夜更かしをやめよう
Coaching
夜更かししてくつろぐことは、自分へのご褒美のように感じられるかもしれない。だが、実際には健康的な生活を送るための目標を妨害している。自分の時間と健康的な睡眠時間を確保するための方法をチェック。
- 睡眠時間が増えると、気分が良くなり、免疫も活力もアップする。この機会に自分の睡眠の習慣を見直してみよう。
- 夜のテレビタイムを諦める必要はない。1時間に抑えるヒントを活用すれば、お気に入りの番組を見る時間と睡眠時間の両方を確保できる。
- 毎日、楽しい予定をもっとたくさん組んで、睡眠時間を削りたくなる気持ちを減らそう。
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あと1日で慌ただしかった今週も終わりという金曜日。日曜日からあまりテレビを観ていないし、本も読んでいない。ソファーでくつろぎながら人気番組の最新回を観ていると、気付かないうちに日付も変わっている。「まだ観るの?」とTVに言われた気がしてげんなりしてしまう。そんなことが続いてはいないだろうか。
これはよくある夜更かしで、リベンジリラクゼーションとも呼ばれる。自由時間を取り戻したいがために、することもないのに起き続けるのだ。これは必要なことのように感じるかもしれないが、実際には健康の目標を達成するのに必要な能力にダメージを与えているにすぎない。
寝るのがもったいなく感じる理由
ほとんどの人は忙しすぎる生活を送っていると、ジェニファー・マーティン博士(臨床心理学者、行動睡眠医学専門家、UCLA医学部教授)は言う。特に一人暮らしでない人は、自分の睡眠時間を犠牲にしている場合が多いという。「もう少しだけ」と自分に言い聞かせて、画面をスクロールしたり、本を読み進めたりしていると、あっという間に深夜2時。朝は7時に起きなくてはならないのに。
「眠いときは判断を誤りがちです」とマーティン博士は言う。しかも、これは悪循環だ。夜更かしすると次の日にはもっと疲労がたまり、さらに習慣化する可能性が高まってしまうからだ。
推奨されている7~9時間の睡眠を夜間にとらなければ、日中の思考や感覚に影響が生じる可能性があることは、言うまでもないだろう。これをもう一度肝に銘じてほしい。
「睡眠が不十分なときは意識がもうろうとして、集中力や記憶力が低下します」と言うのはケイシャ・サリバン(整骨医、睡眠医学専門家)。しっかりとした睡眠をとれないと、情緒的には不機嫌で怒りっぽくなるかもしれないし、身体面にはストレスが溜まり、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増える。その結果、免疫力が低下して、病気にかかりやすくなる。しかも、これらは短期的な影響にすぎない。こうした影響は、食事、フィットネス、メンタルヘルスの目標達成を後押しするものにはならないのだ。
真剣に考え直してみる気になっただろうか?夜更かしの落とし穴に気付いたなら、自分の行動に責任を持ち、以下のアドバイスを実践して活力を取り戻そう。
1. 考え方を変える。
睡眠時間をよりしっかりと管理したいなら、遅くまで起きてリラックスすることで「自分を労わる」という考えを捨て、睡眠こそ究極のご褒美だと考えなければならない、とマーティン博士。これは、ワークアウト後のスナックのようなもの。自分へのご褒美としてチョコレートケーキを食べればすぐに幸せな気分になれるが、タンパク質豊富なスムージーなら美味しいだけでなく、長期的に見て健康にも良い。さらに、前向きに考えることで、より長く質の高い睡眠を得られるという研究結果も出ている。楽天家には朗報だ。
2. 妥協する。
明け方までかかっても、犯罪ドキュメンタリー番組を1シーズン観終えたいという人もいれば、夜にしっかり休むと体調がとても良くなるので早く寝たいという人もいる。重要なのは、この2つの間でバランスをとることだ。
マーティン博士とサリバンの両者ともが、通常の就寝時間(7時間以上睡眠するための)を1時間以上超えて夜更かししないことを推奨する。週に1回でもそれ以上就寝時間がずれると、睡眠習慣が崩れてしまう。できる限り一貫性を保つには通常の睡眠スケジュールを守る必要がある、とサリバン。就寝時間と起床時間の両方を変えると、体内時計が乱れてしまう可能性があるからだ。
自分の行動にもっと責任を持ちたければ、夜更かしを1時間で止めるための対策を講じるべきだとマーティン博士は言う。テレビのスリープタイマーをセットする、読み進める最後のページにしおりを挟んでおく、就寝時間にアラームをセットする(ただしスヌーズボタンは押さない)などが効果的だ。
3. 先に欲求を満たす。
自分の睡眠の状況を管理するということは、自分のための時間がどれくらい必要かを率直に考えてみることでもある、とマーティン博士は言う。1日1時間であれ、1週間に1日であれ、その「自分の時間」を朝一番、または昼一番、夕方の早い時間にスケジュールしてしまう。必要なら短時間ずつに分けてもいい。そうすることで、夜に息抜きをしたい気持ちを抑えられる。
パートナーや子どもがいる場合は、1時間または1日役割を代わってもらえるよう交渉することをマーティン博士は勧めている。そうすれば、一人が仕事をしている間に、もう一人はリラックスしたり、エクササイズや散髪などで気分転換したりすることができる。
4. 週末も決まった時間に起きる。
平日に夜更かしせずに就寝時間を守ると、週末でもそれほど睡眠を必要とは感じないかもしれない、とマーティン博士は言う。これは、一定した睡眠スケジュールを維持することで体内時計が安定し、毎日元気に起床しやすくなるからだ。また、しっかり睡眠をとると、通常エネルギーとモチベーションが高まり、ストレスが減る。
つまり、仕事、勉強、家事、時間のかかるプロジェクトをより早く片付けられるようになり、おあずけになっていた楽しみのための自由時間が増えるのだ、とマーティン博士は説明する。
より充実した生活を送るためには睡眠が欠かせない。だからこそ、夜更かしをやめてベッドに向かうための努力を続けよう。
文:ロニー・ハワード
イラスト:ジョン・クラウス