植物中心の食事法とはどのようなものか?自分に適しているのか?

食事

植物中心の食事法に当てはまるさまざまな食習慣について、管理栄養士が解説する。

最終更新日:2022年8月22日
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「植物中心の食事法」という言葉の意味は広く、これにはさまざまな種類がある。

植物中心という見出しのドロップダウンメニューに、ヴィーガン、ベジタリアン、ペスカタリアン、オムニヴォールという具体的な食事法が羅列されているイメージだ。これらの食事法やライフスタイルはすべて、植物中心というカテゴリーに当てはまる。 実際のところ、植物中心の食事法に厳格な定義はない。 基本的に、植物中心の食事法とは、その言葉のとおり大部分が植物性食品(果物、野菜、ナッツ、種子類、穀類、豆類)で、わずかに動物性食品を含む食事を指す。

植物中心の食事法とはどのようなものか?

  1. 1.ヴィーガン

    ヴィーガン食とは、動物性食品すべてを排除する食事法だ。 肉、魚介類、乳製品のほか、一部のヴィーガン食ではハチミツさえも食卓にのぼらない。 ヴィーガン食を実践する場合、100%植物性食品を食べ、すべての栄養素を植物性食品から摂取しなければならない。

  2. 2.ベジタリアン

    ベジタリアンのライフスタイルでは、必要に応じて、卵と乳製品、またはそのいずれかを食べてよい。

  3. 3.ペスカタリアン

    ペスカタリアン食では、ベジタリアン食と同様に乳製品と卵が許されており、さらに魚介類も食べられる。

  4. 4.オムニヴォール

    オムニヴォール食は、植物中心の食事法の中で最も許容範囲が広く、肉、魚介類、乳製品、植物性食品が含まれる。 おそらく、オムニヴォール食が植物中心と見なされるのはなぜなのか不思議に思うだろう。 植物中心の食事法には正式な基準がないため、自分の定義次第で何にでもなり得るのだ。ただし大抵の場合は、大部分が植物性食品で、多少の動物性タンパク質を含む食事を指す。 『European Journal of Clinical Nutrition』の2021年号に掲載された研究論文の著者は、植物中心の食事法という言葉のあいまいさについて言及し、より明確に定義するよう科学界に提言している。

    (関連記事:栄養士がすすめる、ワークアウト後に最適な高タンパクの軽食

植物中心の食事法は健康的なのか?

植物由来と謳われているからといって、必ずしも健康的な食品であるとは限らない。 たとえば、フライドポテト、乳成分不使用のアイスクリーム、野菜チップス、代替肉はどれも動物性食品を使用していないが、運動能力はもちろん、健康全般に必ずしも良いとは言えない。 極めて健康に良い植物中心の食事法の一般的な特徴は、何よりもまず自然食品(果物、野菜、穀類、豆類、種子類、ナッツ)が豊富で、超加工食品が最小限しか含まれていないことだ。 たとえば、代替肉は「植物由来」で、環境に良いかもしれないが、体には良くないかもしれない。 多くの代替肉製品は塩分が多く、好ましくない保存料や添加物が使用されている。 要するに、植物中心の食事法を実践しても、栄養価が乏しい可能性があるということだ。

植物性食品を豊富に含み、加工食品、超加工肉、飽和脂肪の多い肉(主に赤身肉)、抗生物質(主に農場で飼育された牛肉や鶏肉)が少ない食事が健康全般に良いことを示す証拠は、山のようにある。 ヴィーガン食、ベジタリアン食、肉の少ない食事法と、がん心臓病、その他の慢性疾患のリスクの関係を調べた研究では、多くの場合、植物中心の食事法を実践している人は長期の病気にかかるリスクが低いことが明らかになっている。 しかし、問題はここからだ。植物中心の食事法は、熟練したアスリートやエクササイズ愛好家には適しているのだろうか? エクササイズ初心者にはどうだろうか?

植物中心の食事法を実践することに、注目すべきメリットはあるのだろうか?

プロアスリートやエクササイズ専門家の多くが、パフォーマンスを高めるために植物中心の食事法を実践することを高く評価しているが、主に植物性食品で栄養をとることのメリットを裏付ける科学的証拠も、それを否定する証拠も、それほど多く示されてはいない。 学術誌『Nutrients』の2021年号に、ヴィーガン食とベジタリアン食が運動能力に及ぼす影響に関するレビューが掲載された。 このレビューでは、筋力、酸素消費量、パワーの出力といった運動能力に、食事法の違いによってどのような影響が生じるのかを調査したさまざまな研究の分析が行われている。 ベジタリアン食やヴィーガン食のメリットを示す研究結果もあるが、そのどちらの食事法も実践していない人と比べて運動能力に違いはないことを示す研究結果もある。

ジムの常連や熟練したアスリートで、特に有酸素運動を中心としたワークアウト(ランニング、サイクリング、水泳)を好む人の場合は、植物中心の食事法が有効かもしれない。 ほとんどの植物中心の食事法は、豆類や全粒穀物など、タンパク質も豊富に含む複合糖質に依存しているからだ。 複合糖質は過酷な有酸素ワークアウトを乗り切るための力になるため、これを補給することは重要だ。 また、グリコーゲン(あとでエネルギーとして使用するために筋肉に貯蔵される糖質)の補給にも、複合糖質が必要だ。 筋力トレーニングを多めに行う人の場合、植物中心の厳格な食事法を実践していると、目標を達成することも適切なリカバリーを行うことも難しくなる可能性がある。 特にヴィーガンにはこれが当てはまる。この種のエクササイズでは、最適なタンパク質摂取が極めて重要であるのに対し、ヴィーガン食ではタンパク質の総摂取量が少なくなる傾向があるからだ。

エクササイズ初心者の場合、植物中心の食事法を実践するかどうかは、食事がもたらす栄養学的影響よりも、個人の好みとライフスタイルに基づいて決めるとよい。 新しいエクササイズルーティンに慣れるには時間がかかり、必ずではないが多くの場合、生活の中のほかの活動に費やす時間を犠牲にする必要がある。 適切に栄養補給をする(タンパク質や食物繊維などの栄養素を適度な量摂取する)には、自炊することが重要だ。 自炊が新たなトレーニングプランの妨げになるなら、現在の食生活を維持し、新しいエクササイズ習慣が定着してから植物志向の食生活に移行するとよいかもしれない。

ポイントは、植物中心の食事法はたくさんあるということだ。 食生活をどれくらい厳格にするのが好ましいかという質問に対する答えは、ライフスタイル、エクササイズルーティン、達成したい目標によって異なる。 ヴィーガン食とベジタリアン食はオムニヴォール食と同じくらいパフォーマンスに良い影響を及ぼす可能性があるが、体に栄養を補給するために健康的な食事をつくることに労力を費やす必要がある。 しかし大部分が植物性食品で、多少の動物性タンパク質を含む食事も、植物中心の食事と見なすことができるので、ハードルが下がるはずだ。

文:シドニー・グリーン(理学修士、 管理栄養士)

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公開日:2022年8月22日

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