スクワットとデッドリフトの違いは?どちらがベター?

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2つの人気の下半身エクササイズの違いと、次のワークアウトにどちらが適しているかをエキスパートが説明する。

最終更新日:2022年6月29日
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スクワットとデッドリフトの違いは?どちらがベター?

スクワットとデッドリフトは、基本のエクササイズとしてよくローテーションで組み込まれるが、これにはもっともな理由がある。 自重で行うにしても、ジムで器具を利用するにしても、この2つは下半身の筋力強化にとても効果的だ。

床から物を拾う、椅子に座る、椅子から立つといった日常の動作の中で、おそらく思った以上に行っている動きだろう。 どちらも日常生活に欠かせない動きであることから、ワークアウトだけでなく生活全般で体の動きを向上させるためにこの2つの運動を行うようアドバイスするのは、ロッキー・スナイダー。認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト(C.S.C.S.)で、筋力トレーニングガイド『Return to Center』の著者でもある。 もう一つ重要なポイントは、動きのフォームを習得するために、まず自重でのトレーニングから開始することだと、スナイダーは話す (関連記事:自宅ワークアウトに最適なウェイト)。

「正しいやり方を体で習得する前に、とにかくウェイトを握ってスクワットやデッドリフトをやってみようとしがちですが、 基本をマスターしてから、段階的に発展させていくべきです」

ここでは、この2つの運動がフィットネスにもたらす効果について見ていく。次のワークアウトにどちらを選ぶべきか、考えてみよう。

スクワットとは?

C.S.C.S.の資格を持つストレングス・コンディショニングトレーナー、レダ・エルマルディによると、スクワットは脚、コア、大臀筋、背中の強化に役立つ。 姿勢やバランスの改善、柔軟性の向上、筋肉量の増加にも効果があると、エルマルディは言う。 ある研究では、スクワットが筋肉量の増加と体組成の改善、さらに膝の伸筋強化に効果的で、ジャンプパフォーマンスの向上につながることが示された。

正しいフォーム:スクワットは、上体が前や後ろに倒れないよう、ほとんど垂直の状態を保って行うのが理想的だと、スナイダーは説明する。 椅子に座ろうとする時のように、両足を腰幅に開き、両膝を曲げて、ゆっくり腰を下ろしていく。 両足をしっかり踏みしめるようにしよう。

「スクワットの正しいフォームといっても、『理想的』なフォームは十人十色。 この姿勢での動きは、股関節をはじめとする関節の位置や、筋肉のアンバランスの有無によって異なります」とスナイダーは述べている。

アレンジ:スクワットの特徴の一つは、何通りにもアレンジが可能なことだ。 たとえば、足幅を広げ、つま先を外側に向けると、相撲スクワットになる。 足幅を狭くしてかかとを上げると大臀筋の負荷が高まると説明するのは、認定キネシオロジストでC.S.C.S.の資格を持つ、トレーナーのジェイク・ハーコフ。つまり、ヒップを鍛えることができるのだ。

「このタイプのスクワットは、大臀筋を鍛えたいときの私のお気に入りのエクササイズです。 エクササイズ初心者や、バランスに問題がある人は、レッグプレスマシンを使ってこの動きをしてもいいでしょう」と彼は話す。

特に大臀筋をターゲットにしたい場合に人気のあるアレンジは、ブルガリアンスプリットスクワットとも呼ばれる、エレベーテッドスプリットスクワットだと、Fit StudioのオーナーでC.S.C.S.の有資格者でもあるアーロン・レーベンタールは話す。

「デッドリフトは優れたエクササイズですが、正しい方法で行うのは簡単じゃないし、大臀筋だけをターゲットにしたい場合はあまり効果がありません。 上体をまっすぐキープしやすいので、私はスプリットの姿勢かランジの方が好きです。可動域が不十分だったり、腰に問題があったりしても行えます。 それに、片側ずつの運動なので、大臀筋を左右で個別に動かすことができ、筋力の強い側で弱い側をカバーしてしまうこともありません」

デッドリフトとは?

デッドリフトは、脚、腕、コア、肩をはじめとした、全身を鍛える複合的な運動だ。 基本のデッドリフトはスクワットに似ているが、腰と膝の関節を曲げるのではなく、ウエストを折り曲げ、腰を後ろに突き出して、バーベルまたはダンベルを床から引き上げる。 2020年に発表されたある研究では、スクワットとデッドリフトのいずれも、下半身の最大筋力とジャンプパフォーマンスの向上に同程度の効果が現れた。

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正しいフォーム:脚に負荷をかけつつ、背中の筋肉には負荷をかけたり無理な力を加えたりして傷めないよう、デッドリフトを正しく行うには工夫が必要だと、エルマルディは指摘する。 ここではデッドリフトの手順を紹介する。ただし、不明点があれば、相談できるトレーナーや認定インストラクターにも必ず確認するようにしよう。

  1. 足を肩幅に開き、背すじを伸ばして立つ。
  2. 股関節を蝶つがいのように動かすヒップヒンジの動きで、ウェイトに届くまで、また自重で行う場合は足首に届くまで、上半身を倒していく。 背すじは自然な状態にキープし、腰に巻かれたロープで後方に引っ張られるように、お尻を後ろに突き出す。 このとき、ハムストリングに張りを感じるはず。 膝は軽く曲げ、バーベルを握れる位置まで、ヒップヒンジで上体を前に傾ける。 このヒップヒンジは、地面にウェイトを下ろすときと同じ姿勢。
  3. 腕を伸ばした状態で、両手でバーベルを握る。
  4. 膝は軽く曲げて、背中は自然なアーチを描く姿勢をキープする。
  5. 大臀筋とハムストリングを使って、ウェイトを床から持ち上げる。
  6. ヒップが地面とほぼ平行になるまで、ウェイトをゆっくり下ろしていく。
  7. 少し休憩し、この動きを繰り返す。

発展:自分のワークアウトに取り入れるためのバリエーションはスクワットの方が豊富かもしれないが、デッドリフトもアレンジできる。

たとえば、片脚でバランスを取り、ヒップヒンジとともにもう一方の脚を後ろに上げてから、軸脚まで戻してまっすぐに立つ。このシングルレッグデッドリフトなら、バランスの向上に役立ち、より多くの筋肉をターゲットにできると話すのは、ニューヨークのTS Fitnessのオーナーで、C.S.C.S.の資格を持つトレーナー、ノーム・タミールだ。

「大臀筋に集中するために、軸になる脚をしっかり曲げるようにするのが私の好みです。 軸脚をより伸ばすと、ハムストリングに効きます」

スクワットとデッドリフトの違いとは?

スクワットもデッドリフトも下半身に働きかける運動だが、明らかな違いがいくつかあると、スナイダーは話す。 それは次のようなものだ。

  • デッドリフトでは、腰は上下に動かさず、股関節を曲げて地面と水平に後ろに動かし、伸ばして前に戻る。

  • また、背すじを伸ばしてほとんど動かさないスクワットとは異なり、デッドリフトでは、上体を脚の前に傾ける。

  • スクワットもデッドリフトも、腰を蝶つがいのように動かすよう意識するが、膝と足首を動員するスクワットに対し、 デッドリフトは、膝と足首はなるべく動かさないようにして行う。

「姿勢、柔軟性、骨格の構造によって、どちらか一方の運動の方が合っていると感じる人もいるかもしれません。 だからといって、一方が他方より効果が高いとか、優先的に行うべきだということはありません。 正しい方法で行えば、この2つの運動はどちらも効果が期待できます」と、スナイダーは語る。

結論

スクワット対デッドリフトの論争をしても、勝者をはっきり決めることはできない。 むしろ、敗者はいないと言ったほうが正しいだろう。 この2つの不可欠な運動をフィットネスのルーティンに取り入れることで、それぞれのメリットが得られる。さらに、豊富なアレンジを加えれば、常にフレッシュな気分でワークアウトに取り組めるだろう。

文:エリザベス・ミラード

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公開日:2022年3月31日