の要素
これはあくまでも一般的なガイドであることを心に留めておこう。 実際には、体の大きさやシューズのデザインなど、さまざまな要素によって、ランニングシューズを使い続けられる距離や期間は変化する。 体重が重く、足の怪我を防ぐために安定性向上機能とクッショニング機能を重視しているランナーの場合、体重が軽く、安定性とサポート性をそれほど必要としていないランナーより、シューズが早く摩耗してしまう。 初めからサポート性の低いミニマルなシューズやフラットなレーシングシューズは、さらに短期間で摩耗する可能性がある。
地形や天候も、シューズの交換時期に影響する。 たとえば、舗装路やコンクリートなどの硬い地面を走る場合、トラックやオフロードトレイルなどの柔らかい地面よりも、時間が経つにつれてより多くのダメージがシューズに蓄積される。 また、極度の高温や低温の中でランニング(またはシューズを保管)すると、シューズが早く劣化する可能性がある。
機能低下のサインをチェックしよう
1.反発性の減少
新しいランニングシューズは、足を踏み出すたびに反発性を発揮する。 この弾むような感覚は通常、EVAフォームクッショニングによるものであり、体が限界だと言ってもさらに走り続けられるようランナーを後押ししてくれる。 また、多くの場合、ミッドソールのエネルギーリターンによって、少ない力で足を前に進めるための推進力が生まれる。
しかし、シューズの機能が低下すると、そのメリットも失われていく。 シューズ(特にミッドソール)が硬くなった、または平らになったように感じ、足取りが重くなってきたら、シューズを交換するタイミングかもしれない。
2.怪我や痛み
反発効果のあるクッショニング機能と衝撃吸収機能は、関節を衝撃から守るためにも役立つが、 クッション性が失われてきたら、ランニング中の感覚で分かる。
ほんの数キロ走った後に、足が痛み始めないだろうか? ランニング中やランニング後に、腰や膝に痛みを感じないだろうか? その痛みはさまざまな原因で生じ得るが、ランニングシューズの機能低下が原因であることが多い。
安定性向上機能も、時間の経過とともに低下する。 そのため、足運びを整えるためにアーチサポートや安定性に優れたヒールカップを重視しているランナーは、シューズの機能低下に伴って走り方が変化し始めることに気付くかもしれない。 たとえば、ランニング中に足首が過剰に回内し(内側に倒れ)始める場合がある。 また、ランニングの姿勢が変化し、痛みや怪我のリスクが高まることもある。
3.ソールの不均一な摩耗
ソールの摩耗パターンをチェックすれば、シューズを交換する必要があるかどうかを最も簡単に確認することができる。 シューズをひっくり返して、裏側を見てみよう。 一部のエリアの接地面が極端に擦り減っていることがある。
たとえば、ヒールで着地するランナーの場合、シューズの後ろ側が摩耗する。 また、足首が過剰に回内する人の場合、ヒールの内側のエリアが摩耗しやすい。
ソールが不均一に摩耗すると、平面(カウンターやテーブルなど)に置いてもシューズが直立せず、一方へ傾くようになる。 これも、シューズを交換する必要があることを示す重要なサインだ。
4.アッパーの損傷
シューズの外側に裂け目、擦り傷、穴などの損傷がないかチェックしよう。 アッパーには、小石や厳しい天候から足を保護するだけでなく、足を固定してずれを防止する役割がある。 そのため、アッパーが痛んでくると、足にダメージを受けやすくなる。
Frequently Asked Questions
ランニングシューズを長持ちさせる方法
どんなシューズも時間の経過とともに機能が低下するが、お気に入りのシューズを大切にし、長持ちさせるためにできることはいくつもある。
自分のトレーニングスタイルに合ったシューズを買おう。 オフロードランにはトレイルランニングシューズ、トラックにはトラックシューズ、舗装路でのランニングにはロードシューズを用意する必要がある。
自分の足にフィットし、自分の生体力学上のニーズに合ったシューズを買おう。 足首が過剰に回内または回外する場合は安定性向上機能を備えたシューズを探し、必要に応じてクッション性に優れたシューズを購入するとよい。
ランニングシューズはランニングにのみ使おう。 ウェイトリフティング、スピンクラス、ちょっとしたお出掛けなどにランニングシューズを使用しない。 シューズの寿命はトレーニングランで消費するようにしよう。
シューズをローテーションで使おう。 2015年2月に「Scandinavian Journal of Medicine and Science in Sports」に掲載された研究結果によると、複数のシューズを用意し、連日同じシューズを着用しないようにすることで、シューズの寿命を延ばすことができる。
シューズを適温で乾いた状態に保とう。 シューズを軒先や車内ではなく家の中に保管し、濡れた場合は新聞紙を詰める。 また、冷たいシューズや濡れているシューズでランニングしないようにしよう。
詳しくは、「ランニングシューズを長持ちさせる12の方法」で説明している。
マラソン用の新しいシューズはいつ購入すべきか?
十分に足をサポートすることができないシューズでレースに出場するのは避けたい。 機能が低下したシューズでのマラソンは大怪我を招く恐れがある。 しかし、新しいシューズでのマラソンも望ましくない。
新しいシューズを足に馴染ませるには時間がかかる。 2011年8月に「BMC Research Notes」に掲載された研究結果によると、新しいシューズの購入はマラソンを走る2~4週間前までに済ませるのが望ましい。 そうすれば、新しいシューズを履いて長距離ランと短距離ランを何度か行う時間を確保し、安心してレース当日を迎えることができる。
インソールを交換することでランニングシューズの寿命を延ばせるか?
おそらく、そのような効果は得られない。 ドラッグストアなどで購入したインソールに交換することはできるが、それによって解決できる問題は限られている。 インソールを交換しても、ソールの摩耗、アッパーの損傷、ヒールカップの劣化などを修復することはできない。
使い古したシューズをリサイクルできるか?
もちろん! Nikeは、二酸化炭素排出ゼロ、廃棄物ゼロの未来を目指すMove to Zeroプログラムの一環として、寿命を迎えたあらゆるブランドのスポーツシューズを回収、リサイクルし、Nike Grind素材として再利用している。 米国や欧州のNikeストアを訪れる際は、使用済みのシューズを持っていこう。 ただし、サンダル、ドレスシューズ、ブーツ、金属付きのシューズ(スパイクなど)は回収できないので、注意しよう。