コーチが解説する、テニスが上手くなるドリル練習
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ドリルで鍛えてコートを支配しよう。
どんなスポーツやスキルでも、上手くなるには練習が欠かせない。 テニスの場合も例外ではない。シングルスであろうとダブルスであろうと、どれだけドリルをこなしたかが上達の鍵を握ることが少なくない。
テニスのドリルは、さまざまなスキルの中でも、特にフットワーク、スイング、ラケット操作の向上に役立つ。 たとえ新米テニスプレーヤーであっても、初心者用ドリルを行えば、ベテランプレーヤーにあっという間に追いつき、コート上で渡り合えるようになる。
テニスのドリルをやったことがない人は、なぜドリルが重要なのか、どうしてテニスが上手くなるのか分からないだろう。 今回、熟練したテニスコーチたちがドリルについて教えてくれる。
なぜテニスの上達にドリルが必要なのか?
米国プロテニス協会(USPTA)認定エリート・プロフェッショナルで、テニスワールドNYCで教えるロバート・ビュチェリによると、テニスのドリルが重要なのは、同じ動作を繰り返すという特徴があるからだそうだ。
「ボールを打つ感覚を掴み、自信を持ってプレーするには反復練習が欠かせません」と彼は言う。
さらにビュチェリは、テニスが上手くなるかどうかの大切なポイントは「攻撃」だと付け加えた。コート上で素早くボールを打ち、つま先立ちで構えるなど、効果的に攻撃力を発揮するには「自信と筋肉の記憶が必要」なのだそうだ。
元プロテニスプレーヤーでロサンゼルスを拠点に活動するコーチ、カクペル・オウシャンによると、ドリルはテニス習得の助けにもなるそうだ。 「テニスを始めたばかりなら、テニスの基礎や正しいテクニックを学び、習得を早めるうえでドリルは最適です」と彼は語る。 初心者ばかりでなく、テニスの経験者でも、ドリルに取り組むことで、まだまだ上達が期待できる部分があると、 USPTAの殿堂入りを果たしたテニスコーチであり、リック・マッチ・テニスアカデミーの創設者でもあるリック・マッチは言う。
テニスドリルのターゲットは?
ターゲットは多岐にわたる。 「ドリルはどんな領域においても効果が期待できます」と語るのは、USPTA認定エリート・ティーチング・プロフェッショナルのテニスコーチ、クリス・ロッブ。 「初心者の場合は、ドリルで基本的なストロークの向上を図ります。 そして、初心者から少し上達してきた頃に、戦略的プレー用のドリルを組み込みます。
さらに中級や上級のプレーヤーになると、プレーのスキルに重点を置いたドリルに取り組むことになります。これによりコントロールの精度が上がり、コート上で攻撃と守備のポジションの使い分けができ、コンディションを保ち、得意なショットをさらに伸ばすこともできるでしょう」と彼は話す。
ただし、最終的にどれだけ効果が出るかは「プレーヤー次第」とビュチェリは付け加えた。
初心者に適したドリルとは?
マッチがテニス初心者に勧めるドリルは、壁に向かってただラケットでボールを打ち返す壁打ちだ。
「ボールが必ず返ってくるからね。楽しく練習したいプレーヤーにはもってこいのドリルだよ」と彼は言う。 マッチによると、ボールマシンなんかなくとも、そこらにある壁で十分なのだそうだ。 「いい反復練習になると思いますよ」。
練習に付き合ってくれるパートナーがいる人にビュチェリが勧めるのは、初心者用のフットワークドリル。これは、コートの中をあちこち走り回るドリルだ。 やり方を紹介しよう。まず、あなたはサービスライン上に立ち、パートナーはネットのそばに立つ。 パートナーにコート内のあちこちにボールを投げてもらい、あなたは走ってそのボールを打つ。 そして、ボールを打ち終わるごとに、サービスラインの中央に戻る。このドリルのおかげで、ペースの速いゲームの動きが練習できる上に、さまざまなショットに慣れることができるというわけだ。
オウシャンもこのドリルがお勧めだという。 「コーチにボールを手で投げてもらうドリルは、間違いなく初心者には最適なドリルです。 手で投げるボールはスピードがそれほど出ないので、基礎固めや正しいテクニックの習得に向いています。友達とラリーやゲームを楽しむ前に、こういった部分をマスターすることが非常に重要です」と彼は語る。
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テニスのフットワーク上達に最適なドリルとは?
テニスにおいて、フットワークは非常に重要だ。 フットワークが良ければ、機敏な動きでコート内を移動できる。 オウシャンによれば、フットワーク用のドリルはパートナーなしで行うことができ、あらゆるレベルのプレーヤーにとって不可欠なのだそうだ。 「フットワークが良いと、返球率が上がるだけでなく、優れたテクニックを身につけることもできます」と彼は説明する。
ロッブもまた、このタイプのドリルを高く評価している。「フットワークは、テニスの中で最もエキサイティングな醍醐味を味わえるパートというわけではないですが、これがテニスの基本なんです。 テニスというのは、ボールを打つというより走る競技なのです」。
オウシャンのお気に入りのフットワークドリルを紹介しよう。
- アジリティラダー:ロープラダーを敷くか、マスが均等なはしご模様をチョークで描き、足を素早く動かしてラダーのマスの中と外を交互にステップしていく。 オウシャンによると、このドリルのターゲットはコーディネーションとフットワークだそうだ。
- 縄跳び:1回でできるだけ長く(1分以上)跳ぶことを目指す。 このドリルでスタミナがつくとオウシャンは語る。
- クイックスプリント:テニスコートのラインとラインの間のスプリントを繰り返し、持久力とスピードを養う。
さらにロッブが勧めるのは、ボールを打った後、フィニッシュの姿勢をキープするドリル。 このドリルにより、「良いフットワークには欠かせない」バランスが鍛えられるそうだ。
テニスドリルを行う頻度は?
頻度は、自分次第。 ただし、どんなスポーツでも同じだが、効果は「どれだけの労力や時間を費やしたか」による、とビュチェリは語る。
「本気でドリルに取り組むつもりなら、仲間とプレーした後に、一人で壁打ちをしなさい。 そうやって時間を費やすのです」と彼は言う。
一方、オウシャンはできることをやればいいと言う。
「私は、週5回のトレーニングをこなすアマチュアプレーヤーを教えています。当然ですが、彼らの習得スピードは速いです。 ただ、さまざまな理由から、これほど頻繁にトレーニングできる人ばかりではないことも十分理解しています」と彼は話す。
そのため彼は、「満足のいく結果や毎週の進歩を目指し」、時間をやりくりして週に2、3回、トレーニングすればいいとアドバイスしている。
テニスドリルの成果が現れるのはいつ?
オウシャンによれば、練習量が多ければ多いほど、成果は早く出るということだ。 「始めたばかりの人なら、ほとんどの場合、コーチとのレッスンを10~15回ほど受ければ、友達とラリーやプレーができるようになります」と彼は説明する。 さらに、彼はこうも付け加える。「適切なプログラムのほか、テニスレッスンと友達とのプレーを組み合わせて行えば、誰でもどんどんテニスが上手くなっていきます」。
文:コリン・ミラー