自重ワークアウト(カリセニクス)とは?
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体を鍛える自重トレーニングの詳細をチェックしよう。
筋力強化に役立つエクササイズは、ウェイトリフティング以外にもたくさんある。カリセニクスと呼ばれる自重トレーニングもその1つだ。
しかし、筋肉を引き締めるエクササイズには非常に幅広い運動が含まれるため、どのエクササイズを本来のカリセニクスとみなすのか、また自分のワークアウトルーティンに追加すべきエクササイズはどれかを見極めるのは少々難しい。 ここでは、カリセニクスエクササイズの基本、そのメリットと制約、そして自分のワークアウトにカリセニクストレーニングを組み込む方法について紹介する。
カリセニクスとは?
カリセニクスとは、自重トレーニング、つまり器具や機器をほとんどあるいは全く使わずに行うエクササイズを魅力的に表現した用語だ。 プッシュアップ、プルアップ、スクワット、クランチなど、あらゆる動きをすべてひっくるめたワークアウトと言ってもよい。 実際にはこれらのエクササイズは、ブートキャンプスタイルのサーキットトレーニングや、高付加トレーニングであるHIITワークアウトの一部として取り入れられているものが多い。
一言で言えば、自重をレジスタンスとして使用していれば、それはカリセニクストレーニングとみなされる。
カリセニクスとは何か。また、どのようなメリットをもたらすか?
けがやその他の身体的制約を抱えているのでない限り、カリセニクスは一貫したワークアウトルーティンを始めたばかりの人にとって格好のエクササイズだ。 このエクササイズには通常、プッシュアップ、シットアップ、ボディウェイトスクワット、ジャンピングジャック、プランクなどが含まれる。
新しいタイプのワークアウトを始める場合は常にそうだが、慣れるまでに多少の時間を要する。 始めたばかりの人は、従来のプッシュアップのかわりに壁を使って行ったり、腰を落とすかわりに椅子を使ってスクワットをしたりするなど、筋力強化とフォームの調整の際にアレンジが必要になる場合があるからだ。 とは言え、ケトルベルを振ったり、ベンチプレスで重りを積み上げたバーベルを持ち上げたりするよりも、自重エクササイズを試みることに伴うけがのリスクははるかに少ない。
Precision Nutrition認定のストレングストレーナーであるジェレミー・フェルナンデスは、自身のルーティンとクライアントのルーティンの両方にさまざまなカリセニクスを取り入れているが、その理由の1つが自重エクササイズの安全性と利用のしやすさにあると言う。
「心拍数を上げ、たくさん汗をかきたいなら、カリセニクスは選択肢の1つです」とフェルナンデスは述べている。 「これまでワークアウトをしたことがない人は、プッシュアップやスクワットと聞くと怖気づいてしまうかもしれません。しかし、こうした運動はあらゆる人のフィットネスレベルに合わせて調整することが可能です。 徹底した筋肉増強を行う人々のレベルに達するには何年もかけて特定のワークアウトやトレーニングに励む必要があります。しかし、初めての試みとして自重ランジに取り組むのは、デッドリフトにトライするのとは比べものにならないほど簡単で、安全です」
こうしたエクササイズは比較的リスクが低いため、肩、背中、膝の痛みを改善したい人にとっても優れたツールとなりうる。
「筋肉のリハビリをしたいと思っている人にも、アイソメトリックトレーニングの一環で、筋肉を基本的な緊張状態に一定時間置くことができるポジションを見つけるのは効果があります」とフェルナンデスは言う。 「痛みを引き起こしにくい動きを発見できる可能性があります。 アイソメトリックトレーニングのように動きをホールドするやり方であれば、痛みの生じる可能性が非常に低くなります。もし痛みを感じた場合はストップすればよいので、ダンベルやバーベルを顔に落とす心配もありません」
筋肉のリハビリおよび疼痛処理にカリセニクスやアイソメトリックトレーニングが効果を発揮するということはさまざまな研究によって裏付けられているが、望みどおりの成果を得るためには、一貫したフィットネスプランを自分で作るか、または自身のニーズやゴールに合ったフィットネスプランの作成を専門家に依頼するのがおすすめだ。
他のエクササイズと比較した場合のカリセニクスの最大のメリットは、プルアップや縄跳びなどを除けば、その大部分においてウェイトなどの運動機器を必要としないことにある。 体を動かせるだけの十分なスペースさえあれば、ほぼどこででも行えるということだ。 家から離れていても行えるし、地元のジムの会員費を払うゆとりがない場合でも行えるのだから、非常に取り組みやすい。
カリセニクスは筋肉増強に役立つ?
筋肉増強という点に関して言えば、カリセニクスは運動をまったく行わないよりは効果があるが、最善の方法とはいえない。 筋肉の成長だけを目的とするのなら、もっと効果的な方法が他にあると話すのは、NASM認定のパーソナルトレーナーであり、ウェルネスコーチでもあるジリアン・ヤング・バルカロー。
「カリセニクスでは、筋力トレーニングのためのレジスタンスが自分の体重に制限されます。 新しい筋肉の成長を刺激するのであれば、エクササイズのハードルを上げ、レップ数を増やし、食生活も改善するとよいでしょう。 プログレッシブオーバーロード(漸進性過負荷)をかけ続ける方法が制限されると、筋肥大の程度も限られてしまう可能性があるのです」とヤングは語る。
自重トレーニングだけでは体組成にポジティブな影響を与えられない、あるいはいい汗がかけないと言っているわけではないが(プルアップを立て続けに数セットやってみれば誰でもわかる)、カリセニクスがワークアウトルーティンのすべての要望に応える最善のツールになるとも限らない。 要するに、筋肉を増やそうとしているのなら、ウェイトリフトへの挑戦を恐れてはならないということだ。
カリセニクスをワークアウトルーティンに組み込む方法は?
自重トレーニングをどのようにワークアウトルーティンに組み込むかは、ワークアウトの目標によって大きく異なる。 重要なのは、目標を把握すること。 そうすれば、その目標に合わせたエクササイズとペースを見つけられるだろう。
「まずは少しずつ、ゆっくりと始めて、徐々にスピード、回数、難易度を上げていきましょう」とヤングはすすめる。
カリセニクスのみを使用して全身トレーニングを短時間で行うのなら、プッシュアップのバリエーション、ランジやスクワットなどの下半身の動き、プランクやシットアップなどのコアエクササイズ、バーピーまたはジャンピングジャックを組み込むのがおすすめだ。 1セット10回を繰り返し、セット間にわずかな休憩をはさみながら数セットを完了しよう。
結論
機器を用意できない場合は特に、筋力アップにぴったりな自重エクササイズ。 複雑な動きが要求される運動ではフォームに慣れるのに時間がかかる場合もあるが、カリセニクスエクササイズはウェイトを使用する運動と比べるとけがのリスクが低いため、ワークアウトのルーティンを始めるには最適な方法といえる。 ワークアウトを始めたばかりの人も、あるいはこれから変化を起こそうとしている人にとっても、ローインパクトなカリセニクスはワークアウトに貴重な価値をもたらすだろう。
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文:グラハム・イザドア