プロテインパウダーの種類と 摂取のポイント

食事

3人の公認栄養士による、タンパク質を補給できる栄養補助食品に関するヒント。

最終更新日:2022年7月27日
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プロテインパウダーについての基礎知識: どんな人におすすめ?

ワークアウト後の食事や軽食でタンパク質の摂取量を増やしたいと考えている人は、プロテインパウダーが気になっているのではないだろうか。 ここでは、プロテインパウダーにはどんな効果があるのか、エネルギー源となる食品として取り入れるべきなのかを探ってみよう。

プロテインパウダーとは、カゼインやホエイなどの動物性原料と、大豆やエンドウ豆などの植物性原料から抽出したタンパク質を指すと話すのは、ジュリー・アプトン。理学修士、 登録栄養士、 公認スポーツ栄養士の肩書きを持ち、Appetite for Healthの共同創設者でもある。

「メーカーは通常、タンパク質の抽出物に必要な栄養素、香料、着色料を配合してプロテインパウダーを作っています。パウダーはお水や飲料に溶かしたり、料理に混ぜたりして摂取することができます」

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おすすめのプロテインパウダーとは?

まずは、プロテインパウダーの種類を見ていこう。 プロテインパウダーは栄養補助食品であり、主に濃縮タンパク質、分離タンパク質、加水分解タンパク質の3種類に分かれている。 「3種類のプロテインパウダーの大きな違いは製法です」とサラ・コシクは話す。文学修士号を取得した 管理栄養士であり、『365 Snacks for Every Day of the Year (365日の軽食レシピ)』を執筆している彼女によれば、

最適なプロテインパウダーの種類を特定したくても、この3種類のタンパク質を比較した研究がほとんどないというのだ。 すでに行われている研究でも、栄養的に優れたタンパク質を特定できる決定的な判断材料は示されていない。

「一人ひとりの目標やニーズによって、『ベスト』なプロテインパウダーは違います」とコシクは言う。

濃縮タンパク質を使用したプロテインパウダーは、分離タンパク質のプロテインパウダーほどは加工処理されていないという。 さらに、分離タンパク質や加水分解タンパク質よりも、炭水化物と脂質の含有量も多い。 しかし、分離タンパク質のプロテインパウダーは、濃縮タンパク質や加水分解タンパク質と比べ、1食当たりのタンパク質含有量が高い。 また、1食当たりの脂質、炭水化物の含有量はほかの2種類より少ない。

「分離タンパク質は、濃縮タンパク質より乳糖が少ないので、乳製品を受け付けない体質の人はこちらのほうがいいかもしれません」とコシクは述べている。

それでは、加水分解タンパク質のプロテインパウダーはどうだろう? 加水分解タンパク質は、熱や酸、酵素を用いてタンパク質を分解したものである、とマンディ・エンライトは説明する。理学修士、 管理栄養士、 公認ヨガインストラクターの資格を持ち、『30-Minute Weight Loss Cookbook: 100+ Quick and Easy Recipes for Sustainable Weight Loss(30分でできるダイエットメニュー:リバウンドしない簡単レシピ100)』の著者でもある彼女は、こう付け加えた。

「加水分解タンパク質は、前消化されたタンパク質と考えられています。タンパク質を構成するアミノ酸の多くがすでに分解されており、消化吸収が効率的に行われるからです」

プロテインパウダーのメリット:リカバリーで果たす役割

エンライトによれば、タンパク質は、筋肉の増強や修復に欠かせない役割を果たしている。運動後に摂取することで体を早く回復させることができるのだ。

「激しい運動をすると、筋肉には極めて小さい裂け目ができます。運動した後に筋肉痛になるのはこのためです」と彼女は説明する。 「運動の種類や長さによっては、筋組織のタンパク質が分解され、エネルギー源として利用されることもあります」

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ワークアウトの直後にタンパク質を摂取すると、「筋組織を構成するタンパク質の合成が活性化され、筋肉へのダメージが減り、タンパク質貯蔵量も維持できる」そうだ。

コシクによれば、運動後のタンパク質摂取については広範な調査が行われているという。2018年の国際スポーツ栄養学会誌で発表された論文では、成人の平均的なタンパク質摂取量(最適な吸収と代謝が成された場合)は、1食当たりで20gから25g程度であることが報告された。

「ただ、ほかの研究(2018年に『Nutrients』誌に掲載された調査結果など)では、人が一度に摂取できるタンパク質の量は最大35gであるとされています。それでもアスリートにはメリットがあります」と彼女は語る。

米国の国立衛生研究所(NIH)は、健康な成人に推奨される1日のタンパク質摂取量は、その人の運動量にもよるが1日に必要な摂取カロリーの10%~35%としている。

コシクは、プロテインパウダーの様々な原料(牛乳や植物由来の食品)について考えた場合、ワークアウト後に摂取するプロテインパウダーとして理想的なのは、イソロイシン、ロイシン、バリンなどのBCAA(分岐鎖アミノ酸)が含有されているものだという。

「これらは必須アミノ酸といって、人が体内で作ることができない分子です。肝臓を回避して筋肉に直接届くため、筋肉の修復が進み、体の回復を早めます」

彼女はロイシンが特に重要だといい、その理由を「筋肉のタンパク質の合成、つまり筋肉の増強を促進するからです。運動量の多い人は、脂肪を除いた筋肉量を維持するためにも積極的に摂取するといいでしょう」と説明する。

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自分に合ったプロテインパウダーの選び方

乳糖に耐性があり、乳製品を食事に取り入れることができる人は、運動後のリカバリーのためにホエイプロテインパウダーを摂取するとよい。 ホエイプロテインパウダーはロイシンの含有量が最も多いだけでなく、9種類の必須アミノ酸がすべて含まれている完全なタンパク質食材でもある。

「ホエイは牛乳由来のタンパク質で消化吸収のスピードが速く、筋肉の増強と修復を促すため、プロテインパウダーの代表的な存在です」とエンライトは述べている。 「基本的に味はなく、ほかのプロテインパウダーと比べて低脂質、低糖質でもあります」

コシクは、『International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism』誌に掲載された2018年のメタ分析にも注目している。筋トレで体脂肪を除いた筋肉量を増やす場合、ソイプロテインパウダーはホエイプロテインパウダーと同じくらい効果があるというのだ。 植物由来のプロテインパウダーはビーガンやアレルギー疾患のある人に適しているが、ビーガン向けのプロテインパウダーは完全タンパク質ではない。

「このため、食品からもタンパク質を摂ることが大切です。1日を通してすべての必須アミノ酸を摂取するようにしなければなりません」とエンライトは説明する。

アプトンは、1食当たり15g以上のタンパク質を含む食品を選ぶよう提案している。 また彼女が強く勧めるのは、第三者機関の認証を受けたプロテインパウダーを選ぶことだ。Informed-Sport、Informed-Choice、NSF International Certified for Sportなどの独立組織が、栄養補助食品について、安全性、品質、効果に関する基準の適合状況を審査している。

エンライトによると、食品医薬品局は栄養補助食品の取り締まりを行っていないため、第三者機関による審査は「必要不可欠」なのだという。 「その証拠に、2018年にClean Label Projectが実施した調査では、ポピュラーなタンパク質補助食品の多くには鉛などの重金属や毒性物質が含まれていることが明らかになりました」と彼女は述べている。 「大学やプロチームで競技スポーツをしているアスリートで、プロテインパウダーを活用している方は、禁止物質を含有したプロテインパウダーを摂取することで、経歴に傷がついたり、奨学金を止められたりする恐れがあります」

専門家からのアドバイスとしては、ラベルの含有成分をよく読み、糖質や着色料を加えているブランドを避けることが勧められる。 「他の食品もそうであるように、プロテインパウダーも最小限の成分で作られるべきです」

結論

アプトンいわく、運動後にプロテインパウダーシェイクを飲むと、タンパク質の摂取と適切な水分補給という体の回復に必要な2つの条件を満たすことができる。

「私は、運動後の1時間以内にタンパク質と炭水化物の両方を含む食事か軽食をとるように勧めることが多いですね」 彼女のお勧めは、ベリー類入りのギリシャヨーグルト、卵サンドイッチ、ターキーサンドイッチ、牛乳か豆乳をかけた全粒穀物のシリアルなどだ。

信頼できるプロテインパウダーを探す場合は、「あなたの個人的なニーズ、目標、食の好みを踏まえて、一番いい製品をアドバイスしてくれる」公認栄養士に相談することをコシクは勧めている。

ただし、エンライトの忠告も忘れてはならない。プロテインパウダーと液体だけの食事では、ワークアウト後の体に十分な燃料を補給できないのだ。

「プロテインパウダーに果物や野菜、乳製品、ナッツ、種子を加えて、食事や軽食からすべての栄養を取るようにしてください」

とはいえ、運動して汗をかいた後に、必ずプロテインパウダーを食品や飲み物に入れる必要はない。

「動物性タンパク質、卵、乳製品、豆類、ナッツ、種子などの完全なタンパク質源を食べると、プロテインパウダーのみを摂取する場合に比べてはるかに多くの栄養素を体内に取り込むことができ、健康面で大きなメリットが得られます」とエンライトは語る。 「プロテインパウダーはタンパク質の摂取量を増やすうえでは有効ですが、栄養価の観点から見れば、タンパク質源となる食品に取って代わることはできません」

文:エイミー・カペッタ

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公開日:2022年6月21日