スタミナとは?

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ストレングス&コンディショニング認定スペシャリストが、スタミナの意味と、スタミナを高める方法を解説。

最終更新日:2022年11月23日
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スタミナとは?

どんな運動であれ、ベストなパフォーマンスを発揮するには、スタミナが必要だ。そう聞いたことがある人は多いだろう。

しかし、スタミナを高める方法に関する科学的根拠については、捉えどころがなく、不確かであるように思われることがある。 ここではスタミナについて知っておくべきことと、パフォーマンスを最大限に高めるためのエクササイズを紹介しよう。

スタミナとは?

スタミナには、身体的なものも、精神的なものある。だが一般的には、「長時間の身体活動を維持する能力」と定義されている。そう語るのは、C.S.C.S.(ストレングス&コンディショニング認定スペシャリスト)で、ウェイトトレーニングのプログラムガイド、『Pick Things Up.』の著者でもある、トニー・ジェンティルコアだ。また、「簡単に疲労することなく、タスクをこなす能力」とも表現されると彼は語っている。

また、スタミナは別の言葉で言い換えることもできる。 C.S.C.S.であり、理学療法博士でもあるハンナ・ダブは、「フィットネス業界において、スタミナはしばしば“持久力”と言い換えられることがあります」と 語っている。

自分のスタミナを把握する方法

管理栄養士のアルバート・マセニーによると、スタミナは「アクティビティに応じて異なる」 という。 たとえば、長距離ランナーが高負荷トレーニングであるHIITワークアウトを行った場合、使う力の種類が異なるため、ベストのパフォーマンスを発揮できない可能性がある。

(関連記事:高負荷インターバルトレーニング(HIIT)とは何か?

また、スタミナは「タスクに応じても異なる」とジェンティルコアは言う。 「たとえば、マラソンを走るのに必要なスタミナの量、つまり作業能力は、毎分“X”回、“X”分間スクワットを行う場合に必要とされるスタミナ量とは異なります」と彼は解説している。

自分のスタミナを把握するには、スタミナの向上を目指している運動を特定することから始めると良いとジェンティルコアはアドバイスしている。 スタミナを向上させる方法はいくつかある。

ジェンティルコアが自身のクライアントのスタミナ向上のために行っている方法を紹介してくれた。ファーマーズウォークと呼ばれるエクササイズだ。男性の場合は22~27キロの重りを、女性の場合は11~16キロの重りを両手に持ってウォーキングを行う。 手に力が入らなくなるか、疲れて歩けなくなるまで、ウォーキングを続ける。

「このタイムを記録します」とジェンティルコアは説明する。 「そこから数週間、重りを運ぶエクササイズを含む筋力トレーニングを行います。 そして再評価を行うと、ほぼ99%の確率でタイムが短くなります。 つまり、スタミナが向上しているということです」

腕立て伏せなど、特定の自重トレーニングを限界まで続けることでも、スタミナを把握できるとマセニーは言う。

より正確な値を把握したければ、適切な設備を持つ医師のもとで、最大酸素摂取量テストと呼ばれる技法を使ってスタミナを測定することも可能だとダブ博士は言う。 このテストは、持久力とスタミナを把握する方法の中でも「究極の判断基準」であると博士は述べている。 バージニア大学医学部によると、このテストでは、テスト対象者がフェイスマスクを着用し、医療専門家が吸入・排出する空気の量とガス濃度を測定する。

対象者はトレッドミルまたはバイクでエクササイズを行い、数分毎に強度を上げていく。そしてそれを限界まで続けるというやり方だ。 このテストの結果が、ベストを尽くしているときに体が使用できる最大酸素摂取量を把握するのに役立つとダブ博士は解説している。

(関連記事:専門家が伝授する、トレッドミルランニングの5つのメリットとデメリット

スタミナがエクササイズに応じて異なる理由

腕立て伏せなどの運動では高いスタミナを発揮できるのに、長距離走などの運動では長い距離を走ったり、あるいは強度を高めたりすることができない。こういったことはよくあるとマセニーは言う。

結局のところ重要なのは、それぞれが何を目標にしているかということなのだとジェンティルコアは述べている。 「持久力を必要とする運動もあれば、 筋力を必要とする運動もあります」と彼は続けている。

また、遺伝的素質も重要な役割を果たしているという。遅筋繊維が多い人は、「持久力に関係する運動を得意とする傾向がある」。一方、速筋繊維が多い人は、「速く爆発的な動きを要する運動を得意とする可能性が高い」とジェンティルコアは言う。

遅筋繊維はタイプI筋線維とも呼ばれる。サイズが小さく、マラソンや長距離のサイクリングレースなど、長距離エクササイズで活躍する。 一方、速筋繊維はタイプII筋線維とも呼ばれる。遅筋繊維よりもかなり大きく、ウェイトリフティングやHIITワークアウトといったパワーを必要とする動作や、短距離走などの瞬発力を必要とする動作で働く。

だが、練習や経験もまた、重要な役割を担っている。 「長距離を走ることに慣れていないのであれば、最初はうまくいかない場合が多いでしょう」とジェンティルコアは言う。 スタミナ向上を目指す分野で、より良いパフォーマンスを発揮するためには、代わりに別の筋肉を鍛える必要がある。 たとえば、より長い距離を走りたいのであれば、まずは短距離のランニングから始めて、持久力と筋力を徐々に向上していくことで、距離を伸ばしていくことができる。

スタミナを高めるために最適なエクササイズ

専門家によると、すべてのエクササイズで発揮されるスタミナを高めることができるような、包括的な方法はない。 「重要なのは具体性です」とジェンティルコアは言う。 「1マイルのランニングでスタミナを向上したいなら、もっと走る。 スクワットでスタミナを向上したいなら、もっとスクワットをする。 スタミナの向上を目指す運動を、何度も重ねていくことが大切です」

ただし、エクササイズは主に無酸素運動と有酸素運動の2種類に分けられるとダブ博士は述べている。 アメリカ国立医学図書館によると、無酸素運動とは、短距離走といった、比較的運動時間が短く、強度の高いものを指す。 そして有酸素運動は、ウォーキングやジョギングのような、よりゆっくりとした長時間の運動を指す。

有酸素運動におけるスタミナを向上したい場合、たとえば5キロのレースに参加するなら、走る距離を徐々に増やしていくことに加え、水泳などの別の有酸素運動も取り入れることが有効だとマセニーは言う。 こうすることで、同じ部位の使いすぎによる怪我を防ぎながら、同時に有酸素性能力を高めていくことができる。

これと同じことが、無酸素運動にも言える。垂直クライマーを速いスピードで使用すれば、縄跳びを行う際のスタミナの向上に役立つ。 「筋肉を様々な方法と負荷で鍛える」ことが、スタミナの向上に繋がると彼は述べている。

スタミナを高める方法

スタミナを高めたい特定の運動があるなら、シンプルに、自分をもっと追い込むようなトレーニングを行うことを、ジェンティルコアは推奨している。 レップ数を増やしたり、トレーニング時間をいつもより長くしたりして、徐々に目標のレップ数やタイムに近付いていくのだ。 資格を持つパーソナルトレーナーやストレングス&コンディショニングのコーチの協力を得ることも、最初から自分の限界を把握するための良い方法だ。

「もうひとつの手段としては、休憩時間を短くして、より短い時間で同じボリュームのエクササイズを行う方法が挙げられます」とジェンティルコアは言う。

無理のない範囲で頑張り続ければ、スタミナはついてくるというのが専門家の見解だ。

文:コリン・ミラー

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公開日:2022年11月16日