フラッターキック:正しいやり方と鍛えられる筋肉を解説
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フラッターキックには腹筋を鍛えて引き締める効果がある。 ここでは、効果的なやり方を紹介する。
引き締まった体幹を手に入れるには時間がかかる。 幸いなことに、体幹の筋肉を鍛えられるエクササイズにはさまざまなものがある。そのひとつが、フラッターキックだ。
このエクササイズでは、新たに器具を用意しなくても、体ひとつで腹部と腰の筋肉を鍛えることができる。 また、フラッターキックはほとんど誰にでも可能なため、普段からのワークアウトルーティンに取り入れやすい。
しかし、フラッターキックがどのようなエクササイズかは分かっていても、正しいやり方と鍛えられる部位について詳しくは知らない人もいるだろう。
ここで知っておくべきことを紹介しよう。
フラッターキックとは?
フラッターキックは、床に仰向けになって行う腹部のエクササイズだ。
「両脚をまっすぐ伸ばしたまま床から上げてから、バタバタと上下させましょう」と話すのは、管理栄養士と C.S.C.S.(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)の資格を持つSoHo Strength Labの共同創設者、アルバート・マシーニーだ。 ちなみに、フラッターキックはスイミングワークアウトの一環としてプールで行うこともできるが、基本的には陸上で行う運動だ。
ふつうは仰向けで行うが、腰の筋肉を鍛えたい場合はうつ伏せでもよい、とマシーニーは言う。
彼によれば、フラッターキックは主に下腹部の筋肉を使うため、クランチや腹筋の代用に便利で、 「ピラティスに取り入れられることが多い運動です」という。
フラッターキックで鍛えられる筋肉
フラッターキックは、複数の筋肉群を鍛えられるエクササイズだ。
「フラッターキックを正しい方法で行うと、下腹部と股関節屈筋を使いながら、大腿四頭筋もはたらかせることになります」と、ダグ・スクラーは言う。彼はエクササイズサイエンスの理学修士号を持つNSCA認定パーソナルトレーナーであり、ニューヨーク市を拠点とするフィットネストレーニングスタジオ、PhilanthroFITの創設者だ。
また、マシーニーによると、フラッターキックを行うことで腰の筋肉も活性化する。 そしてうつ伏せで行えば、臀部の上側を鍛えることもできるのだ。
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フラッターキックのやり方
スクラーが推奨するフラッターキックのやり方はこうだ。まず、ヨガマットなどの心地良い平らな面に仰向けになる。 続いて、両脚をまっすぐ伸ばし、腰を床に押し付けながら、左右の脚を交互に15cm〜20cmほど上下させる (手や前腕を臀部の下に入れた方がやりやすいという人もいれば、腕を体の横に置いた方がやりやすいという人もいる)。
「脚は板のようにしっかりと伸ばしてください」とマシーニーは言う。
スクラーによると、初心者はかかとで床に触れてもよい。 「エクササイズの経験が豊富な人は、かかとを床から5cm〜10cmほど離すようにしましょう」とスカラーは述べている。
マシーニーによると、脚を動かす速度は完全に自分次第だという。彼は 「スピードはさほど重要ではありません。 最も意識したいのは継続時間です」と言いながら、「速すぎず遅すぎず、自分にとってほど良いペースで行ってください」と勧めている。
またスクラーは、ゆっくりとしたスピードから始めるとよいといい、 「スピードを変えながら行ってもいいですが、ゆっくり始めて徐々に速くするのがおすすめです。 腰の位置に特に注意を払い、正しい方法で行うことに集中してください」と話している。
フラッターキックの初心者なら、「継続的にこなすことができるセットと回数」を行えばいいと、スクラーは勧めてくれた。
たとえば、フラッターキックを10秒行って30秒休み、これを3回繰り返す。 この運動に慣れ、体幹の筋肉が鍛えられてきたら、各セットの時間を徐々に延ばしていくとよい。
「スピードを上げることで負荷を高めることができますが、遅すぎても速すぎてもよくありません」とマシーニーは忠告している。
いつフラッターキックを行うべきか?
フラッターキックには特別な器具が一切必要ないため、ワークアウトへどのようにでも、手軽に取り入れることができる。
「ウォームアップに一定時間のフラッターキックを数セット追加しても、ワークアウトの最後に仕上げのルーティンとして行ってもよいでしょう」とスクラーは言う。
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マシーニーによると、フラッターキックはワークアウトのどのタイミングで行ってもよい。 「腹部と脚を鍛える運動なので、上半身のエクササイズと組み合わせて自分だけのトレーニングメニューを作ることができます」とマシーニーは述べている。
また、エクササイズルーティンの最後に腹部のトレーニングをする人が多いが、必ずしもそうする必要はなく、 「本当に自分次第です」とマシーニーは言う。
フラッターキックに関するよくある間違いと注意点
1.背中が丸まっている
マシーニーによると、腰は床に押し付けておくのが理想的だ。 へそを背骨に押し込むイメージ、またはお尻を引っ込めるイメージで行うよう、マシーニーは勧めている。
「お尻を引っ込めようとすると、骨盤がより自然な位置に動きます」とマシーニーは言う。 「お尻を引っ込めて、肋骨を下げます。 そうすると背すじのカーブがなくなり、腰が床に対して平らになります」
スクラーによると、腰の下に手を入れれば、背中が丸まっているかがすぐに分かるようだ。 「腰の下に手を入れて反対側まで通すことができる場合は、怪我をする可能性があります。 下に手を入れられないよう、腰を床に押し付けるようにしてください。」2.腹部を使っていない
マシーニーによると、フラッターキックの効果を最大限に高めつつ怪我のリスクを抑えるためには、腹部を使うことが極めて重要だ。
「腹部を使わなければ、背中にストレスがかかります」とマシーニーは言う。 「それはこのエクササイズの目的ではなく、背中の状態の悪化やけいれんを引き起こす可能性があります」
3.首に力を入れ続ける
マシーニーによると、フラッターキックを行っているときは、背骨がまっすぐな状態を維持した方がよい。 つまりは、首を曲げてはならないということだ。 「首を曲げず、 頭を床に付けてください」とマシーニーは述べている。
4.時間が経つにつれてフォームが崩れる
マシーニーによると、フラッターキックを行うと疲れるため、時間が経つにつれてフォームが崩れやすい。 「腹部にそれほど効いていない、または背中が上がってきていると感じたら、腹部が疲労して休憩が必要になったサインです」とマシーニーは言う。
5.長く続けすぎている
理屈上は、フラッターキックはフォームを維持できる限りどれだけ続けても構わないが、マシーニーは30〜60秒も行えば十分で、 「フラッターキックを何分も行っても違いは生まれません」と述べている。
文:コリン・ミラー