スーパーセットワークアウトでスタミナと持久力を強化

スポーツ&アクティビティ

休憩を挟まずに2つのトレーニングを連続して行うスーパーセットは、スタミナと持久力の強化に効果的だ。 その仕組みを解説しよう。

最終更新日:2022年6月30日
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いつものワークアウトにスーパーセットを取り入れて効率よくスタミナアップ

体を鍛える方法はさまざまだが、どの方法にもメリットとデメリットがある。 スタミナと持久力を強化する方法の1つとして挙げられるのが、スーパーセットワークアウトだ。

スーパーセットとは

スーパーセットでは、2つのエクササイズを休憩を挟まずに連続して行う。 ワークアウト中、高い心拍数を長時間保つことで、スタミナと持久力を強化できる。

セットの組み方

レジスタンストレーニングには、目標、能力、好みに応じてさまざまなトレーニングのスタイルがある。 トレーニングの調整方法として最も簡単なのが、セットを組み合わせることだ。 セットを組み合わせる際は、取り組むエクササイズの種類だけでなく、どのように行うかも重要だ。 これは取り組むセットの種類によって異なる。

セットを組み合わせたスーパーセット

スーパーセットは、セットの組み合わせとして最も一般的だ。簡単で効果も高い。 2つの運動を連続して行うことで、ワークアウト中は休みなく体を動かしている。 どのようなエクササイズを連続して行うかは、実行するスーパーセットの種類による。

スーパーセットの種類

アンタゴニスト・スーパーセット

アンタゴニスト・スーパーセットでは、相反する働きを持つ筋群に働きかける2つのエクササイズを行う。 たとえば、上腕二頭筋と上腕三頭筋という、相反する運きを行う2つの筋肉を鍛える場合、 バイセップカールに続いてすぐにトライセップディップを行うといったスーパーセットになる。

このようなスーパーセットが効果的なのは、拮抗する筋肉(拮抗筋)は常に相乗的に働くためだ。 主動筋が収縮すると、反対の動きをする拮抗筋は緩んで伸び、動きを安定させる。

この協働関係により、アンタゴニスト・スーパーセットは高い効果を生む。 相反する働きを持つ筋肉を均等に鍛えて、柔軟性と関節の安定性を高めることができ、 結果としてパフォーマンスが向上する。 たとえば、上腕二頭筋と上腕三頭筋のアンタゴニスト・スーパーセットに取り組めば、プルアップの上達が期待できる。

Journal of Strength and Conditioning Research』で発表された2010年の研究では、アンタゴニスト・スーパーセットの効果が次のようにまとめられている。

  • トレーニング時間を全体として減らせる
  • 筋力とパワーを鍛えられる
  • トレーニング効率が高まる

コンパウンド種目とアイソレーション種目のスーパーセット

コンパウンドエクササイズとは、一度に複数の筋肉を使う運動のこと。 たとえば、スクワット、デッドリフト、ベンチプレスはすべてコンパウンドエクササイズだ。 これらのエクササイズでは、異なる筋群を同時に動かすことで動きを完成させる。

アイソレーションエクササイズは、1つの特定筋群または関節にターゲットを絞って行う。 たとえば、バイセップカールでは、動かす筋肉は上腕二頭筋のみだ。

コンパウンド種目とアイソレーション種目のスーパーセットでは、コンパウンドエクササイズを1つ行った後、すぐにアイソレーションエクササイズを行う。 いずれのエクササイズでも同じ筋群をターゲットにする。 たとえば、バーベルスクワット(コンパウンド種目)に続いてレッグエクステンション(アイソレーション種目)を行うのが一例だ。

コンパウンド種目とアイソレーション種目のスーパーセットの利点は、代謝ストレスが生じ、特定の筋群を鍛えられることだ。 前記のスーパーセットの例では、最も消耗する筋肉は大腿四頭筋となる。

ウエイトと自重を組み合わせる

コンパウンド種目とアイソレーション種目のスーパーセットを、ウエイトトレーニングと自重トレーニングのスーパーセットとしてワークアウトの一部に取り入れることができる。 前述の例で言えば、バーベルスクワットはウエイトトレーニングだ。 その後、自重トレーニングとして、ウエイトをつけずにレッグエクステンションを行う。

このやり方でも同じ効果が得られ、強度に幅を持たせることができるため、初心者に向いている。 ウエイトを使うコンパウンドエクササイズで疲れ切ってしまうのなら、自重のスーパーセットに替えれば、負荷を下げてトレーニングを続けることができる。

ドロップセット

ドロップセットでは、1つのエクササイズを2セット連続して行う。 この手法において、2つのセット間で唯一変わるのは、ウエイトの重量を落とすことだ。 「できる限り多くのレップ数(AMRAP:as many reps as possible)」というフレーズを聞いたことはないだろうか。ドロップセットは、このAMRAPや、限界まで追い込むトレーニングと似たような考え方になる。

最初のセットで限界に達したら、重量を落としてさらにトレーニングを続けるという、 スタミナの強化に高い効果が期待できる手法だ。

ボディビルディングにスーパーセットを取り入れるなら、おそらくドロップセットが最も有効だと言っていいだろう。 これに初めて言及したのが、『Body Culture』という1940年代のボディビルディングの雑誌だと言われている。

2018年に『Journal of Sports Medicine and Physical Fitness』で発表された研究では、筋肉の成長に対するドロップセットの有効性が検証された。 対象者は、2つのグループに分けられ、片方のグループは上腕三頭筋のドロップセットを行い、もう片方のグループは従来のトレーニングを行った。

6週間後、どちらのグループも上腕三頭筋が大きくなり、筋力が向上した。 ドロップセットを行ったグループの方が、結果が若干良かったものの、統計的に優位な差は認められなかった。 しかし、ドロップセットはワークアウトがかなり短時間で済むことを考慮に入れると、大きなメリットがあると言える。

セット間の休憩時間は?

通常、ワークアウトでエクササイズを1セット行った後、少し休んで呼吸を整え、筋肉を回復させる。 エクササイズの目標とその強度によって、最長5分の休憩を取ればよい。

トレーニング目標に応じた休憩の長さ

目標:筋力の強化

レップ数×セット数:

3×6

休憩時間:

2~5分

目標:パワーの強化

レップ数×セット数:

5×5

休憩時間:

2~5分

目標:筋肥大

レップ数×セット数:

8×4

休憩時間:

30秒~1分

目標:持久力の向上

レップ数×セット数:

15×3

休憩時間:

30秒以下

トレーニングの目標と強度によって、セット間に取るべき休憩時間が決まる。 上の表を見る限り、筋力やパワーの強化を目標にする場合、スーパーセットを普段のトレーニングの中心に据えることにはならなさそうだ。 筋力やパワーは、1回の運動の負荷が最大限に近くなったとき(85%以上)に成長するからだ。 だからこそ、このタイプのワークアウトは、筋力トレーニングに効果がある。

この強度のトレーニングはハードなので、休憩時間を長めに取り、セットの合間に筋肉を回復させる必要がある。 休憩を取らないと、スタミナが足りなくなり、次のセットで力を十分に生み出せなくなる。

負荷の高いトレーニングでは、セットを何度も繰り返せるよう、セット間に3~5分の休憩を入れる。この方法は、2009年に専門誌『Sports Medicine 』に掲載された研究で支持されている。 これによって、絶対筋力の強化が期待でき、トレーニングの負荷と回数を高いまま維持できる。

アンタゴニスト・スーパーセットなど、何らかのスーパーセットをワークアウトに取り入れたいと思うかもしれないが、 力は自己記録に挑戦するときに発揮されるので、スーパーセットを取り入れるケースはごくまれだ。

では、スーパーセットを行うとよいのは、どのような場合か? 目標が筋肥大(筋肉を大きくすること)や筋持久力の向上であれば、スーパーセットをいつものワークアウトに取り入れる価値がある。 この結論は、科学的根拠によっても裏付けられている。

スーパーセットワークアウトはなぜ効果があるのか?

スーパーセットでは、筋肉内に代謝ストレスが生じる。 このとき、乳酸、無機リン酸塩、水素イオンなどの代謝産物が筋肉細胞に蓄積し、同時に筋肉内の血液と酸素が足りなくなり、低酸素状態になる。

この代謝産物の蓄積により、細胞が腫れて筋肉の「パンプアップ」が起きるのだ。 また、代謝ストレスがタンパク同化ホルモンの放出を促し、筋肉に有利な代謝適応が起こる。 この適応の1つとして、従来のトレーニングに比べ、テストステロンの最大値がはるかに高くなるという現象がある。 これによって心臓血管系の負荷が高まり、その結果、体力が向上し、このタイプのワークアウトでよりスタミナを発揮できるというわけだ。

毎回のワークアウトにスーパーセットを取り入れるべきか?

スーパーセットをワークアウトに加えることには多大なメリットがある。 とはいえ、スーパーセットは控えめに行った方がよいだろう。 代謝ストレスを起こし、筋肉を限界まで追い込み、休憩を入れないトレーニングでは、筋肉の回復に時間がかかる。

週に1回スーパーセットを行うか、いつものワークアウトに1つか2つスーパーセットを組み込むのが効果的だ。

いつものワークアウトにスーパーセットを取り入れて効率よくスタミナアップ

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公開日:2021年11月23日