高負荷インターバルトレーニング(HIIT)とは何か?
スポーツ&アクティビティ
運動強度が高いHIITワークアウトは、短時間で大きな効果を得られる点が評価されている。
短時間で効果を得られるワークアウトを探しているなら高負荷インターバルトレーニング(HIIT)が最適だ。 一定負荷の運動を長時間繰り返すエクササイズ(エリプティカルマシンの上で過ごす楽しい時間を想像してほしい)と異なり、HIITは短い時間で静と動が活発に入れ替わるよう構成されている。
「運動と休憩を交互に行うのがHIITの特徴です。」そう説明するのは、NASM(全米スポーツ医学アカデミー)認定パーソナルトレーナーのジーナ・ハーニー氏だ。 「運動パートでは素早くダイナミックに動き、心拍数をできるだけ上昇させます。 休憩パートで心拍数を少し戻してから、次の運動パートに移るという方法です。」
HIITワークアウトは負荷が高いので、一般的には20分から25分が限度とされている。
HIITワークアウトのメリットとは?
HIITは時間がないときにも大きな効果が得られるワークアウトだが、それ以外にもさまざまなメリットがある。 以下の記事で詳しく説明しよう。
1.HIITはカロリー燃焼を促進する
いくつかの研究が示すように、HIITのカロリー燃焼効果は他のエクササイズを同じ時間行った場合に比べて大きい。しかも、その効果はワークアウト後も長く持続する。 いわゆる「アフターバーン効果」だ。 エクササイズによって、最終ラウンド後も長時間にわたって代謝率が上がり、一日を通してカロリー燃焼が促進される。 HIITがこのアフターバーン効果をもたらすエクササイズに該当することが、研究で示されているのだ。
「激しい運動によって体がエネルギー不足に陥り、数時間かけて通常のレベルに戻ろうとします」と、NCSF(全米ストレングス・フィットネス協会)認定パーソナルトレーナーのケリー・コセンティーノ氏は説明する。
2.HIITは心肺機能を高める
中程度の負荷のエクササイズとHIITは、どちらも体重と脂肪の減少に加えて血圧を下げ、コレステロールを減らす効果が期待できる。 2021年に『BMJ Open Sport & Exercise Medicine』に掲載された研究論文によれば、HIITは心肺持久力を12週間にわたって向上させ、その効果は負荷が一定のエクササイズを上回るという。 研究では、HIITによって安静時の心拍数と血管機能が改善される可能性も示唆されている。
3.HIITは一定の疾患の症状を緩和する
HIITワークアウトのやり方は次のとおり。
最初に、インターバルを設定する。 HIITでは運動パートの後に休憩パートが入る。ワークアウトプログラムづくりにはいくつかの方法がある。
1.AMRAP
これは「as many reps as possible」(できるだけ多く繰り返す)の頭文字だ。たとえば、 30秒動いたら30秒休む、または45秒動いたら15秒休むと決めたら、その時間内に1つのエクササイズをできるだけ多く繰り返す。 「時間と競争しながら自分を追い込むので、極限までレベルアップできます」とコセンティーノ氏は言う。
2.EMOM
これも頭文字で、「every minute on the minute」(1分区切り)という意味だ。このHIITトレーニングでは、最初に実施する回数を決め、1分を計り始めると同時にエクササイズを開始する。 決めておいた回数をやり終えたら、残りの秒数はすべて休憩時間になる。 次の1分間が始まったら、同様に繰り返す。
3.タバタ
コセンティーノ氏によると、「タバタはHIITの中でも特に人気の高いトレーニング方法です」とのことだ。 このスタイルでは、20秒運動・10秒休憩というセットを8回繰り返す。 タバタ式が好まれるのは、エクササイズが細かく区切られていて、毎回すぐに休憩できるからだ(ただし休憩も短い)。
4.距離
カーディオマシンやランニングの場合、距離という単位でワークアウトを構成できる。 ハーニー氏によれば、たとえば4分の1マイルをダッシュしたら、次の4分の1マイルをリカバリーに充てる、といった具合だ。
HIITは、それ自体が20分から25分程度のワークアウトになるし、短いもの(4分間のタバタ式トレーニングなど)なら筋力トレーニングの仕上げにもなる。
負荷は十分か?
HIITの真髄は高負荷の追求にある。 最適な運動強度を確保するために、自覚的運動強度(RPE)を確認してみよう、とコセンティーノ氏は提案する。 自分の運動強度を1から10の尺度で評価するのだ (ソファーでくつろぐのは1、全力を出し切る運動は10)。 8か9まで頑張ろう、と彼女は言う。 ただし、HIITを始めたばかりなら、最初の数回は強度を下げておく方が賢明かもしれない。
「HIITは楽な運動ではありません。 快適だと感じるレベルをはるかに超えます」とコセンティーノ氏。
フィットネスのルーティンにまだ慣れていないのなら、まずはカーディオトレーニングで基本的な心肺機能を向上させるというのがハーニー氏のアイデアだ。 ウォーキング、ランニング、ダンス、サイクリングなどの有酸素運動を、最初は10分から、少しずつ長くして30分まで延ばすとよいと、彼女は言う。 その上で、30秒間の短いエクササイズを、スピードを上げながら数分ごとに試してみよう。 こうした激しい動きの繰り返しは、最初は1回が限界かもしれないが、徐々にできる回数が増えてくる。
HIITを始めたばかりなら、週に1、2回ルーティンに取り入れて、最初は必ず15分で終わること。自信がついたら増やしていけばいい。そう語るのは、NASM認定パーソナルトレーナーのジュリー・ジョーンズ氏だ。 彼女が提案するのは、1日おきのHIITを週に3回まで、というスタイル。これならセッションの間にリカバリーの時間を十分確保できる。 簡単なウォームアップとクールダウンも必要だが、 それを含めても30分を超えないようにしよう。
HIITに最適なエクササイズとは?
幸い、HIITワークアウトはジムでカーディオマシンとウェイト、または自重を利用して実施できる。 最も重要なのは、効果を得ることであり、たとえ疲れたときでも正しいフォームと手法をキープできること、そして楽しむことだ。
心拍数を上昇させ、素早く動いても正しいフォームで行う自信がある動きを選ぼう。 ウェイト、自分の体重、カーディオマシンなど、利用するものに応じてここで紹介した方法を、ぜひ参考にしてほしい。
1.ウェイトトレーニング
コセンティーノ氏のおすすめは、コンパウンド種目のサーキット。スクワットプレス、クリーン、スナッチなどで、上半身と下半身を複合的に使うため心拍数が上昇する。
2.自重トレーニング
ジャンピングジャック、バーピー、スケーター、ジャンピングスクワット、ジャンピングランジなど、プライオメトリックエクササイズに取り組もう。 ジャンプが得意でなければ、エアスクワット、ランジ、カーツィーランジ、モディファイドバーピーを試してほしい。
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3.カーディオマシン
エリプティカル、ローイング、スピン、エアバイク。どれでもいいのでお気に入りのマシンを使おう。トレッドミルで走ったり、ダッシュしたりするのもいい。
素早い動きを慌ただしく繰り返すので、HIITワークアウトには自信のあるエクササイズを選ぶのがポイントだ。
文:ジェシカ・ミガラ