シンスプリント対策におすすめのストレッチ7選

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シンスプリントの予防と対処に役立つ、簡単なストレッチと下半身の筋力を鍛える運動をご紹介。

最終更新日:2022年5月19日
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シンスプリントの予防に効果的な7つのストレッチ

シンスプリントを発症した経験があるランナーは多い。ランニングでは、シンスプリントはオーバーユースによるけがの筆頭格だ。 これは脛骨過労性骨膜炎(MTSS)とも呼ばれ、痛みを引き起こし、目標への歩みを一時的に中断せざるを得なくなることがある。

幸い、ランナーであろうとなかろうと、予防策を講じて、シンスプリントに発展するリスクを下げることは可能だ。 すねに圧痛があるときのためにワークアウトを調整するほか(適切にフィットするシューズを履くことも併せて重要)、ワークアウト前に膝から下の筋肉をウォームアップするためのストレッチがいくつかある。 まずは、シンスプリントとは何かを理解し、一般的にどのような症状が起きるかを確認しておこう。

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シンスプリントとは?

シンスプリントは、すね(脛骨)の表面を覆う骨膜が筋肉と骨に引っ張られて炎症が起きたときに生じる。 Cleveland Clinicによると、シンスプリントは通常、ランニングのような負荷の高い運動で繰り返しストレスが生じることから発症し、苦痛を伴う。 痛みの種類はアスリートによってさまざまだ。 ワークアウトの後、膝から下に鈍い痛みや鋭い痛みを強く感じる場合もあれば、 ワークアウト中はわずかな違和感だけだったのが、ワークアウト後にしつこい痛みに転じる場合もある。

シンスプリントの原因はいくつか考えられる。 ランナーの場合は、走行距離や強度が急激に増している、シューズが足に合っていない、あるいは摩耗している、固い路面を走っている、といった要因が元になっているケースがよく見られる。 激しい運動を控えたり、頻繁に患部を冷やしたりして、早い段階で適切に対処すれば症状は治まる。 しかし初期に注意を怠ると、先々のトレーニングで軽い症状が再発し、やがて脛骨疲労骨折に発展するおそれもある。

シンスプリントのリスクが高いのはランナーだが、よく運動する人なら誰でも発症する可能性がある。 スポーツをする人(体操選手やダンサー、新人兵士も)や、ハードなワークアウトのクラスで、HIIT(高負荷インターバルトレーニング)のようにジャンプや負荷の高い運動を繰り返し行う人は、シンスプリントになることがある。 オーバープロネーションの人や、アーチのたわみが足りない扁平足の人も、シンスプリントのリスクが高い。

ランニングシューズを定期的に交換すると、リスクを減らすことはできる。 クッショニング機能が弱くなるとサポート性が低下するため、すり減ったシューズでトレーニングしていると問題が生じる可能性があるのだ。 コンクリートやバスケットボールコートのような固い地面でのワークアウトを避けることも、予防にはとても効果的だ。 また、走る前に行うストレッチは予防に効果があり、発症してしまった際の対処にも役立つ。

シンスプリント対策におすすめのストレッチ7選

膝から下の筋肉のストレッチは、シンスプリントの予防に大きな効果が期待できるという事実が証明されている。 膝から下の筋肉といえば、後ろ側の大きな筋肉である腓腹筋(ふくらはぎ)と、その内側に位置する小さめの筋肉であるヒラメ筋だ。 膝から下の前側のストレッチにも効果がある。

とはいえ、シンスプリントを予防するために毎週何時間もストレッチに励む必要はない。 1日に10~15分程度のストレッチを習慣にするだけで十分だ。 しかし、シンスプリントの疑いがある場合は、理学療法士の診断を受け、治療計画について相談しよう。

  1. 1.基本のカーフストレッチ

    足を腰幅に開き、ちょうど足のサイズ分ほど右足を少し前に出す。 両足のかかとを床に付けたまま、直立姿勢で立つ。 両脚のふくらはぎとアキレス腱が伸びるのを感じるまで、両膝を曲げていく。 前に置いた脚より後ろ側の脚が伸びていると感じるはずだ。 15~30秒キープし、左右を入れ替える。

  2. 2.トゥドラッグ

    上で説明したふくらはぎのストレッチと同様、右足が左足の前に少し出るようにして立つ。 後ろに置いた足の甲を床に付け、かかとと足の裏が上を向くように裏返した状態で、両膝を曲げていく。 膝を曲げて深くストレッチしていくと、後ろに置いた足の甲全体と足首が伸びるのを感じる。 反対側も同じように繰り返す。

  3. 3.座った姿勢でのトゥドラッグ

    座ったまま行うトゥドラッグのバリエーション。 前脛骨筋を緩めるストレッチで、一日中デスクに座りっぱなしの日に最適だ。 片方の足を椅子の脇に出し、少し後方に下げる。 その足の甲を床に付け、伸びるのを感じるまで床を押す。 両方の足をストレッチすること。

  4. 4.ヒールドロップ・カーフストレッチ

    床や地面から少し高さのある段の上に立つ。 安定性を確保するために、何かにつかまったまま行おう。 右足を後ろにずらし、段から外れたかかとを下げていく。 ストレッチしやすいように左膝を曲げると、右脚のふくらはぎが伸びるのを感じられるはずだ。 ストレッチしたまま15~30秒キープする。反対側も同じように繰り返す。

  5. 5.座った姿勢でのカーフストレッチ

    このストレッチでは、レジスタンスバンドやタオルを使ってもよい。 脚をまっすぐ前に伸ばしてマットに座る。 上半身を前に傾けて右足先をつかむ。この時、両手で母指球の辺りをしっかり持つようにしよう。 手が足先に届かない場合は、レジスタンスバンドやタオルで輪を作って足にかけ、反対側の端を持つ。 背筋を伸ばして座り、足先をゆっくりと体に引き寄せていく。 15秒キープしてから、反対側も同じようにストレッチを繰り返す。

  6. 6.ニーリングストレッチ

    背筋を伸ばして正座のような姿勢で座り、お尻をかかとの上に置く。 足の甲はマットや床に付ける。 背筋を伸ばしたこの姿勢を保つだけで、ストレッチを感じるはずだ。 物足りない場合は、上半身をやや後ろに傾けると、足の甲と膝下の前側のストレッチが深まる。

  7. 7.ローランナーズランジ

    立った状態から右足を前に大きく踏み出し、ローランジの姿勢になる。 右の太ももに近づけるように胸を下げながら、ストレッチを深めていく。 右の足首とふくらはぎが伸びるのを感じるはずだ。 15~30秒キープしてから、反対側も同じように繰り返そう。

シンスプリントを予防するためのその他のヒントとエクササイズ

シンスプリントの予防策および対処法として、すねをターゲットにしたストレッチに加え、膝から下の筋力強化を取り入れるよう専門家はアドバイスする。 これらも日常的に行えるわずか数分のエクササイズだ。 筋力強化に役立つエクササイズ

  • トゥタップ:立った姿勢か座った姿勢で、両足を床に置いた状態から始める。 かかとを床に付けたまま、右足のつま先を上げて床を軽くたたく。 片足につき30秒から1分ほど、つま先で床を軽くたたき続ける。 左右を切り替え、反対側のつま先でも同様に繰り返す。

  • ヒールレイズ:まっすぐに背筋を伸ばして立ち、両足のかかとを床からゆっくり上げていき、数秒キープしてからゆっくり下ろしていく。 負荷を高めるには、段差を利用してかかとが段から外れる位置に足を置く。 すると、かかとを上げ下げする際に可動域が広がる。

  • ヒールウォーク:ランニングやエクササイズの前に、1~2分間、かかとで歩く。 歩く間、つま先が地面に触れないようにする。

  • トゥウォーク:ヒールウォークの後、かかとを上げたまま、つま先立ちで歩いてみよう。

シンスプリントを防ぐためのその他の対策としては、1週間の走行距離の増加が10%を超えないように徐々に負荷を高めるとよい。 たとえば、前の週に30マイル走ったとしたら、次の週に走る距離は33マイル以下に抑える。 ランの強度についても同じことが言える。 トレーニングの距離や負荷を安全に増やす方法については、理学療法士やランニングコーチに相談するとよい。

また、理学療法士などのエキスパートに相談する場合は、コンプレッションソックスを履くと効果があるかどうか聞いてみよう。 コンプレッションソックスがシンスプリントの予防や治癒に効果をもたらすことを示す研究が、いくつか発表されている。 起伏の多い地形で走る場合は特に、土踏まずを適切にサポートするシューズを履くことでランニングによる衝撃を緩和できる。

エクササイズを再開する際は、よく注意しながら徐々にルーティンに慣れていこう。 痛みがぶり返すようであれば、強度や走行距離を抑えること。 自分で判断できないときは、資格のある理学療法士に相談し、トレーニングを再開するためのプランを組み立ててもらおう。

さらにエキスパートからのヒントをチェックするには、Nike Run Clubアプリをダウンロードしよう。

シンスプリントの予防に効果的な7つのストレッチ

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公開日:2022年4月6日

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