最適なランニングテンポの見つけ方
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エキスパートによるテンポランニングのアドバイスをチェックして、けがを防ぎながらスピードアップにつなげよう。
ランナーが、別のランナーの走るテンポを褒めているのを聞いてもあまりピンとこないのは、あなただけではない。 テンポが雑談で話題に上ることは少ないかもしれないが、ランニングの根幹を成し、スピードアップにもつながる要素の一つだ。 「トレーニングのために走るのではなく、走るためにトレーニングをする必要があります」と話すのは、理学療法博士で Motivnyの共同創設者であるデイビッド・ジョウ。走る距離やワークアウトの強度を上げる前に、ランニングの基本をマスターすることが重要だと彼は話す。
ランニングのテンポとは?
「テンポとはランニング時の1分間の歩数です」と説明するのは、アンソニー・ルーク博士。 公衆衛生学修士号を持ち、RunSafeを創設。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のヒューマンパフォーマンスセンターのディレクターで臨床整形外科学の教授でもある。
テンポの調整は、自己ベスト更新につながるだけではない。特定のけがのリスクを減らす効果もある、とジョウは話す。 「テンポが上がれば、体にかかる負荷が小さくなるのです」
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ランニングのテンポを重視するべき理由
初心者ランナーが最初から最適なランニングテンポを体得していることはまれだ。 そのため、初心者は体への負担が増し、負傷しやすくなる。だからこそ、ランニングテンポに注意すべきだとジョウは言う。
テンポが遅いと関節や筋肉に負荷がかかり、ランニングメカニクスや足が地面に着いている時間の長さに悪影響が及ぶ。そしてこれらがけがの要因になる。
テンポを改善すればスピードも上がる。歩数が増えるほど、速く走れるようになるはずだとルークは話す。 走る速さに影響を与えるもう1つの要素が、ストライドの大きさだ。 ストライドが大きすぎると、足が地面に着いている時間が長くなり、脚に必要以上の負荷がかかってしまう可能性がある。
最適なランニングのテンポとは?
フィットネスの世界では、すべての人に当てはまるアドバイスというものがほとんどなく、大抵のことが個人によって異なる。 とはいえ、ルークによれば、最適なランニングテンポの平均値は、平均的な身長(米国では女性で約160cm、男性で約175cm)のランナーで、1分間に170~180歩だという。 この範囲内のテンポで走れば、接地時間が短くなるため、けがのリスクを減らせる可能性がある。
ランニングテンポを把握し、改善する方法
ランニングテンポを測定するには、1分間の歩数を数える、メトロノームアプリをダウンロードする、またはスマートウォッチのテンポ記録機能を使うといった手段がある。 1分間に170~180歩のペースで走れない人は、自分の目標に合った最適なテンポを決めてくれるランニングコーチを見つけるといいと、ジョウはアドバイスする。
テンポが1分間に170歩未満であれば、テンポを上げることが目標になるが、最初はスピードを上げようとは考えないほうがいいとルークは言う。 トレッドミルを心地よいスピードで走り、徐々にテンポを上げていき、接地時間を短くしてスピードを変えずに走る感覚をつかむ。 テンポを上げるこの方法は、ランニングメカニクスの修正にも利用できる。ストライドが大きくて、痛みに悩んでいるランナーには特に有効だ。
トレッドミルを利用できない場合は、屋外でインターバルトレーニングをする方法もあるとルークは付け足す。 まず、心地よく走れるペースを見つけてから、1分間、狭い歩幅で走る練習をする。 GPSウォッチはスピードの維持に役立つ。 1分走りたくない場合にジョウがすすめるのは、20秒間走りながら歩数を記録するという方法。 その歩数を3倍するとテンポを算出できる。
テンポランニングのポイント
テンポに着目したランニングについて、これまで意識したことはなかったかもしれないが、ランニングを重ねるうちに、身につけたいものだ。 新しいテンポに慣れるには少なくとも6週間はかかるとルークは言う。だから辛抱強く続けよう。
「効率のよい走り方ができれば、けがをすることも減るでしょう。 しかしランニングの効率が悪いと、エネルギーを大量に消費し、フォームが崩れ、けがを引き起こすことになりかねません」とジョウは話す。
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文:タマラ・プリジット