ダブルステニスの基礎知識:ダブルステニスのルール、ヒント、戦略を知るための初心者向けガイド

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ダブルステニスのプレー方法、戦略の立て方、得点方法について、2人のテニスコーチがヒントを伝授。

最終更新日:2024年12月11日
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ダブルステニスの基礎知識:ダブルステニスのルール、ヒント、戦略を知るための初心者向けガイド

その名が示すとおり、ダブルステニスでは、テニスプレーヤーがそれぞれパートナーを持ち、ネットの反対側にいるペアの相手と対戦する。 いわば個人戦のチーム版だ。

「一人っきりではない。それがダブルステニスの面白いところです。 困ったときに少しでも頼れるパートナーがいて、一緒に戦略を立てたり、ポイント間に声をかけ合ったりできるのですから」そう語るのは、ジョージタウン大学で男子テニス部のヘッドコーチを務めるフレディ・メスメル

チームメイトがいることの楽しみ以外にも、ダブルスとシングルスの試合を区別する要素には、コートのサイズ、プレーヤーの位置、ゲーム戦略などたくさんある。 以下では、2対2のテニスがシングルスの試合とどう違うのか、さらにダブルスのテニスプレーヤーがコートで優れたパフォーマンスを挙げるにはどのようにプレーすればよいかについて、コーチがヒントを伝授する。

(関連記事:初心者でも分かる、試合の勝者を決めるテニスのスコアの数え方に関する基礎知識

ダブルステニスのコート

プレーヤーの人数が2名分多いことはさておき、テニスのシングルスとダブルスにおける最も顕著な違いの1つが、コートのサイズだ。 標準的なテニスコートには、長辺に沿った2本の線で区切られた「アレーコート」と呼ばれるスペースがコートの両側に設けられている。

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アレーの幅はそれぞれ4.6フィート(1.37m)で、このスペースはダブルステニスではインとみなされる。 シングルステニスも同じコートで行うが、このスペースはシングルスの試合ではアウトとなる。 コートの両側にアレーコートがあるということは、つまりシングルスよりもダブルスの方がコートの幅が9.2フィート(2.72m)広くなるということだ。

シングルスの試合に慣れているテニスプレーヤーがダブルスの試合をする際は、追加のコートエリアに対する調整が必要となる場合が多いと語るのは、デューク大学で男子テニス部のアソシエートヘッドコーチを務める元プロテニス選手、マチェク・シクートだ。

ダブルスのプレーヤーがサイドのアレーを守ることに注力しすぎると、パートナーは自分側のアレーだけでなくコートの中央をもっと守らなければならなくなると、彼は指摘する。

ダブルステニスのコートはシングルスより広くなるが、コートに4人いるということは、各プレーヤーがカバーできるコート面積が小さくなる。 つまり、ダブルステニスでは通常、あまり走り回らずに済むと、シクートは述べている。 テニスの試合に何を期待するかは人によってさまざまだが、走る量が少ないことが魅力的と感じるプレーヤーもいるかもしれない。

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ダブルステニスでのサーブの方法

シングルスと同様、ダブルスでも1人のプレーヤーが1ゲームを通してサーブを担当する。 (注:通常、1セットで6ゲームが行われ、2セット先取または3セット先取で勝敗が決まる) サーバーがサーブするときは、ベースラインの後ろに立ち、ネットを越えてコートの反対側にある「サービスボックス」にボールを入れなければならない。

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サーバーがコートの左側からサーブを行う場合、そのサーブはネットの反対側(右側)のサービスボックスに着地させる必要がある。 サーブがサービスボックスから外れた場合はフォルトとなり、サーバーにもう一度チャンスが与えられる。 セカンドサーブもフォルトだった場合は「ダブルフォルト」となり、サーバーチームはポイントを失う。

サーブが成功するとポイントを獲得するためのプレーが始まり、2組のペアがネット越しにボールを前後に打ち合う。 ボールが片側で2回バウンドしてしまったり、ネットを越えられなかったり、コートの境界線の外に落ちたりした場合は、相手ペアのポイントとなる。 そして次のポイント争奪戦が始まる。

次のサーブでは、同じサーバーがコートの右側からサーブを行い、ネットの向こう側(相手の左側)のサービスボックスを狙う。 サーバーは、ゲームが終了するまでこのように交互にサーブを打ち続ける。

次のゲームでは、シングルスと同じように相手チームがサーブを行う。 ただし、ダブルスにはサーブとリターンに関する独自のルールがある。

ゲームごとに、チームはサーブを行うプレーヤーを交代する必要があるのだ。 たとえば、プレーヤーAとBから成るダブルスチームで、プレーヤーAがセットの最初のゲームでサーブを行った場合、 第2ゲームでは、対戦ペアの1人がサーブを行う。 第3ゲームでは、プレーヤーBがサーブを行う。 このような順序で交代しながら進めていく。

次のセットに入ったら、プレーヤーBが第1ゲームでサーブを行いプレーヤーAが第3ゲームで行うなどと順番を変えることもできる。

サーバーのパートナーは、自陣のコートの好きな場所に立ってよい。 多くの場合、パートナーは自分のサービスボックスでプレーする。つまり、サーバーがコートの左側にいるときは右側のサービスボックスに立ち、その逆も同じように配置する。

それ以外の戦略として、オーストラリアンフォーメーションと呼ばれる陣形もあり、これはサーバーのパートナーがサーバーと同じサイドのサービスボックスに立つ。 つまり、サーバーが左のベースラインから打っている場合、このフォーメーションではパートナーも左側のサービスボックスに立つことになる。

このフォーメーションが使われる理由には、次のようなものがある。

  • 右利きのサーバーがコートの左側からサーブする場合、このフォーメーションを使用することで、リターナーがサーバーのフォアハンド側にボールを打てるようになる。サーバーがバックハンドよりもフォアハンドが強く、より強力なプレーをしたい場合に有利となる。
  • サーバーのパートナーが右利きで、強力なフォアハンドボレーを持っている場合、オーストラリアンフォーメーションを取ればパートナーの(バックハンドではなく)フォアハンドがコートの中央にくるため、こちら側からサーブするときにも有効だ。
  • リターン側のチームの調子が良いときは、フォーメーションを変えることで相手の調子を崩し、サーバー側のチームの得点に有利に導ける可能性がある。

ダブルステニスでのリターンの方法

サーバーがポイントごとに左右の位置を切り替えるのに対し、リターン側のチームはサーブの位置が変わってもコートの同じサイドに留まらなければいけない。 ゲームの初めのポイントで、サーバーがコート左側のサービスラインから打つ場合、相手チームのプレーヤーYはコートの右側に立ち、 そこからコートの反対側へリターンショットを打たなければならない。

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次のポイントでは、サービングチームがサイドを切り替えて、プレーヤーAが右側のベースラインからサーブを打つ。 しかし、対戦相手の位置は変わらないので、今度はプレーヤーXがリターナーとなる。

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リターンチームのプレーヤーは、最初にリターンしたらコート上のどこにでも移動してよい。

コートチェンジ

テニスでは、シングルスでもダブルスでも、セットの奇数ゲームごとにチームがコートのサイドを切り替える。 あるチームが第1ゲームでネットの片側でプレーしていたら、第2ゲームと第3ゲームでは反対側に移る。 そして第3ゲームの後、元のサイドに戻る。

これを「コートチェンジ」と呼び、短い休憩(通常は90秒)が伴う。

ダブルステニスでのスコアのつけ方

ダブルステニスの試合は、シングルスと同じ方法で採点される。 試合は「0-0」の同スコアで始まる。 テニスでは「ゼロ」点を「ラブ」と呼び、その後、以下のようにポイントが加算されていく。

  1. 1ポイント目:15(フィフティーン)
  2. 2ポイント目:30(サーティ)
  3. 3ポイント目:40(フォーティ)
  4. 4ポイント目:ゲーム

「40-40」(または3ポイントずつの同点)のスコアは「デュース」と呼ばれる。デュースの後、得点した次のプレーヤーまたはチームが「アドバンテージ」(ad)を持つことになり、 そのチームが再び得点すれば、勝利となる。 逆にそのポイントを失うと再び同点となり、スコアは再びデュースに戻る。 ゲームは、デュースの後に一方が連続して2ポイントを獲得するまで続く。

全米大学体育協会(NCAA)の試合を含む多くのトーナメントでは、ダブルスのスコアリングにおいて「ノーアド方式」が採用されている。 この採点方式では、試合に勝つために2ポイント差をつける必要がない。 「ノーアド方式」の試合では、スコアが「40-40」であった場合(ここでもデュースと呼ばれる)、次に得点したチームが勝利となる。

ダブルステニスにタイブレークはある?

テニスの試合は、ほとんどのセットにおいて一方が6ゲーム勝つまで行われる。 テニスのスコアでセットが「6-2」と表示されていたら、勝った側が6勝し、負けた側が2勝したことになる。

多くの場合、セットは2ゲーム差をつける必要があるため、セットスコアが「6-5」の場合は、もう1ゲーム行われる。 リードしているチームが勝ったら、セットスコアが「7-5」となり、終了する。 ただし、5勝しているチームが「6-5」の段階で1ゲーム勝つと、セットは「6-6」となり、多くのトーナメントではここでタイブレークとなる。

テニスのタイブレークは7ポイント獲得するまで行われるが、ポイントは標準の得点システムではなく1点ずつカウントされる。 つまり、最初のポイントの勝者は「15-0」ではなく「1-0」でリードすることになる。 ゲームは、どちらかのチームが少なくとも7点を獲得し、かつ2点以上の差で勝利するまで続く。

また、タイブレークでは通常のゲームとサーブ順が異なる。 1人のプレーヤーが1ゲームを通してサーブを行うのではなく、両チームが交代で行う。 最初のポイントでは、次のゲームでサーブする予定だったチームがサーブをする。

1ポイント取ったら、今度は相手チームが2ポイント続けてサーブを行い、タイブレークが完了するまで2ポイントごとにサーブをするチームが切り替わる。 サービングチームが切り替わるたびに、そのチームのサーバーも切り替わる。

たとえば、チームAB対チームXYの試合では、サーブの順序は次のようになる。

  • 1ポイント目:プレーヤーAがサーブする。
  • 2~3ポイント目:プレーヤーXがサーブする。
  • 4~5ポイント目:プレーヤーBがサーブする。
  • 6~7ポイント目:プレーヤーYがサーブする。
  • 8~9ポイント目:プレーヤーAがサーブする。
  • 10~11ポイント目:プレーヤーXがサーブする。

チームは、6ポイントごとにコートのサイドを切り替える。 タイブレークが終了するまでこれが続く。

第3セット タイブレーク

ダブルスの試合では、両チームがフルセットを2回だけプレーする場合がある。 各チームが1セットずつ獲得し、試合が「1-1」となった場合、第3セットの代わりにタイブレークゲームが行われる。

このような場合、タイブレークゲームは7ポイントではなく10ポイント先取で行われる。 勝利するためには2ポイント差をつけて勝つ必要があり、サーブの順番を含む他のすべてのルールは通常と同じだ。

優れたダブルスプレーヤーとなるには何が必要か?

スキル面についてメスメルはこう話す。「ダブルスで最も重要な3つのショットはサーブ、リターン、ボレーです。 誰かがビッグサーブを打つと、そのリターンを守っているサーバーのパートナーを越えてボールを打ち返すのは非常に困難になります」

優れたリターンスキルを持つプレーヤーというのは、そのビッグサーブをしっかりとしたコントロール力で相手側のコートへ打ち返し、ネットの近くに構えている相手をかわすことができます」とメスメルは話す。 ネットの前にいるプレーヤーの方へボールが飛んだ場合、そのプレーヤーはボールがバウンドするのを待たずに、ボレー(ボールがネットを越えて飛んでいく途中で空中から打たれるショット)を打つことができる。

ボレーは非常に速いため、打ち返したり、守ったりするのが難しい。ボレーに対応するプレーヤーは、ボールがベースラインからネットを越えて飛んでいくのを見ているのではなく、瞬時に考えて打つ必要がある。

ボレーはシングルスでもダブルスでも重要だが、ダブルスでは各チームのパートナーがほぼ常にネット近くにいるため、特にボレーの重要性が高くなるとメスメルは話す。

彼曰く、「ダブルスで優れたプレーをするプレーヤーは、ネット際のフロントコートでポイントを稼ぎ、ベースラインでプレーすることは少ないでしょう」 反対に、シングルスのプレーヤーはベースラインに留まり、多くのグラウンドストロークに対応する。

しかし、ダブルスのパートナーはほとんどの場合、フロントコート(ネットに最も近いサービスボックス内のエリア)でプレーするため、ボレーをたくさん打ち、またたくさんのボレーを防御する準備を整えておく必要があるのだ。 したがって、優秀なダブルステニスのプレーヤーは卓越したボレースキル、つまりすばやい反射神経と意思決定能力、そして熟練したラケットコントロールを備えている必要がある。

さらに、コミュニケーション能力も、ダブルスで成功する上で役立つメンタルおよびソーシャルスキルだと、両コーチは口を揃えて言う。

「コミュニケーション能力と対人スキルは、間違いなく最も重要な要素の1つです」とシクートは言い、こう続ける。 「ある地点から次の地点へと静かに思いのまま走り回ることができるシングルスと違って、ダブルスの場合はあなたと一緒にコートを守るもう一人のプレーヤーがコートに立っています。 合図を出したり、指示を出したりしながら、 2人で協力し合って取り組むチームスポーツなのです」

メスメルもこう付け加える。「ダブルスでは、一方のパートナーが苦戦しているときに、もう一方のパートナーが頑張ることで、お互いをカバーし合うことができるんです」

文:グレッグ・プレスト

公開日:2023年5月24日

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