ソフトボールの全ポジションを解説

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ソフトボールの9つのポジションと、それぞれのポジションで優れたパフォーマンスをあげるために必要なスキルについてコーチが説明する。

最終更新日:2024年4月16日
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ソフトボールの全ポジションを解説

ソフトボールは、簡単に言えば、2つのチームが交代で打席に立ち、チームのためにより多くの得点を獲得することを競うゲーム。 1試合を7つのイニングに分けて戦う。 各イニングの前半は「表」と呼ばれ、ビジターチームが打席に立ち、ホームチームは守備に就く。 イニングの後半、つまり「裏」では、ホームチームが打席に立つ一方、ビジターチームは守備に就き、打者チームの得点を阻止しようとする。

守備をする9人はそれぞれ異なるポジションを担当するが、役割を果たすには各ポジションで独自のスキルが必要となる。 ここでは、全米大学体育協会(NCAA)所属の3人のソフトボールコーチが、ソフトボールの9つの各ポジションの役割とスキルセットを詳しく解説。

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ソフトボールの全ポジションを解説

ソフトボールの守備ポジション

  1. 1.ピッチャー

    ソフトボールのすべてのプレーはピッチャーから始まる。 ピッチャーは内野の中心に立ち、グラウンドに置かれた60.96 × 15.24cmの長方形の板、つまりピッチャーズプレート(ラバーともいう)の上でボールを握る。 ラバーは、バッターとキャッチャーがいるホームベースの後方地点から13.11mの位置にある(これらのプレーヤーの詳細については後述する)。 ピッチャーがホームベースに向かってボールを投げたら、プレー開始だ。

    ファストピッチ ソフトボールでは、ピッチャーはウィンドミルと呼ばれるワインドアップ動作で球速を生み出す。 この動作では、投げる側とは反対の足を一歩前に踏み出しながら、投げる腕で大きな円を描き、 足が地面に着く瞬間、アンダーハンドでホームベースのキャッチャーに向かってボールを送る。

    ソフトボールのピッチャーが投げる球には次のような種類がある。

    • ストレートは最も基本的な球種で、球速が速く、まっすぐな軌跡を描く。
    • ライズボールは初めストレートのように見えるが、ホームベースに向かうにつれて浮き上がり、高めのボールゾーンに到達する。
    • ドロップボールはその逆で、最初はストレートのように見えるが、回転が異なるためキャッチャーのミットに届く直前に落ちる。
    • カーブとスクリューボールはホームベースまでの軌道で変化を起こし、打者に近づくにつれてボールが左右に動く。
    • チェンジアップはストレートのように見えるが、ストレートと比べてスピードが遅い。

    バージニア大学のソフトボールヘッドコーチ、ジョアンナ・ハーディンは、さまざまな速度で正確なコースに投げられるピッチャーが最も優れていると語る。 もしピッチャーがすべて一定の速度で投げれば、バッターは投球のタイミングがとりやすく、どんなに速い球であっても強く打ち返し始めるだろうと、彼女は言う。

    「スピードを変えることができればできるほど、打者のバランスを崩すことができます」 ピッチャーがホームベースの両サイドにさまざまなスピードで投げることができたら、バッターは投球への反応により時間を要することになる。 ほんのわずかなためらいによって、打者はバットの芯をボールに当てられなくなる可能性があると、彼女は言う。

    しかし、ピッチャーの役目はボールを投げたら終わりではない。 ゴロや内野のポップフライを処理しなくてはならないのだ。投手の正面に飛ぶ球もあれば、一塁線や三塁線に転がってくるゴロにも対応する必要がある。

    ヴィラノヴァ大学のヘッドソフトボールコーチであるブリジット・オーチャードは、ピッチャーが敏捷性を磨き、すばやくダッシュして前のゴロを処理できるようになると、内野手の仕事が楽になると話す。

    「ピッチャーが投球後に打球をさばけないと、サードの仕事が増えます。短いバントから三塁線を抜ける速いゴロまで、すべて処理しなくてはいけなくなるのです」

    しかしピッチャーがそれらのボールをすばやくキャッチできれば、サード(あるいは一塁線に転がったボールの場合はファースト)は、強打やライン際の深い打球の処理に集中できる。

    試合の開始時に登板するピッチャーのことを「先発ピッチャー」と呼ぶ。チームの監督は、試合の途中で先発ピッチャーを「リリーフピッチャー」と交替させることができる。

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  2. 2.キャッチャー

    キャッチャーはホームベースの後ろにしゃがみ、ピッチャーが投げた球を捕るのが主な仕事だ。 しかし、その仕事は他にも多くあり、中には外から見ただけではわかりづらいものもあると、ハーディンは指摘する。

    キャッチャーは捕球するだけでなく、どのような球を投げるか、どこに狙いを定めるかをピッチャーに伝える。 バッターが外野にボールを打ったら、二遊間の内野手(ショートとセカンド)に対し送球を中継するための立ち位置を指示する。 また、キャッチャーはホームベースを守りながら、盗塁を試みる走者を刺すために二塁や三塁にボールを送らなければならない。

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    上記のすべてがキャッチャーの仕事であるものの、最も重要な仕事の一つは、タイムアウトを要求して適切なタイミングで試合の流れを止めることだと、ハーディンは話す。

    「最も優秀なキャッチャーは、タイムアウトを要求する適切なタイミングを知っています」と彼女は言う。 「キャッチャーはピッチャーのペースをしっかり見ています。 ピッチャーが焦っていたり、心拍数が上がっていたりするのがわかるので、いつタイムアウトを要求し、その後何を伝えるべきかがわかるのです」

    タイムアウト中、キャッチャーはプレートにいるピッチャーのもとへ行くことができる。 ハーディンによれば、ここでキャッチャーは、苦戦していたり焦ったりしているピッチャーをリセットして自分を取り戻してもらい、落ち着いてもう一度集中するようサポートできるという。

    優れたキャッチャーは、ボールの捕り方によって投球を実際よりも良く見せることさえできると彼女。 ボールを捕るときにミットを少し動かすことで、外角や内角の球がストライクであるように見せることができるのだ。 これを「ピッチフレーミング」という。

    「球の捕り方次第で、キャッチャーは多くのストライクを奪うことができるのです」と彼女は話す。 「どんな投球もよく見せる方法を知っているので、特にきわどい球で判定が難しいときなど、審判が『疑わしきはストライクに』とする場合があります」

  3. 3.ファースト

    一塁の近くを守る内野手。 打球がファーストの方へ飛んできた場合、走者が到達する前に球をさばいて一塁ベースに触れなければならない。もし間に合わなければ走者はセーフとなる。

    また、他の内野手からの送球も捕らなければならない。塁上に相手チームの走者がいないとき、セカンド、サード、ショートまたはピッチャーはゴロを処理したら、ファーストに送球する。ファーストは、少なくとも片足が一塁ベースに触れた状態で捕球する必要がある。 打者が一塁ベースに到達する前に捕球すれば、打者はアウトになる。

    こうした役割があるため、ファーストはボールを捕球に長けたプレーヤーであることが多く、通常、上や横にそれた送球、または自分の目の前でバウンドした送球をキャッチしやすくするために、ファーストミットと呼ばれる少し大きめのグラブを使用する。

  4. 4.セカンド

    セカンドの標準的なポジションはファーストの右、つまり一塁ベースと二塁ベースの間だ。 セカンドはきわめて万能である必要があると、オーチャード。 俊足俊敏で、必要に応じて一塁と二塁の両方をカバーでき、外野からの送球やゴロ、フライをすべて処理する必要がある。

    「ショートほどではないにしても、オーバーハンドスローに優れている必要があります」とオーチャードは言う。

    ショート(詳しくは後述)は二塁の反対側から一塁まで、より長い送球をしなければならないからだ。

    セカンドはダブルプレーに関わることも多い。一塁に走者がいるときにゴロを打つと、守備側のチームは走者と打者の両方を一連のプレーでアウトにしようとする。 このときセカンドは「ゲッツー」をとるための重要な役目を担う。

    たとえば、打球がピッチャー、ショート、またはサードの方向に飛んだ場合、各ポジションのプレーヤーがゴロをキャッチし、二塁に送球する。 セカンドまたはショートがベースの近くに立ってその送球を待ち、ベースに触れてから今度はすばやく一塁に送球する。

    同じ状況で打球が二塁側に飛んできた場合は、セカンドがショートに送球して「ゲッツー」をとるか、または自らベースに触れ一塁に送球するかのどちらかとなる。

    ミシガン大学でソフトボールのアシスタントコーチをしているアマンダ・チデスターによると、セカンドはショートと協力してリーダー的な役割も果たす。 打球が外野に飛んだら、セカンドとショートのプレーヤーは走者の進塁を阻止するため中継の位置を指示し、内野に返球してもらう。

  5. 5.ショート

    ショートの通常の守備範囲は、二塁と三塁の間だ。 ショートは広いエリアで多種多様なプレーを行う必要があると、オーチャードは説明する。 ピッチャーの右方向に弱めのゴロが飛んできた場合、ショートは前方にチャージして球をさばき、すぐに一塁に送球して走者をアウトにする必要がある。

    ショートはまた、「5-6 hole(5-6ホール)」と呼ばれるエリアで、サードのすぐ左側に鋭く飛んできたゴロを処理しなければならない。このエリアは、一般的なスコアカードの表現にちなんで、サードは「5番」、ショートは「6番」と呼ばれる。

    ここに打球が飛んできた場合、ショートは右に走りながらボールを捕る。多くの場合、グラブと体が交差するようにバックハンドで捕球して送球し、一塁へ向かう走者をアウトにしようとする。

    ソフトボールの塁間は近いため、ショートは打球をスムーズかつクリーンに処理することが重要だと、オーチャード。

    「多くの人は、塁間がもう少し離れた野球の方が馴染み深いでしょう。野球では、塁間が約27mです」 この場合、ショートはゴロの処理を誤っても立て直して走者をアウトにする時間がある。 「しかし、ソフトボールでは一塁まで約18mしか離れていないので、ボールを捕り損るとセーフになる可能性が高くなります」

    有能なショートとなるためには、ゴロを追うための俊足やすばやくボールを投げるための機敏な手さばきといった身体的スキルに加え、コミュニケーションスキルも必要になると、ハーディンは指摘。

    「ショートは試合中、内野をリードする必要があります。 外野にボールが飛んだら、ボールを内野に返球して走者の進塁を阻止するため、指示役として他のプレーヤーに中継の位置取りを伝える必要があるのです」とハーディンは言い、さらにこう続ける。

    「彼らはキャッチャーと協力して、メンバーがどこで中継するべきか、どこへ送球するべきかを伝えます。 セカンドに『君はここにいろ』と念押ししたり、どのようなバント処理をするかについてピッチャーと話し合ったりします」

    ショートもセカンドと同様、ダブルプレーに携わる。 ショートは、セカンドと同様、走者が一塁にいるときにピッチャー、サード、セカンドからのゴロ送球を二塁で受け取る。すばやくボールをキャッチして二塁に触れ、さらに一塁に送球しなくてはならない。

  6. 6.サード

    三塁近くを守る内野手。 右打者が力強いスイングをして投球を早めのタイミングで捉えた場合、「引っ張った」打球となって三塁線または左翼線に飛ぶ。

    このようなボールは、打球の角度とスイングのパワーによって特に強い当たりとなり、打席からサードまで驚くべきスピードで到達する。そのため、このポジションは「ホットコーナー」と呼ばれるのだ。

    「そう呼ばれるのにはそれなりの理由があります。 あっという間に色々なことが起きるので、それに備える必要があるのです」とオーチャードは言う。 「スピードも、優れた反射神経も必要です」

    このような強いゴロをさばいたら、サードは一塁へ内野を大きく横切る送球をしなければならない。これはソフトボールのゲームにおいて最も長い送球の一つだ。

    しかし、サードはこうしたゴロをさばくために深い(本塁から遠く離れた)位置でばかり守るわけにはいかない。 三塁方向への弱い打球やバント(打者がスイングせずにホームベース上にバットを差し出し、静止した状態で投球に当てるテクニック)にも対応できる必要がある。

    チデスターによると、ライン際へバントして一塁へ全力疾走するドラッグバントは、ソフトボールでよくあるプレーだという。 この場合、サードのプレーヤーはすばやく前進し、ボールをさばいて一塁に送球する必要がある。

  7. 7.センター

    センターは、土のフィールドとフィールド端の間にある芝生エリア、つまり外野で守備を行う3人のプレーヤーのうちの1人。 どの外野手も、フライをキャッチし、ゴロをさばき、内野手へ送球する役割を担う。 センターは守備範囲が広いため、通常は3人の外野手の中で最も熟練したプレーヤーが務めることが多いと、チデスターは語る。

    「センターは外野で最も守備範囲が広く、抜群の運動能力を持っています。 フライボールをすばやくキャッチするには、打球の角度を把握する並外れた感覚と足の速さが必要です」

    センターは外野のキャプテンを務めていることが多いと、チデスターは付け加える。 試合の状況や、打席にいる打者の打球方向に傾向があるかに応じて、プレーする位置をレフトやライトに指示するのだ。

  8. 8.ライト

    ライトプレーヤーはフィールドの右側、二塁と一塁の間の外野でプレーする。 しかし、野球と同様に、ソフトボールでも守備シフトをしくことが増えているため、プレーヤーは打者の傾向を利用してフィールド上の通常のポジションとは異なる位置に移動することが多い。

    たとえば、相手チームのある右打者がほぼ毎回フィールドの左側にヒットを打っていることを示すデータがあれば、ライトをはじめとする外野手は、そのバッターが打席に立ったら内野の深い位置で、ショートとサードの後ろに立ってプレーするよう求められる可能性がある。

    外野手にとっても、フライを捕球するだけでなく、ゴロを処理したり、一塁に送球したりする能力がより重要になってきていると、チデスター。

  9. 9.レフト

    レフトのプレーヤーは、外野の二塁から左翼のファウルラインまでのエリアでプレーする。 このプレーヤーにはボールを遠くに投げる強さとパワーが必要だと、チデスターは語る。

    「右打者はボールを引っ張る場面が多いので、レフトはホームへ送球できる必要があります」 こうした遠投を伴うプレーはライトよりもレフトで行われることが多いため、レフトは肩の強さが鍵になる。

    また、レフトは外野の自分の方向へ飛んでくるトリッキーなボールにも対処する必要があると、チデスターは話す。 右打者がボールを左側に引っ張ると、ボールは左翼線に向かってフックするように回転しながら伸びていく。 左打者が外角の球を反対のレフト方向に打った場合も同様のことが起こる。

    とはいえ、打者のバットから放たれるボールの曲がり方はそれぞれ異なる。左打者のバットからスライスされたボールは、右打者の引っ張った当たりよりも鋭く曲がることがあるのだ。 チデスターは、レフトにはこうした難しい球を捕球する準備と十分なスキルが必要だと説明する。

指名選手/フレックスプレーヤー

攻撃側における指名選手(DPとも呼ばれる)は、野球の指名打者(DH)に似ているが、若干の違いがある。 DPは、野球のDHと同様、フィールド上の9つのどのポジションのプレーヤーとも代わって打席に立つことが可能だ。

たとえば、DPが打順でキャッチャーの位置に割り当てられているなら、キャッチャーの代わりに打席に立つことになる。 DPが代わりに打っているプレーヤー(この場合はキャッチャー)は、チームの「フレックス」プレーヤーと呼ばれる。

野球のDHと違って、ソフトボールのDPは守備も行うことができる。 DPは、他のプレーヤーがベンチに下がる一方で、1イニングの間そのプレーヤーの代わりに守備につくことができるのだ。 その後、先発野手がゲームに再出場する際、DPはベンチに戻る。

フレックスとして登録されているプレーヤーは、オーダー上でDPと交代しない限り打席に立つことはできない。 交代すれば、キャッチャーは自分で打つことになる。 DPは交代するとそのゲームに再度出場することはできない。

文:グレッグ・プレスト

公開日:2023年6月14日

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