階段垂直マラソンとは
スポーツ・アクティビティ
これぞ、究極の苦闘。
険しい山の頂をめざすハイカーと40ヤードダッシュで勝利するスプリンターを組み合わせて生まれた、満足感と挑戦に満ちたスポーツ。それが、階段垂直マラソンだ。 バーティカルランニング、階段走、または階段登りレースとしても知られるこの競技は、通常は超高層ビルの内階段といった人工構造物を駆け上がる。 この世界的なスポーツでは、毎年アスリートが象徴的な建物に登り、レース後にパノラマビュー(場合によっては賞金)という究極の報酬を受け取る。 ここでは、高強度の有酸素運動に焦点を当てたこの組織的なスポーツを始めるために知っておくべきことを紹介しよう。
階段垂直マラソンとは
地面を走るのではなく、高い構造物を全力で駆け上がる競技。 ワンラップスプリント、1/4マイルラップ、フルマイルラップといった種目を持つ短距離の組織的なレースで、競技者は通常、登りのみでタイムが計測される。
階段垂直マラソンのメリットとは?
ハードだが効率的な全身運動であるバーティカルランニングには、筋力アップをはじめ多くのメリットがある。 「階段を駆け上がることは特に大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングス、ふくらはぎの筋力を強化するのに効果的です」と話すのはNikeのウェルネスコーチ、コートニー・フィーロンだ。
実に、下半身に負荷をかけるワークアウト以上の効果がある。 「階段の勾配を克服するのは非常に難易度が高く、同じ強度で行う他の有酸素運動よりも心血管系に負担がかかるため、体幹や心臓、肺もいつも以上に激しく働くことになります」とフィーロンは言う。 2005年に『British Journal of Sports Medicine』に発表された研究によると、階段を上る運動を行った女性は、VO2 Max(ワークアウト中に体が吸収して使用する酸素の量)が17.1%増加した (一般的に、VO2 maxが高いほど体力が高いことを意味する)。
実際のところ、階段垂直マラソンは特別な器具を必要とせず、ジョギングなど他の有酸素運動よりも短時間で多くのカロリーを燃焼できる。
階段垂直マラソンのトレーニング方法は?
「他の形式のランニングと同じ原則を使用して、多様なプログラムを構築できます」とフィーロンは言う。 たとえば、インターバルトレーニング、ゆっくりと長い持久力をかけて登るクライミング、長めのリカバリーを挟みながら行うスピードクライミング、筋力の持久力を高めるためのレジスタンストレーニングなどが考えられると、彼は付け加える。 スクワット、ランジ、ステップアップといった下半身のトレーニングに加え、プッシュアップ、ロウ、アームレイズ、カールなどの上半身トレーニングにも時間をかけるとよい。 結局のところ、手すりを使って階段を登るときは、プッシュプルで使用する筋力を動員することになる。
バーティカルランニングの準備をする際は、傾斜の大きいトレッドミル、ステアクライマー、階段や急な上り坂を上るといったトレーニングがおすすめだ。 マラソンのトレーニングで横に走るのと同じように、慣れてきたら垂直方向に走る距離を徐々に増やしていこう。
階段上り競技に向けた準備は?
数か月前にトレーニング計画を実行するとともに、その数週間前から数日前に準備を行おう。 十分な休息をとり、エネルギーを蓄え、水分(電解質を含む)を摂取するようにと、フィーロンはアドバイスする。 そして、レース当日は、昇っている間も汗を吸収してくれる、通気性と吸湿発散性の高いウェアを着て臨もう。
レースはどこで開催される?
シンガポールを訪ねてみたいと思ったことはないだろうか?またはイタリアに行ったことは? 現地でレースと観光を一緒に楽しめる「ランケーション」がおすすめだ。 このスポーツの歴史に敬意を表して、エッフェル塔を訪れてみるのもいいだろう。1905年に最初のタワーレースイベントが開催されたと言われる場所だ。 または、毎年何百ものタワーレースが行われている、他の注目すべき建造物から選ぶのもいいかもしれない。 国際イベントの一覧は、Vertical World CircuitおよびTower Running World Associationで確認できる。 全米で開催される大会の情報は、Tower Running USAにまとめられている。 超高層ビルと実施される大会名を一部紹介しよう。
- エンパイアステートビル(米国、ニューヨークシティ):Empire State Building Run-Up(エンパイアステートビルランアップ)
- スイスホテル ザ スタンフォード シンガポール(シンガポール、スタンフォード):Swissotel Vertical Marathon(スイスホテルバーティカルマラソン)
- ウィリスタワー(米国、シカゴ):SkyRise Chicago(スカイライズシカゴ)
- エッフェル塔(フランス、パリ):Eiffel Tower Vertical Race(La Verticale de la tour Eiffel®、エッフェル塔バーティカルレース)
- KL(ムナラ)タワー(マレーシア、クアラルンプール):KL Tower International Towerthon(KLタワー・インターナショナル・タワーソン)
- 台北101(台湾、台北):Taipei 101 Run Up(台北101国際ランアップ)
- あべのハルカス(日本、大阪):Harukas Skyrun Beyond(ハルカススカイランビヨンド)
- アリアンツタワー(イタリア、ミラノ):The Allianz Vertical Run(アリアンツバーティカルラン)
- タワー42(イギリス、ロンドン):Vertical Rush(バーティカルラッシュ)
文:ディナ・チェイニー