ヘビーウェイトバスケットボールとは?またその使用メリットは?
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2人のバスケットボールコーチが、パスに抵抗を加えることで得られるメリットを解説。
ウェイトバスケットボールは、ベテランのバスケットボール選手にとっても、ピックアップゲームを楽しむ初心者にとっても、スキルの向上に欠かせない重要なツールである。
ウェイトバスケットボール(ヘビートレーナーとも呼ばれる)とは、その名のとおり、少し重みのあるバスケットボールのこと。これを使うと、漸進性過負荷の原則に従った運動が可能になる。 UCLA女子バスケットボールのヘッドコーチであるコリ・クローズによると、ウェイトバスケットボールは通常のバスケットボールと同じサイズで見た目や触り心地は似ているが、中には種類の違う革やゴムで作られているものもあるという。
ただし、多くの場合、通常のバスケットボールとウェイトバスケットボールの重量は、それほど異なるわけではない。
ウェイトバスケットボールの重量は、通常、約1.3キログラム(従来のバスケットボールの2倍の重量)~1.8キログラムのため、 重量に極端な差があるわけではない。しかし、ウェイトバスケットボールには、付加的な効果をもたらす利点があるのだ。
クローズと、USC女子バスケットボールのアソシエイトヘッドコーチであるベス・バーンズが、ウェイトバスケットボールを使う利点を以下に解説する。
ウェイトバスケットボールトレーニングの利点
1.ウェイトバスケットボールは抵抗を生み出す
ウェイトバスケットボールを使用する主な利点の1つとは? ウェイトバスケットボールを使うと、漸進性過負荷の原則により、抵抗が生まれて練習の難易度が増し、筋力が強化される。
「トレーニングは、試合の時よりも負荷をかけて行いたいものです」とクローズは言う。 「筋力や進歩、チャンスを望んでいるのなら、ウェイトバスケットボールを使用してみましょう」
継続的に使用すれば素晴らしいメリットを得られると、彼女は付け加える。つまり、プレーヤーのスキル向上に役立つのだ。その効果は特に、チームメイトにボールをパスするスキルにあらわれる。
2.パスのスキル向上に役立つ
ウェイトバスケットボールは、さまざまな方法でトレーニングに組み込めるため、特定のドリルの定番にすることができる。 特に、パスの練習に最適であるとクローズは述べている。
優れたパスのスキルは試合において重要だ。ウェイトバスケットボールは加重により練習の難易度を上げるため、こうしたスキルの向上に役立ち、試合中のパスを容易にする効果があると、彼女は付け加える。
具体的には、ウェイトバスケットボールを使用することで、パスの速度、強度、精度の向上に役立つと、バーンズは補足する。
「3人のウィーブ(サイドラインに立ち、コートを行ったり来たりして、チェストパスを繰り出す)は、少し重たいボールで行うと難易度が増します」彼女はそう述べ、その理由は漸増抵抗にあると付け加える。 「その後、通常のボールに戻ると、違いを感じることができます。 もっと上手くパスできるようになるのです」
3.ボールハンドリングを微調整するスキルが身につく
ウェイトバスケットボールによるトレーニングは、ドリブルや方向転換時のボールコントロールなどのボールハンドリングスキルを向上させる効果もある。
「2つの異なるボール(ゴムを使ったボールと革を使ったボール、あるいは、空気が十分に入ったボールとそうではないボールなど)を使えば、ボールの表面が変わっても、バウンド力が変わっても、それぞれに対応したボールハンドリングができるようになるということは、ずっと前から分かっていました」とバーンズは語る。 「プレーヤーをそうした状況に置けば、実際のボールを使うときに、より良いプレーができるようになると思います」
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4.あらゆるレベルに対応可能
ウェイトバスケットボールのもう1つの利点は、あらゆるレベルのバスケットボールプレーヤーに有効である点だ。
「NBAのスターであろうと、初心者であろうと、構いません。ウェイトボールは、スキルを向上させたいすべてのプレーヤーの役に立ちます」とクローズは言う。 「それが上達するための唯一の方法とは思いませんが、このツールを使用することに、年齢(または経験)は関係ないと思います」
バーンズはこのアドバイスに同意し、 「誰にとっても有益だと思います」と述べている。 ただし、初心者の場合は、漸進性過負荷をかける前に、試合に必要な基礎的スキルを学ぶのが最善であると彼女は念を押している。
ウェイトバスケットボールを練習中に使用するタイミング
ウェイトバスケットボールは、パスやボールハンドリングの練習に最適だが、 シュートの練習に使用することをバーンズは勧めていない。シュートは難易度が非常に高く、加重を必要としないからだ。
バーンズとクローズは、スキルの育成に重点を置く練習の開始段階でウェイトバスケットボールをトレーニングに組み込むと良いと述べている。 しかし、どちらのコーチも、タイミング以上に重要なのは継続性だと述べている。 毎回の練習であろうと、オフシーズン中の練習であろうと、ウェイトバスケットボールを定期的に使用している限りその成果を得られる可能性は高いと彼女たちは説明している。
文:ジェシカ・エストラーダ