プランクで鍛えられる筋肉
スポーツ&アクティビティ
初心者のためのこのガイドをチェックして、やり方からメリットまで、プランクのポイントをつかもう。
初めてウェイトトレーニングプランにチャレンジする場合でも、ウェイトリフティング競技でオリンピック出場を目指す場合でも、筋力トレーニングにプランクを組み込む人は多いだろう。
これは理にかなっている。 NASM認定パーソナルトレーナーのクリス・トラヴィスによれば、プランクは一度に広範囲の筋肉に働きかける運動であり、身長程度のスペースがあれば実施できる。 「私が指導するクライアントはみんな、プログラムに何らかのプランクを取り入れることになります」
プランクに効果があると言われる大きな理由はもう1つある。 プランクはアイソメトリック運動と呼ばれる、筋肉の長さが変わらない運動だ。 プランクを行うと、重力に逆らうことで筋肉が引き締まり、 一日の大半を座ったまま過ごす人々にとって、これはとても効果の大きい運動になると、トラヴィスは説明する。
「私のクライアントもそうですが、一般的に多くの人々が一日のうち長時間を座った姿勢で過ごしていて、骨盤が前方に少し傾いた状態になります。この骨盤の前傾が股関節屈筋の緊張や痛みにつながるのです。 特にフロントプランクを正しいフォームで行う体幹トレーニングは、骨盤を自然な位置に保つ効果が大きいです」
活動的な日々を送っている人も、座った姿勢で長時間過ごしている人も、プランクを行えば体幹を鍛える効果が期待できる。 とはいえ、プランクに無理なく取り組めるかどうか判断するためには、認定トレーナー、医師、理学療法士に相談するのがやはりベストだ。
プランクで鍛えられる筋肉、プランクのメリット、そしてプランクを効果的に行う方法については、以下を参考にしてほしい。
プランクで鍛えられる筋肉とは?
トラヴィスがまずクライアントにすすめるのは、腕を伸ばした状態でのプランクではなく、前腕を床に置くフォアアームプランク。フォアアームプランクは、全身の緊張状態をより保ちやすいからだ。 腕を伸ばした状態のプランクでも腹筋、背筋、脚の裏側の筋肉が鍛えられるが、手や手首への負荷が大きくなる。 手や手首に、痛みや可動性の低下が生じている人にとっては、腕を伸ばした状態のプランクは難しいはず。
フォアアームプランクでは、以下の4つの主要筋肉群が鍛えられる。
1.腹筋
- 腹直筋:オーソドックスな「シックスパック」の正面にある筋肉。 それぞれの「パック」が、結合組織によって横方向と縦方向に区切られている。 腹直筋を収縮させると、たとえば上体起こしで上体を持ち上げる力が生まれる。
- 腹横筋:腹部に縦方向に伸びる腹直筋に対して、腹横筋は横方向に広がる筋肉だと考えるとわかりやすい。腹部を前から後ろに包み込むように伸びている。 腹横筋の主な働きは、内臓の保護だ。
- 内腹斜筋と外腹斜筋:腹部の両側にある筋肉で、上体を左右に傾ける役割を担う。
2.背筋
- 多裂筋:背骨に沿って付いている小さい筋肉であり、脊椎を伸ばしたり回転させたりする運動を助ける。
- 腰方形筋:腰椎を安定させたり伸ばしたりするほか、骨盤を左右に傾ける働きがある。縦に並走するこの2つの筋肉は、骨盤付近から体の中心部を通り、背中に向けて伸びている。
- 広背筋:平たく、比較的薄いこの筋肉は、背中の中央部から下部にかけて広い範囲を覆っている。 運動時に腰椎を安定させ、肩関節の動きや腕を左右に開く運動を生じさせる。
- 脊柱起立筋:背すじを伸ばしたり回転させたりする動きを助けるすべての筋肉の中で、最も強力な筋肉。 背骨に沿って縦方向に伸びている。
3.股関節屈筋
この筋群は、腹部の方向に脚を持ち上げる役割を担う。 もっとわかりやすく言うと、歩いたり、走ったり、登ったりするような動きを生じさせる働きがある。
4.脚の裏側の筋肉
- ハムストリング:膝の関節を曲げたり、股関節を広げたりする役割を担う。
- 大臀筋:臀部を覆うこの筋肉の主な役割は、太ももを伸ばしたり、外側に回転させたりすることだ。
「プランクを行うときは、正しいフォームを保つために、これらすべての筋群を働かせることを意識しましょう」とトラヴィスはアドバイスする (プランクに取り組む間、忘れないようにこの記事をスマートフォンに表示させてもいい)。
「体を安定させ、動きをコントロールし、静止状態を保てるようになるほど、筋力が向上し、それを実感できるようになります」
プランクを行う方法
プランクは、余計な動きがなく、とてもシンプルなエクササイズだ。 バリエーションが数多くあり、難易度や鍛える筋肉を発展させられるが、フォアアームプランクをマスターすることで、新しいフォームにチャレンジするための基礎ができると、トラヴィスは言う。
- 両手と両膝を床につける。 上体を腰から前に倒し、手のひらを床につけた状態で、前腕を床に寝かせる。 肘は肩の真下で床にぴったりつける。
- 両脚が完全に伸びるように、足を後ろに引く。 左右の足を合わせ、つま先を床に立てる。
- 腹部で勢いをつけ、前腕と肘を床に固定したまま、胴体、腹部、脚を床から持ち上げる。 頭、背骨、腰が一直線に並ぶようにし、大臀筋、ハムストリング、大腿四頭筋を引き締め、かかとを後方に向けて押すようにする。 視線をゆっくりと手の指先の方に向ける。
- 体を静止させ、筋力のレベルときつさの度合いに応じて、目標の時間だけ姿勢をキープする。 力を緩め、頭部、胴体、脚をゆっくりと床に下ろす。
これを2~4回繰り返す。
プランクの姿勢をどのくらいの時間キープすればよいか?
プランクの姿勢を長くキープするのはきつすぎるのではないかと不安に思うなら、前述した筋肉をすべて意識して、20~30秒(10~15秒でもよい)のプランクを2~4回繰り返せば十分だろうとトラヴィス。
「十分に筋肉を引き締めた状態でプランクの姿勢を保てば、短時間でもきついと感じるはず。 クライアントやアスリートを見て、総じて言えることです」
トラヴィスいわく、一般的に45秒(あるいはフォームが崩れるまで)が、プランクの姿勢をキープする時間の妥当な基準になるとのことだ。
文:ジュリア・サリバン、ACE認定パーソナルトレーナー