最高のパフォーマンスを引き出す食事
COACHING
栄養補給だけでなく、力強い体を作ることができる。食事に5つの要素を取り入れよう。
最終更新日:2021年10月27日
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アスリートは、よく食事を「燃料補給」に例える。しかし食事には、もっと重要な側面がある。「バランスの取れた食事は、体を鍛え、健康になり、集中力を高めるために役立ちます」と語るのはジョン・ベラルディ博士。Precision Nutritionの創設者であり、Nikeパフォーマンスカウンシルのメンバーも務める専門家だ。「単に栄養素を体に取り込むだけではありません。その栄養素が、どのように自分を助けてくれるのか理解することが大切です」
栄養生化学の専門家であるベラルディ博士は、アスリートのサポートを続けている。栄養素を活用して、肉体とパフォーマンスを改善させるのが主な役割だ。その第一歩として、必ず食事に取り入れるべき、5つの基本的な食品群を挙げている。
- タンパク質
人体を構成する基盤として、最も強力な主要栄養素。タンパク質は、筋肉の発達やリカバリーを促進するアミノ酸の分子鎖でできている。炭水化物よりも、分解に時間がかかって満腹感が持続するので、食べ過ぎの防止にも役立つ。レンズ豆、オート麦、アーモンド、チアシード、ケール、エンドウ、マッシュルームといった栄養価の高い植物のほか、肉、魚、卵から1日分の摂取量を得るのが好ましい。
- 果物と野菜
生鮮食品売り場には色とりどりの果物と野菜があり、摂取できるファイトケミカルはそれぞれ異なる。緑色のホウレンソウは、血流を改善してパフォーマンス向上に寄与する硝酸。赤いトマトに含まれているリコピンは、心臓の健康に関係している。オレンジ色のニンジンに含まれるβカロテンは、健康的な免疫システムを守り、頭の冴えを維持する効果もある。買い物の際はショッピングカートをさまざまな色で満たし、十分な種類の栄養素を摂取しよう。
- 脂質
一部で誤解されているが、脂質は必要不可欠な栄養素の吸収を促してくれる。それだけでなく、単独で高濃度のエネルギーにもなる。問題は、多くの人が飽和脂肪酸を取り過ぎていることだ。飽和脂肪酸は、肉、バター、ココナッツオイルなどに含まれており、コレステロール値の上昇につながる。健康的に脂肪を摂取するには、ナッツ、オリーブ、オリーブオイルに含まれる一価不飽和脂肪酸を多めに取ること。さらに亜麻仁油、魚、藻類から多価不飽和脂肪酸を定期的に摂取して、不飽和脂肪酸とのバランスを取ればよい。
- 炭水化物
アスリートが食べ物を燃料に例えるとき、それは運動時に燃焼エネルギー源となる炭水化物を指していることが多い。長時間にわたって持続するエネルギーを求めている場合は、豆類、サツマイモ、オート麦、玄米、全粒小麦、キヌアなど、未加工の自然食品を選ぶとよい。すべての炭水化物は糖に分解される。分解速度は比較的遅く、たくさんの持続的エネルギーと少量の老廃物になる。
- 水分
もっとも重要なのに、もっとも見逃されがちなのが水分。取り込んだ栄養素を全身に行き渡らせるには、水分が不可欠だ。アスリートの場合、ワークアウト中に生成された代謝廃棄物を流し出すのも水分の役割。他にも関節の潤滑材となり、体を動かしやすくする効果がある。また体内の水分量を保つことで、血圧と体温を適切に整えられる。