トラック&フィールドの種目に関する初心者ガイド

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走る、投げる、跳ぶ、ハードルを飛び越える、歩くなど、トラック&フィールド競技には誰もが楽しめる要素が満載。 ここでは、この競技の幅広い種目について紹介する。

最終更新日:2024年7月3日
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トラック&フィールドの基礎知識:トラック&フィールドの種目に関する初心者ガイド

陸上競技大会を見たことがある人なら、陸上競技にはそれぞれの競技に特有のアクションがどれだけ多く含まれているかをご存知だろう。 1つの大会で数十にのぼる種目が競われ、短距離走、跳躍競技、投てき、ハードル、長距離走、競歩をはじめとするあらゆる競技の選手が活躍する。

ペンシルベニア大学でトラック&フィールドおよびクロスカントリーの監督を務めるスティーブ・ドーランは、レースや競技の幅広さが、陸上の大きな魅力の1つだと話す。 種目が数多くあるので、アスリートであれ、観客であれ、必ず1つは特に惹かれる種目が見つかるはずだ。

次にチャレンジする種目を探している人も、20を超える陸上競技種目について詳しく知りたい人も、このガイドをチェックして、陸上競技種目について知っておくべき数多くの領域について陸上専門のコーチから学ぼう。

その前にまず、トラック自体について知る必要がある。

トラック1周の長さは?

陸上競技の国際統括団体であるワールドアスレティックス(世界陸連)は、競技用トラックの基準を定めている。 標準的な屋外トラックの内側レーンは、1周の距離が400m。 400m競走では、選手はトラックを1周する。 200m競走は屋外トラック半周になる。

注:室内トラックの標準的な距離は200mなので、標準的な室内トラックで400m競走を行う際は、トラックを2周走ることになる。

トラックを1周以上走る屋外のレースで、アナウンサーが「バックストレート」や「ホームストレート」という言葉を使うのを聞いたことがあるかもしれない。これは、トラックの2つの長い部分、つまり直線走路のこと。 「ホームストレート」はゴールがある側の直線走路、「バックストレート」はその反対側の直線走路を指す。

陸上競技大会の競走とハードルの種目は、ほぼすべてトラックで行われるが、 例外もある。 オリンピックでは、マラソンや一部の競歩種目は通常、競技場の外で実施され、トラックでゴールする。 中学校、高校、大学の標準的な屋外陸上競技大会や、その他一流選手が競う大会で競走種目が行われるのは、400mトラックだ。

その他の投てき競技や跳躍競技などは、トラック内側のエリアやトラックに近い別の場所で実施される。 こういった競技が「フィールド」種目だ。 では、トラック種目からフィールド種目まで、種目ごとの詳細を見ていこう。

短距離走:60m競走(室内のみ)、100m競走、200m競走、400m競走、4×100mリレー、4x400mリレー

短距離走では、選手はスタート地点でスターティングブロックに足を乗せる。これは金属製の器具で、スタートの合図でスタートラインから勢いよく飛び出すために使用する。

スプリンターが皆すばやいことは言うまでもないが、ライバルを差し置いて頭角を現すには、スピード以外の技能も磨く必要があると、ジョージタウン大学トラック&フィールドおよびクロスカントリーの監督、アルトン・マッケンジーは語る。

「非常に高いテクニックを要する勝負になります。 タイムを0.1秒縮めようとする細かなテクニック追求の段階になると、一筋縄ではいかない労力が求められます」

スプリンターは、タイムをコンマ1秒縮めるために、スタート、ランニングフォーム、テクニックの改善に取り組む。この努力が1位と2位の差を生むことになるのだ。

(関連記事:スプリントのスピードを上げる秘訣をエキスパートが伝授

短距離走のほとんどは個人種目だが、リレーもある。 リレー種目では、4人の選手がチームを組み、交代時にバトンをつないで、全員が順に同じ距離を走る。 たとえば4x100mリレーでは、4人の走者が100mずつ走り、合計400mで競う。

各走者が20mのテイクオーバーゾーン内で次の走者にバトンを渡し、バトンを受け取った走者は次の100mを走る。 4x100mリレーのほか、4x400mリレーもある。

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中距離走:800m競走、1500m競走、1マイル競走、4x800mリレー

中距離走のレースでは、スターティングブロックは使用しない。 選手はトラックに足をつけたランジの姿勢からスタートすることが多い。 中距離走の選手には、スピードと持久力の両方が求められる。

1500m競走は、1896年以来、オリンピックで実施されており、大学や国際大会での標準的な種目になっている。 「メトリックマイル」と呼ばれることもある1500mは、標準的なトラックの3周と4分の3に相当する。 これは、1マイルより109m短い距離だ。

1マイル競走を実施する大会もある。 1マイルは1,609m。標準的なトラック4周が1,600mなので、 1マイル競走ではフィニッシュラインの9mだけ後方からスタートする。

800m競走は、厳密に言えば0.5マイルではないが、「ハーフマイル」と呼ばれることもある。 また、大会によっては、4x800mリレーも行われる。 短距離のリレーと同じく、4人のランナーがチームを組んで1人ずつ同じ距離を走り、合計3,200mでレースを展開する。

(関連記事:コーチのお墨付き:ランニングを上達させるための5つのヒント

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長距離走:3000m障害物競走、5000m競走、10000m競走

長距離走は持久力が求められる種目だ。 5,000mあるいは5kmは、3.1マイル。 10,000mあるいは10kmは、6.2マイル。

3000m障害物競走では、選手はハードルに似た大型の障害物を跳び越える。 1周するごとにトラックの楕円のカーブを大きく回り、トラックの内側に逸れて、大きな堀に水が張られた水濠を跳び越える。

水濠を越えたら、再びトラックのレーンに戻り、レースを続ける。 3000mで、選手はトラックを7周半走り、障害物を28回、水濠を7回跳び越える。

この障害物は、後で説明するハードル競走で使われる障害物とは別物だ。 全米陸上競技連盟(USATF)のルールブックによると、男子の競技で使う障害物の高さは約91cm、女子用のものは約76cm。 障害物の横幅は、男女ともに3.96mだ。

短距離種目で選手が跳び越えるハードルとは異なり、この障害物は固定されていて、選手が接触しても動かない。 また、ハードルより厚みがあり頑丈なので、障害物の上に乗って越えても倒れることはない。

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競歩:20000m、50000m

競歩では、常にどちらかの足が地面に接していなくてはならない。 両足が同時に地面から離れた選手は、歩く動作ではなく走る動作とみなされ、失格となる。

だからといってスローペースというわけではない。2020年オリンピックの男子20km競歩金メダリストのペースは時速14.8km(時速9.19マイル)だった。 これは、1マイルを約6分31秒で歩くペースだ。

競歩はどの大会でも実施されるというわけではない。たとえば、全米大学体育協会(NCAA)の大会に競歩はない。また、上記とは異なる距離で実施される場合もある。 ただ、オリンピックでは、20km(20000m)と50km(50000m)の距離で、競歩が実施されている。

オリンピックの競歩種目としては、20kmのレースは男女ともに採用されているが、50kmのレースは男子だけだ。

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ロードランニングの種目:マラソン、ハーフマラソン

マラソンの距離は42.195km。 したがって、ハーフマラソンの距離は約21.1kmになる。 マラソンもハーフマラソンも、たいてい道路で行われ、陸上競技大会とは別に実施されることが多いが、マラソンはオリンピックの最後を締めくくる競技だ。世界陸上競技選手権大会には、ハーフマラソンとマラソンの両方が採用されている。

(関連記事:初心者ランナーのためのマラソントレーニングの9つの重要なヒント

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ハードル種目:100mハードル、110mハードル、400mハードル

ハードル競走では、金属製の10台のハードルを跳び越えながらフィニッシュラインを目指す。 USATFのルールブックによると、男子のハードルの高さは、110mハードルで1.067m、400mハードルでは0.914m。 女子のハードルの高さは、100mハードルで0.84m、400mハードルで0.762mだ。

このハードルが、コース全体に間隔を空けて設置される。 400mハードルの場合、スタートから最初のハードルまでの距離は45mで、2台目以降のハードルの間隔は35m。 100mハードルでは間隔は8.5m、110mハードルでは9.14mと定められている。

ほとんどの大会で、男子が110mハードル、女子が100mハードルを競う。 400mハードルは男女ともに実施される。

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跳躍種目:走高跳、走幅跳、三段跳

走高跳は、助走をつけて片足で踏み切り、4m幅の細い水平のバーを跳び越える競技だ。 バーに強く当たると、バーはスタンドから落ち、そのジャンプは無効となる。

1960年代後半から、背中を地面に、胸を上に向け、後ろ向きにバーを跳び越える選手がよく見られるようになった。 後ろ向きに跳んだ後、選手はクラッシュパッドと呼ばれる大きなクッションの上に着地する。

走幅跳では、踏切板に向かって40mの直線距離をダッシュし、 踏切板を踏んで、砂場のできるだけ遠い位置に着地できるようジャンプする。 各選手が跳ぶ回数は大会によって異なる場合もあるが、通常は最も長い距離を跳んだ選手が勝者になる。

走幅跳のルールに従い、跳躍の前に踏切板の端からつま先が出ないようにしなければならない。 つま先が踏切板のラインを踏み越してしまうと失格になり、そのジャンプは無効になる。

三段跳は、踏切版をめがけて全力で走り、3回続けて水平方向に跳躍する競技。 この跳躍はホップ、ステップ、ジャンプと呼ばれる。 ホップは片足でのジャンプで、踏み切りと同じ足で着地する。つまり、右足で踏み切ったなら右足で着地する。

次のジャンプであるステップは、片足で踏み切るが、反対側の足で着地する。 たとえば、ホップを右足で踏み切った場合、ステップの着地は左足になる。 最後の跳躍となるジャンプでは、「ステップ」で着地した足で踏み切って、砂場のできるだけ遠い位置をめがけて跳躍する。

こういった踏み切りや着地を適切に行うには、高いコーディネーション能力が求められるとドーランは話す。 足を切り替えて3段階の動作をすべてスムーズに行いつつ勢いをキープするのは、至難の業だろう。

それでもこの動作をマスターすることが成功の鍵になる。三段跳の勝者は、「ホップ」を踏み切った位置から「ジャンプ」で着地した位置までが最も遠かった選手だ。走幅跳と同じく、チャレンジできる回数は大会によって異なる。

跳躍種目が専門でも、この3種目の選手に関しては走力も優れている必要があるとマッケンジー。 踏切板に向かって全力で走る必要があるため、トレーニングでも大会でも、跳躍よりも走ることに時間を費やしているのだ。

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棒高跳

棒高跳も、走高跳と同様に空中に高く跳躍し、水平の長いバーを落とさずに跳び越えなければならない。 クラッシュパッドに着地するのも走高跳と同じだ。

走高跳との違いは、ポール(棒)を使うこと。棒高跳の選手は、跳躍する前に、ファイバーグラス製かカーボンファイバー製の長くしなやかなポールを持って全力で走る。 ポールの長さは5mほどに及ぶ

選手が跳び越えようとするバーの下のボックスにポールを突っ込むと、ポールはたわむ。 たわんだポールがまっすぐな状態に戻ろうとするときに、選手を空中に振り上げる。そして成功すれば、バーを越えられる。 走高跳と同じく、跳び越えたバーが最も高かった選手が勝者となる。

全力疾走し、適切な位置にポールを突っ込み、ポールの位置を維持してできる限り高い位置に到達するためには、棒高跳の選手も非常に高いコーディネーション能力が必要だとドーランは話す。

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投てき種目:やり投、砲丸投、ハンマー投、円盤投

この4種目はすべて、ラインやサークルから踏み出さずに、器具をできるだけ遠くへ投げる競技だ。 ラインの外に出てしまうと、その投てきは失格となり、無効になる。

やり投では、先端が金属製のやりを投げる。 男子用のやりは、長さが2.6~2.7mで、重さが800g(1.76ポンド)以上。 女子用のやりは長さが2.2~2.3m、重さは600g(1.32ポンド)以上だ。 選手はラインに向かって助走をつけてから、やりを投げる。 ラインを踏み越えると、その投てきは無効になる。

やり投はオーバーヘッドで投げる動作なので、野球のピッチャー、アメフトのクォーターバック、バレーボール選手など、同じような動きをするスポーツ選手は、やり投も上手にできることが多いと、ペンシルベニア州立大学陸上競技チームの投てき種目コーチであるネイサン・オットは話す。

砲丸投で投げるのは、金属製の砲丸。男子用の砲丸の重さは7.26kg(16ポンド)で、女子用の砲丸は4kg(8.8ポンド)だ。選手は通常、砲丸を片手で首に押し当てるようにして構え、サークルの中で回転してから、砲丸をできるだけ遠くへ投げる。 大半の選手は、体を1回転半させてから投げる。

砲丸投のサークルは直径が2.135m(7フィート)。サークルの前部には、投てき後に踏み出さないための板が付いている。 それでも足がサークルの外に出てしまった場合は、その投てきは無効になる。 ほとんどの大会で、選手は6回投げる。 有効な投てきの着地点が最も遠かった選手が勝者になる。

ハンマー投も、砲丸投と同じサークルから投げるが、器具と投げ方には大きな違いがある。 「ハンマー」は、金属製のボールとハンドルが長さ1.22m以下の金属製のワイヤーでつながった器具だ。

ハンマーの先に付いた金属製のボールの重さは砲丸と同じ。男子用のハンマーのボールは7.26kg(16ポンド)で、女子用のボールは4kg(8.8ポンド)だ。ハンマー投の選手は一般的に、3~4回転してハンマーから手を放し、フィールドの遠くへ飛ばす。

最後に説明する投てき種目は円盤投。少し広めのサークルで1回転半してから金属製の円盤を投げる競技だ。 砲丸投とハンマー投のサークルは直径が2.135mであるのに対し、円盤投のサークルの直径は2.5m。

男子は直径22cm、重さ2kg(4.4ポンド)の円盤を使い、 女子は直径18cm、重さ1kg(2.2ポンド)の円盤を使用する。

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混成競技:デカスロン(十種競技)、ヘプタスロン(七種競技)、ペンタスロン(五種競技)

これらの競技は、それぞれ複数の陸上競技種目で構成される。 混成競技の選手は、大会期間中に競走種目、跳躍種目、投てき種目を行い、各種目で得点を得る。 すべての種目の得点を合計し、最も高い得点を獲得した選手が勝者になる。

デカスロンの「デカ」は10を意味する接頭語。つまり、デカスロンは10種目で構成される。その内訳は、100m競走、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m競走、110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500m競走だ。 この種目が実施されるのは男子のみ。

一般的に、混成競技の女子選手が出場するのはヘプタスロン。7種目で構成され(「へプタ」は7を意味する接頭語)、 100mハードル、走高跳、砲丸投、200m競走、走幅跳、やり投、800m競走を行う。

ドーランによれば、こういった混成競技は、さまざまなスポーツを楽しむアスリートや体力のバランスが優れている選手に人気がある。特定の1種目に秀でていなくても、多くの種目で高い技能を持つ人に向いているそうだ。

ヘプタスロンを完全な形で行うだけの時間や場所が足りない大会では、5種目で構成されるペンタスロンを代わりに実施する場合もある。 その好例が世界室内陸上競技選手権大会だ。 屋内で行われるペンタスロンの種目は、60mハードル、走高跳、砲丸投、走幅跳、800m競走。

これは、厳密には陸上競技ではない近代五種競技とは別物だ。 5種目で構成される近代五種競技は、夏のオリンピックで採用されており、構成種目の1つはランニングだが、射撃、水泳、フェンシング、馬術という、陸上競技以外の競技も含まれる。

NCAA indoor championships(NCAA室内陸上競技選手権大会)といった屋内の大会では、男子のヘプタスロンが実施されることがある。 このヘプタスロンは、60m競走、走幅跳、砲丸投、走高跳、60mハードル、棒高跳、1000m競走で構成される。

文:グレッグ・プレスト

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公開日:2023年5月4日

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