サーキットトレーニングを取り入れるべき理由トップ6
スポーツ&アクティビティ
筋持久力の強化から、心肺機能の向上まで。サーキットトレーニングがもたらす健康上のメリットを紹介する。
変化に富んだワークアウトを好む人たちのために、さまざまな時間の長さやエクササイズの種類を盛り込んだメニューがサーキットトレーニングだ。
運動生理学者のジェイソン・マホフスキー(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)は、次のように説明する。「サーキットトレーニングでは、多くのエクササイズを次々にこなしていきます。一般的には5~10種類のエクササイズを連続して実践し、5~15秒ほどの短い休みをはさんで次のエクササイズに移ります。その後、90秒〜2分ほど休憩してからサーキットトレーニングを再開します」
マホフスキーによれば、サーキットトレーニングには大きく2種類がある。ひとつは筋力をベースにしたサーキットトレーニングで、もうひとつはHIITとも呼ばれる高負荷インターバルトレーニングだ。
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「筋力ベースのサーキットトレーニングでは、ターゲットにした筋肉群が超回復モードに入る程度の疲労に達することを目的としています」とマホフスキーは言う。 「一方のHIITサーキットトレーニングでは、すばやい動きなどによって体力の強化を狙います。特定の筋肉群を疲労させるのではなく、心肺と心臓血管の持久力を高めるのが目的です」
筋力ベースとHIIT。どちらのタイプのサーキットトレーニングにも、健康上のメリットが多く認められる。 より詳しく説明しよう。
筋力ベースのサーキットトレーニングのメリット
1.筋持久力の向上
2018年に、学術誌『Journal of Exercise Rehabilitation(エクササイズによるリハビリテーション)』で発表された研究結果がある。これは大学生世代の被験者たちが、スクワット、クランチ、ランジ、プッシュアップなどのレジスタンス運動を続ける12週間のサーキットトレーニングを実践したものだ。プログラムの終了後には、あらゆる運動に改善がみられた。つまり被験者たちは、割り当てられた時間内で体力を節約しながら、レップ数を増やすことに成功したのである。 これは、筋持久力(筋肉が疲労するまで収縮できる能力)の向上と定義される。
2.レジスタンスベースの全身ワークアウトをすばやく効果的に実践するヒント
筋力を重視したサーキットトレーニングでは、主な筋肉群の大半を交互に動かすため、セッションを繰り返さなくても全身を効果的に鍛えられることが多い。
「サーキットトレーニングは、30~40分程度という短めの時間で全身を鍛えたい人にとって、時間効率のよいトレーニングといえます」とマホフスキーは述べる。 「サーキットトレーニングのスピード感が好きな人にも向いています」
3.筋力の強化
サーキットトレーニングの特徴的なメリットは、筋持久力の向上だ。しかしこのワークアウトでは、筋力アップと筋肥大も期待できる(マホフスキー談)。
ある筋力トレーニングと高齢者に関する系統的研究調査 によると、筋力ベースのサーキットトレーニングに定期的に参加することで、筋力を効果的に強化できることが明らかになった。 高齢者の筋力を強化することで、転倒リスクやケガを減らすことができる。そのため、この効果は高齢者全体にとっても重要な発見だった。
HIITサーキットトレーニングのメリット
1.重要な健康マーカーの改善
HIITサーキットトレーニングによって、代謝と血管レベルで健康上のメリットが得られることは科学的に実証されている。 前述の学術誌『Journal of Exercise Rehabilitation(エクササイズによるリハビリテーション)』に掲載された2018年の研究によると、実験の終了までに被験者がコレステロール値とトリグリセリド値を改善させたデータもある。
2011年発行の学術誌『Journal of Applied Physiology(応用生理学ジャーナル)』に発表された別の研究によれば、サーキットスタイルのHIITトレーニングが、2型糖尿病発症のリスク因子であるインスリン抵抗性を軽減させる可能性もある。
さらにHIITサーキットトレーニングは、それほど量をこなさなくても効果が得られるというメリットがある。 前記の研究では、HIITサーキットトレーニングに全力で8分間取り組んだだけで(この8分を数回に分けてもOK)、インスリン抵抗性の軽減に役立つという結果が出た。
2.心臓血管へのメリット
2017年の学術誌『Frontiers in Physiology(生理学最前線)』で発表された研究によると、HIITベースのサーキットトレーニングを定期的に実践することで心臓血管の健康レベル向上が期待できる。 この研究では、女性の被験者たちがトレッドミルのスプリントをはじめとする短時間のレジスタンスエクササイズを実践した。9週間にわたって週1回のセッションを3回こなしたところ、全体的な酸素摂取能力が向上している。
3.飽きずに取り組むコツは、エクササイズのバリエーションと仲間たちの存在
健康増進や健康マーカー改善という見地から、サーキットトレーニングが必ずしも他の形式のエクササイズより優れているという訳でもはない。それでもユニークで楽しいエクササイズであることは確かだ。そう語るのは、ミッシー・バーコウィッツ(NASM認定パーソナルトレーナー)。
「サーキットトレーニングは、ワークアウトへの興味を保つのにも有効です」 グループで取り組むフィットネスクラスの多くが、サーキットスタイルのトレーニングを活用している。ジムや仲間たちからの支援と交流があるだけでも、クラスに出てワークアウトを継続しようという意欲が湧いてくる。この効果は研究で実証済みだ。
文:ジュリア・サリバン(A.C.E.認定トレーナー)