妊娠中の食事に関する新「ルール」

Nike (M) が登場

何をどうやって食べればよいか、ひたすら検索して調べる必要はない。妊娠中の栄養摂取はかなりシンプルだ。エキスパートがあなたをサポートする。

最終更新日:2022年6月30日
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  • 妊娠した人は多くの場合、禁止された食品は回避するが、必ずしも健康的な食品を十分に摂っているとは言えない。
  • 食に関する世間の風潮や予想外の食欲、吐き気によって、妊娠中は計画どおり食事をすることが、きわめて困難になる場合がある。
  • 心身ともに快適に過ごすために、いくつかの食品と食習慣を妊娠中のルーティンに取り入れると良い。


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*このコンテンツの目的は情報提供と意欲の向上であり、診断、治療、特定の医療に関するアドバイスを意図したものではありません。妊娠前、妊娠中、出産後の健康と安全の維持については、必ずかかりつけ医に相談してください。

「普段」の食生活がどうであれ、妊娠すると改めて食生活を考え直す必要に迫られる。魚は食べられるのか、コーヒーは避けた方がよいのか、気持ちが悪くならない食べ物は何か? 『Nutrients』で発表された研究によれば、妊娠した人は、有害と見なした食品の排除には積極的だが、栄養価の高い食品への切り替えにはそれほど熱心ではない。これではせっかくのチャンスを逃すことになる、とエキスパートは指摘する。

食べてはいけないものについて心配するよりも、健康的でストレスの少ない妊娠期間にするための食べ物や習慣に意識を集中しよう。そう話すのは、ニューヨーク市の公認栄養士で、『Healthy, Happy Pregnancy Cookbook』(ヘルシーでハッピーな、妊娠中のレシピブック)の共著者でもあるウィロー・ジャロシュだ。具体的なプロセスについて説明しよう。

1. 頻繁に食べよう。

妊娠中の食事で最も大切なのは自分に栄養を与えること、というのがジャロシュの見解だ。食に関する世間の風潮(食べ方には「正解」があって痩せている方がよい、という望ましくない考え)によって、小食こそ美徳、本当に空腹なときだけ食べるのがよい、と信じてきたかもしれない。しかし、今はこの基準を無視していい。血液量が2倍になって、まったく新しい器官が発達し、1人の人間を生み出そうとしている。しかもその間ずっと、人間らしい生活を送るのに毎日苦労しているのだから、とジャロシュは言う。つまり、食べ物はエネルギーであり、気分を楽にしてくれるのだから、頻繁に食べた方がよいというのが結論だ。

この時期は、心房細動で吐き気を感じたり、胎児の成長で腹部が圧迫されたりするので、一度にたくさん食べられず軽食や食事の量が減るかもしれない、とジャロシュは言う。ヨーグルトやストリングチーズ、ミックスナッツを用意しておくと、満足した状態を保てるし、カルシウムやタンパク質といった主要な栄養素の問題も解決できる。カリフォルニア州オークランドの医学博士であり認定産婦人科医のアマンダ・ウィリアムズのアイディアも参考にしてほしい。三角形に切ったサンドイッチを数時間おきに一切れずつ、果物と一緒に食べるのだ。

一日中、絶えずブロッコリーやカリフラワーなどの野菜を口にして、繊維や葉酸を摂取しよう。フムスを加えれば軽食にもなる。脂肪が多い冷水魚もオメガ3が豊富に含まれており、妊婦の重要な栄養源だ。ツナサラダ(米国食品医薬品局によれば、ライトツナは水銀濃度が高くないのでおすすめ)や、食欲があればサーモンの料理を食べてみよう。

空腹感をうまく感じ取れない、または忙しくて無視してしまう場合は、スケジュールを組んで定期的に食べるとよい。

妊娠中には何をどう食べるべきなのか

2. 欲求に耳を傾けよう(そして学ぼう)。

なぜ朝7時に揚げ物を食べたくなるのか、その理由は科学的に解明されていないが、そういう気持ちになっても問題ない。公認栄養士でPrenatal Nutrition Libraryの創設者でもあるライアン・キッピングはこう説明する。「妊娠中は、これまで以上に体の状態に意識を向けましょう。人間の体はとてもよくできていて、何が必要か教えてくれます」

よくあることだが、普段は植物性中心の食事なのにどうしてもジューシーなステーキが食べたくなったら、鉄分レベルを上げろという体からのメッセージかもしれない(血液量の変化について思い出そう)。肉を食べても構わないのなら自分にゴーサインを出そう。そうでなければ、豆腐、テンペ、豆類、カシューナッツ、ドライフルーツを食べるとよい。専門家のアドバイスによると、このときトマトやホウレンソウなどのビタミンCが豊富な食品を同時に摂取すると、鉄分の吸収が促進されるそうだ。

妊娠前に比べて砂糖への欲求が強まっているなら、食べる量が不足しているか、または炭水化物の摂取が不足しているというサインかもしれない。いずれの場合も血糖値のバランスが悪くなるとジャロシュは言う。脂肪、タンパク質、さらに炭水化物を十分に摂取しないと、エネルギーレベルが一気に下がり、身体が手っ取り早く回復するために、糖分を要求する。甘いものを食べるのを後ろめたく感じたり、無理に我慢したりする必要はない。だが、いつも砂糖に手が伸びるのであれば、たとえばサンドイッチにチーズを、パスタにチキンを加えて、栄養バランスの改善で全体的に気分が落ち着くか確認してみよう。

3. 食べ物は薬だと考えよう。

吐き気、胸やけ、便秘が好きな人などいないが、妊娠中は避けられない。

つわりがひどくなってきたら、タンパク質を豊富に含む食品を食べるとよい。(予想がつくと思うが)血糖値が安定して楽になる可能性がある、とキッピングはアドバイスする。しかし、吐き気がするときにはタンパク質を食べたくないのが普通だろう。体調が良いときに(そして朝一番に)十分摂取すれば吐き気が治まるかもしれない、とキッピングは言う。おすすめは。プロテインだけでなくコリン、葉酸、ビタミンB、健康的な脂肪が含まれており、どれも妊娠に必要な栄養素ばかりだ。

吐き気の解決策を1つ紹介しよう。チーズやピーナッツバターをクラッカーに乗せるというのがジャロシュの提案だ。吐き気がするとき、炭水化物は口にしやすいので、効果の高いタンパク質も同時に食べて栄養価を高めるのだ。胸やけに苦しんでいるのなら、食事中は飲み物を控え、食後に身体を動かし、少ない量を何回も食べるようにすれば、炎症が治まる可能性がある。便秘については、そら豆やいんげん豆、レンズ豆などの豆類が解決してくれる(説明は不要だろう)。

4. 冷蔵庫以外にも目を向けよう。

自分の身体との良い関係を養わずして、身体を養うことはできない。まず見直したいのはソーシャルメディアだとジャロシュは言う。私たちの多くは、食べ物よりもメッセージを多く消費している。だから、食に関する望ましくない風潮をあおり、妊娠中や出産後の身体について非現実的、または不愉快なメッセージを送ってくるアカウント、食事の選択について自分が批判されているような気分になるアカウントは、ためらわずにフォロー解除のボタンを押そう。それから、リアルな世界で自分の周りにいる人々に目を向ける。健康に対する彼らの考え方が、たとえ故意ではないとしてもあなたを傷つけるのであれば、そういう人たちとは距離を置いた方がいい。


最も重要なのは、これはあなたの身体、あなたの妊娠だということだ。自分自身を信じれば、食べ物に対する不安は消え、一口ずつ、この体験を楽しめるだろう。

文:サブリナ・ハン
写真:ビビアン・キム

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妊娠中のさまざまなアドバイスは、Nike (M) ページをチェックしよう。メンタル面、運動、食事、リカバリー、睡眠など、ママに耳寄りな情報が満載だ。

公開日:2022年5月19日