障害物レースとは? 障害物レースについて知っておきたいこと
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さらに、レースに向けたトレーニング方法のヒントをご紹介
ランナーが直線または曲線に沿って走る一般的なトラックレースと比べて、障害物レースは観戦がさらに楽しい競技でもある。 このレースは固定された大型の障害物や水濠を越えることが含まれているため、強度の高いスポーツと見なされる。
「障害物レースはおもしろく、やりがいがあり、変化に満ちています」と語るのはマシュー・バロー(ルイス&クラーク・カレッジのクロスカントリー・ヘッドコーチ兼トラックアンドフィールド・ヘッドコーチ代行)。「ある意味で、トラックは非常に単調ですから。 障害物レースは、そんな長距離レースの単調さを解消してくれる競技といえるでしょう」
しかし障害物レースは、他の多くのトラックレースほど詳細に知られていない。どのようなレースなのか、どのように走ればよいのかを知らない人が多いのも当然だ。 以下に、競技の基本知識を紹介しよう。
障害物レースとは?
障害物レースは、ランナーが28の大きな固定障害物と7つの水濠を越えて走るトラックレースだ。 通常のハードル競技とは異なる点に注意が必要だ。障害物レースでは、複数のレーンにまたがる大型の障害物が使用される。 (一方、ハードル競技で使われる障害物はレーンごとに設置され、ぶつかると倒れる。)
障害物の高さは、男女で異なる。 男子の障害物の高さは約91cm。女子では76cmだ。 水濠のすぐ手前にも障害が1つ配置される。 水濠は全長3.66mで、障害の真下が最も深いくぼみとなっており、そこからは上向きのスロープになっている。
「最初の200mは障害がありませんが、その後に続く7周は障害が設けられています」とバローは説明する。
ハードル競技とは異なり、障害物は固定されているので、ランナーがぶつかっても倒れたり動いたりしない。 障害物はハードルよりもはるかに大きく、トラック上の複数のレーンにまたがっている。
障害物レースの距離は?
障害物レースは通常3,000mだが、いくつかのバリエーションがあるとバローは言う。 「ほとんどすべての障害物レースは3,000mですが、主に高校生向けの障害物レースは2,000mの場合もある」とのことだ。
障害物レースの歴史は?
障害物レースは、もともとは馬術の障害物レースをモデルにしたスポーツだ。 「田舎を駆け巡り、生け垣の上を飛び越えていたのです」とバローは言う。
国際オリンピック委員会によると、スティープルチェイス(障害レース)はもともと、ある町の尖塔(スティープル)を持つ教会から別の教会へと人々が走るレースから始まった。 このレースは、壁や低い小川のような障害を特徴としていた。
オックスフォード大学で生まれた近代の障害物レースは、固定障害物と、自然の障害物に取って代わるくぼみを備えている。 1920年にアントワープで開催されたオリンピックにおいて男子の競技として導入され、2008年の北京大会で女子の競技が追加された。
障害物レースの走り方
バローいわく、障害物レースを走るうえで留意すべきことがいくつかある。
「3,000mを走る準備を整える必要があります。 単純に聞こえますが、とても優秀な3,000mランナーになる必要があるのです」
3,000mという距離に備えることに加え、ジャンプ力が要求されることも考慮しなければならない。 しかしバローは、障害物を乗り越えることに関してあまり多くのアドバイスをランナーに与えていない。
「特に初心者に向けては、『ただ乗り越えろ』としか言いません。 これには2つの意味が込められています。1つは、シンプルにハードルをクリアせよということ。どのようにクリアするかは選手次第。 もう1つは、特に新人選手にとっては、障害物が最大のハードルとは限らないということです」
障害物は80mごとに設けられている。 「障害物は常に存在していますが、技術的に言えば、それはレースのごく一部に過ぎません」とバローは言う。 「エネルギーをものすごく消費しますが、それでもランナーは障害物を乗り越えて、走らなければなりません」
障害物越えは、その人にとって最もやりやすいと思えるやり方でいい(バロー談)。つまり多くの場合、各ランナーが自らに最も合ったテクニックを見つけるということだ。 伝統的なハードルの技法で障害物を飛び越えることを好む人もいれば、障害物に飛び乗ってからジャンプして降りるのが好きな人もいる。 これらのテクニックにはそれぞれの長所と短所がある。ランナーは、障害物に近づく際のポジショニングと疲労度合いに応じて、レース全体で両方のオプションを使用することもある。
「テクニックの選択は、あまり難しく考えないでほしい」とバローは言う。 「障害物の上に飛び乗ってから進むやり方がやりやすいのであれば、それでOK。 障害物を完全に飛び越えられるのであれば、そうしてください。迷ったら飛び乗って、再び走りに戻ればよいでしょう」とバローは言う。
障害物レースのためのトレーニング方法
障害物レースのためのトレーニングは、3,000mのレースを確実に走れるようにするための持久力トレーニングが中心になるとバローは言う。
「効率よくハードルを越えなければと考えると複雑な競技にも思えますが、レースで本当に重要なのは持久力なんです。 最終的に必要なのは、走り続けるということですから」
とはいえ、バローは、ジャンプからの着地方法を知っておくことも大切だと言う。 たとえば、トラックでバウンディングとスキップのエクササイズをしたり、障害の高さからスムーズに着地できるようにボックスジャンプを練習することもある。 「これはレースとトレーニングの非常に単純な側面です」とバローは言う。
練習時に障害を利用できれば、スムーズに障害に近づき、飛び越え、スピードを落とさずにレースを続けやすくなる。
「水濠に関しては、定期的にあんな環境で練習できる人は滅多にいないので、トレーニングが難しくなります。
障害に飛び乗ってから水に飛び込もうとする瞬間は、崖から飛び降りるような感覚がありますよ」とバローは語る。 近所に小さな飛び込み板付きのプールがあるのなら、恐怖心を克服するために飛び込みの予習をしてみてもいいだろう(バロー談)。
楽しむことを忘れない
結局のところ、障害物レースは楽しむのが一番だとバローは言う。
「多くの選手が、障害物レースにある遊びの要素に惹かれてこの競技を選んでいます。だから思い切り楽しみましょう。 町を走り回っているときに、安全に気をつけつつ公園のベンチに飛び乗ったり、飛び降りたり。 シンプルに遊んで、 いつも楽しみながら。 それがこのレースの醍醐味なのです」
文:コリン・ミラー