フィットネスの向上に効果的なトレッドミルのワークアウト3選
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心血管系の健康と筋力を増進する3タイプのトレッドミルワークアウトを、エキスパートが紹介。
トレッドミルを使ってできるワークアウトは、固定された場所で行うランニングやウォーキングにとどまらない。 トレッドミルにはスピード、高低差、さらには傾斜やインターバルを変更するオプションがあり、心肺持久力を高めるための究極のツールといえる。
「有酸素運動とは、心拍数を安定した状態、つまり有酸素レベルにすることを意味します」と認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト(C.S.C.S.)のジェフ・ワッターズは言う。 とは言え、トレッドミルの役割は有酸素レベルの調整だけではない。
ヴァネッサ・リウ(NASM公認パーソナルトレーナー)によれば、トレッドミルをサーキットトレーニングルーティンやHIIT(高負荷トレーニング)の一部に取り入れることもできる。
(関連記事:インターバルトレーニングのメリット))
トレッドミルを使ったフィットネスの向上方法として、サーキットに組み込むのも一案だ。トレッドミル上で速く歩くか、または軽くジョギングして、停止し、数分間筋力トレーニングを行い、その後再びトレッドミルでサーキットを続ける。
「このやり方なら非常に効率的なワークアウトができます。 1回のトレッドミルワークアウトで、有酸素運動と筋トレの両方ができるからです」とリウは語る。
また、衝撃の少ないトレッドミルワークアウトがお好みなら、ウェイトを使って歩くことで強度を高められる。全力を出し切る必要はない。 「軽いダンベルを追加すれば、オーバーヘッドプレス、ラテラルレイズ、バイセップカールができます」とリウ。
トレッドミルを使った有酸素運動で最適なペースを見つける方法
「個々に合った有酸素運動の最適なペースは、通常、ランナーの目標に基づいて決まります」そう話すのは、全米陸上競技認定レベルII 持久力コーチであるジョナサン・ポストンだ。 たとえば、競技に力を入れているランナーは、趣味で気楽に走るランナーよりもはるかに高いペースでトレーニングを行う。
ポストンによれば、あらゆるスキルレベルのランナーが最適な有酸素運動ペースを決定するために使用できる実用的なツールがいくつかある。「トークテスト」と呼ばれるものもその一つ。 さまざまな速度で走り、走っている最中にどれだけ会話ができるかを測定するテストだ。
(関連記事:ランニングコーチが解説する、最適なランニングペースの見つけ方)
たとえばランニング中にほとんど話すことができないという人は、それがその人の高強度スポットである可能性が高い。滑らかに話すことはできるが歌うことはできないという人は、それがその人の中強度スポットと判断される。 強度が低ければ、話すことも歌うことも問題なくできるはずだとポストンは説明する。
「この方法なら、予定どおりラクに走っているか、または高強度トレーニングランを行っているかどうかを判断することで、オーバートレーニングを避けつつパフォーマンスを最大限に高めることができます」
フィットネスの向上に効果的なトレッドミルのワークアウト3選
1. 衝撃の少ないトレッドミルワークアウト
初心者向け、または衝撃の少ないワークアウトが必要な人に最適なワークアウト。
「衝撃の少ない運動がしたい日には、メリハリのあるインターバルを設けたトレッドミルでのウォーキングワークアウトがおすすめです。特に、関節へのストレスが少ないアクティブリカバリーを必要とする人などにぴったりです」とリウは話す。
衝撃の少ない、初心者向けのトレッドミルワークアウトを行うには、まずウォームアップとして時速3.2キロで2分間歩くことをリウはすすめる。 次に、時速3.2キロと6.4キロを交互に切り替えながら、20~40分間歩く。 時速3.2キロから始めて、5分ごとに時速0.8キロずつスピードを上げていく。 時速6.4キロに達したら、5分ごとに時速0.8キロずつスピードを落としていく。 時間になったら、時速3.2キロで2~3分間歩いてクールダウンしよう。
40分間の衝撃の少ないトレッドミルワークアウトの手順は次のとおり。
- 時速3.2キロで2分間歩く(ウォームアップ)
- 時速4キロで5分間歩く
- 時速4.8キロで5分間歩く
- 時速5.6キロで5分間歩く
- 時速6.4キロで5分間歩く
- 時速5.6キロで5分間歩く
- 時速4.8キロで5分間歩く
- 時速4キロで5分間歩く
時速3.2キロで2~3分間歩く(クールダウン)
2. 中級トレッドミルワークアウト
持久力を試したい場合は、中級者向けのトレッドミルワークアウトを試してみよう。 一定のペースでジョギングを行い、傾斜などの要素を取り入れることをリウはすすめる。これは、従来の軽いジョギングよりも大臀筋、大腿四頭筋、ふくらはぎを鍛えるのに役立つという。
このワークアウトでは、5分ごとに傾斜を0.5%増しながら、一貫した適度なペース(低~中強度の有酸素運動ペース)で20~40分間ジョギングする。
30分間の中程度のトレッドミルジョギングワークアウトの手順は次のとおり。
- 低強度の有酸素運動ペースで2分間ジョギングする(ウォームアップ)
- 中強度に上げて5分間ジョギングする
- 5分経ったら、傾斜を0.5%上げる
- 手順3を5回繰り返す
- 平坦な状態にして、時速6.4キロで2~3分間歩いてクールダウンする
傾斜をつけない、中程度のトレッドミルエクササイズの場合は、低強度の有酸素ペースで2分間ジョギングし、続いて中強度の有酸素ペースで5分間ジョギングしてもよい。 この2つを交互に4回繰り返す(約28分)。その後、2分間のウォーキングでクールダウンしてから、30分間のランニングを行う。
2. 上級トレッドミルワークアウト
USATFおよびRRCA認定の長距離コーチであるメーガン・ケニハンによると、トレッドミルで30分間快適に走ることができれば、より高度なトレッドミルワークアウトを取り入れて「バリエーションを増やし、自分自身に挑戦する」準備ができていると考えてよい。
もっと難易度を上げたければ、トレッドミルで高強度のインターバルを行うことをリウはすすめる。 このワークアウトでは、自分に合った高強度の有酸素運動ペースにトライしてみよう。 ペースは個人差がある。トークテストは自分の速度を測定する優れた方法だが、一般的には時速13~16キロとされている。 これまでに紹介したエクササイズルーティンと異なり、このワークアウトは短くすることをリウは提案する(10~20分)。
より高度なトレッドミルワークアウトを試すには、中強度のスピードで2分間のウォームアップジョギングから始める。 次に、時速13キロ(または自分の高強度有酸素ペース)に上げて、30秒間走る。 「高強度のランを30秒間、低強度のランを90秒間、これらを交互に行います」とリウ。
10分間のHIITトレッドミルワークアウトの手順は次のとおり。
- 中強度のスピードで2分間ジョギングする(ウォームアップ)
- 高強度のスピードで30秒間走る
- 中強度のスピードに落として、90秒間のリカバリージョギングを行う
- 高強度のスピードで30秒間走る
- 90秒間のリカバリージョギングを行う
- 高強度のスピードで30秒間走る
- 90秒間のリカバリージョギングを行う
- 時速5キロで2分間歩いてクールダウンする
トレッドミルを使用した運動のメリット
1. さまざまな強度に対応できる
トレッドミルは走るためだけのものではない。 ジムで運動するにせよ、自宅でコンパクトなトレッドミルを使用するにせよ、ウォーキングを含めてさまざまなワークアウトをこのマシンで行える。
「関節への負担が少ないアクティブリカバリーを行いたいときにもトレッドミルワークアウトは最適です」とリウは語る。 トレッドミルを使うとペースを管理しやすいので、「持久力を向上させることができ、より適度な運動を必要としているときにも役立ちます」
トレッドミルにはスピード、傾斜、ペース、距離などの指標が明確に表示され、自分のニーズに合わせてそれらをコントロールできる。
2. インターバルトレーニングの強化に有効
「研究によると、持久力の指標として体が消費できる最大酸素量を示すVO2 maxは、インターバルトレーニングによって改善できる。 VO2 maxが高いほど、運動中に体が利用できる酸素が多くなる。つまり運動パフォーマンスにプラスの影響があるのだ。
さらに、トレッドミルでのインターバルトレーニングは時間効率も良い。 「20分間のトレッドミルインターバルワークアウトに取り組むと、より長いワークアウトと同じ効果が得られます」とリウは語る。
(関連記事:ワークアウトに本当に必要な時間とは エキスパートの解説)
3. 関節を保護する
膝や足首に不安を抱えた状態でエクササイズを行う場合、トレッドミルでのトレーニングは、固い舗装路を走るよりも関節への負担が小さい、とリウは指摘する。
「トレッドミルの着地面は柔らかいため、一般的により多くの衝撃を吸収します」とリウ。 「そのため、トレッドミルトレーニングは下半身のけがから回復している最中の人や、関節が弱く、柔らかい着地面を必要としている人にとって理想的なのです」とつけ加える。
とはいえ、シンスプリントを患っている人は、トレッドミルを控えた方がよい。使用するとしても傾斜をつけた状態で低強度のジョギングかウォーキングにとどめた方がよいだろう。傾斜をつけていると、衝撃を多少なりとも緩和できるからだ。
「トレッドミルのベルトは屋外のほとんどの路面よりも柔らかく作られているため、膝、背中、足首への負担が大幅に軽減されます」とケニハンは説明する。 「トレッドミルにはベルトとデッキの下に配置されたクッションシステムが備わっており、衝撃を吸収します」
これだけでも衝撃が軽減されるが、舗装道路での激しい衝撃に比べて関節、骨、筋肉への衝撃をさらに緩和する機能が追加されているものもあると彼女は付け加える。
ただし、新しいワークアウトを試す前に医師または理学療法士に相談することが重要だ。特に下半身にけがを抱えている人は必ずそうしてほしい。トレッドミルのトレーニングは、必ずしもすべてのけがに対応しているわけではないからだ。
文:ジェシー・クイン