サッカーの全ポジションを徹底解説
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サッカーの基礎知識を学ぼうとしている人にも、選手を目指している人にも、必要な情報をすべて提供するポジション別サッカーガイド。
プロサッカーの試合後の選手へのインタビューを聞くと、チームメイトを賞賛していることが多い。 それは、選手1人の個人技がどれほど優れていても、ピッチ上ではそれぞれのポジションが重要な役割を果たすからだろう。
「担当するポジションの役割と責任を全選手が十分に理解していることが非常に重要です」と語るのは、英国を拠点とするサッカーコーチのカール・ワイルド氏だ。 「これによって単なる選手の寄せ集めではなく、チームとして効果的に連携できるようになるのです」と言う。
国際サッカー評議会(IFAB)が定める競技規則(サッカーの判定に用いられる主要ルールブック)によると、試合は2チームの間で争われ、延長を除くプレー時間は90分だ。 大学リーグ、プロリーグ、あるいは趣味のリーグなど、公式戦を執り行うためには、試合のどの時点においても、各チームから7人以上の選手がフィールドにいなければならないが、ゴールキーパーを含め1チーム11人で戦うのが望ましい。
このため多くのチームは、選手交代に十分に対応できるよう、最大で23人の選手を備えている。 ほとんどのプロチームでは交代が1試合5人まで認められているが、趣味リーグやユースリーグでは交代数に制限を設けていないことが多い。
サッカーは幅広いプレーが求められるスポーツなので、同じポジションでも名称が違ったり、場合によっては役割が変わったりしても不思議ではない。 たとえば、「ワイドストライカー」は「ウィング」と呼ばれることがあり、「センターフルバック」は「ストッパー」や「スイーパー」と呼ばれることもある。
ここからは、サッカーの各ポジションについて詳しく解説しよう。
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ポゼッションの有無が意味するもの
ワイルド氏が指摘しているように、チームが攻撃側か守備側かによってポジションの役割は異なる。 相手チームがボールを保持する非ポゼッション時と、自チームがボールを保持するポゼッション時とでは、ピッチ上で特定のポジションが果たす役割が変わることがあるのだ。 ここからは、それぞれの状況における各ポジションの働きを解説しよう。
サッカーにおける守備的なポジションとは?
1.ゴールキーパー
「ゴールキーパーの主な役割は、言うまでもなく、ボールがゴールに入らないようにすることです」とワイルド氏は語る。 IFABの競技規則によると、キーパーはインプレー中に唯一、手でボールに触れることが認められているポジションだ。
- 非ポゼッション時:ゴールキーパーの目的はやはり、どんな手段を使ってでもゴールを守ることになる。 ワイルド氏が指摘するように、ゴールを守るには、チームメイトとの連携が必要だ。 「キーパーはエリアを『支配』しなければなりません。 敵がゴールに迫れば、キーパーは相手チームからボールを奪い、クリアするのです」とワイルド氏。クリア時には、ボールをキャッチするか、キックするか、パンチで飛ばすという方法を取る。
- ポゼッション時:キーパーは本人の意志次第で、フィールドを自由に動き回ることができる。このため、自分のチームがボールを保持している場合はキーパーの役割が変わる。 ワイルド氏によれば、「現代サッカーでは、ポゼッション時にキーパーが重要な役割を果たすチームが増えてきています。 ボールを保持しているときは、自信を持って確実にボールを回すことが求められます」という。キーパーは誰よりも広くピッチを見渡せるため、ショートパスとロングパスによって、チームのプレーを「セットアップ」することも少なくないとワイルド氏は語る。
- 非ポゼッション時:ゴールキーパーの目的はやはり、どんな手段を使ってでもゴールを守ることになる。 ワイルド氏が指摘するように、ゴールを守るには、チームメイトとの連携が必要だ。 「キーパーはエリアを『支配』しなければなりません。 敵がゴールに迫れば、キーパーは相手チームからボールを奪い、クリアするのです」とワイルド氏。クリア時には、ボールをキャッチするか、キックするか、パンチで飛ばすという方法を取る。
2.フルバック
別名:左サイドバック/右サイドバック
フルバックは通常、フィールドの左サイドか右サイドに陣取り、ディフェンスラインの選手と緊密に連携して、敵チームからの攻撃からゴールを守ろうとする。また、攻撃の起点となってアタッカーにボールを配球する。
- 非ポゼッション時:攻撃からゴールを守るとき、フルバックは「他のディフェンダー(中央寄りのディフェンダー)と緊密に連携してディフェンスラインを突破されないようにするのが主な役割です」とワイルド氏。敵はディフェンダー間のスペースにボールを通そうとすることが多いため、ゴールを防ぐためには、このエリアをコントロールすることが重要とのことだ。
- ポゼッション時:ワイルド氏によると、自チームがボールを持っているときは、チームのフォーメーションによって、フルバックの役割は大きく変わるという。 たとえば、チームによってはフルバックが攻守の両方を担当し、左サイドか右サイドのタッチライン全域をカバーしながら、相手ゴールに攻め込みつつ自軍のゴールを守ることになる。 また、フルバックがフィールドの中央に入ることで、アタッカーが敵陣のワイドなポジションに展開できるようにするといった戦術もある。
- 非ポゼッション時:攻撃からゴールを守るとき、フルバックは「他のディフェンダー(中央寄りのディフェンダー)と緊密に連携してディフェンスラインを突破されないようにするのが主な役割です」とワイルド氏。敵はディフェンダー間のスペースにボールを通そうとすることが多いため、ゴールを防ぐためには、このエリアをコントロールすることが重要とのことだ。
3.センターバック
別名:スイーパー
「センターバックの主な役割は、ゴール目前のエリアを守り、ディフェンス全体を統率することです」とワイルド氏は言う。
- 非ポゼッション時:同じくワイルド氏によると、センターバックはピッチ上で最も危険なエリアであるゴール前を守るポジションであり、 「このエリアにボールが来たら、すみやかにエリア外にボールを出すことがセンターバックの使命です。 ゴールを狙ってくる最大の脅威ともいえる、相手側のセンターフォワードと渡り合うことの多いポジションですね」という。
- ポゼッション時:センターバックはボールを受け取ると、チームが敵エリアに攻め込めるように攻撃態勢を整える責任を負う。 センターバックは「安全確保のパス」(敵チームからプレッシャーを受けたアタッカーのバックパス)を受けることも多いとワイルド氏は言う。 マークされない(敵チームの選手から妨害を受けない)ことが多いセンターバックは、このプレッシャーを取り除くサポートをしながら、新たなプレーを組み立てる。
- 非ポゼッション時:同じくワイルド氏によると、センターバックはピッチ上で最も危険なエリアであるゴール前を守るポジションであり、 「このエリアにボールが来たら、すみやかにエリア外にボールを出すことがセンターバックの使命です。 ゴールを狙ってくる最大の脅威ともいえる、相手側のセンターフォワードと渡り合うことの多いポジションですね」という。
4.守備的ミッドフィールダー
別名:ストッパー
ワイルド氏は、サッカーでは1人~2人の守備的ミッドフィールダーを置くチームが多いと述べた上で、 「彼らの主な役割は、フルバックとセンターバックのすぐ近くでプレーしながら守備を固めることです」と説明する。
- 非ポゼッション時:守備的ミッドフィールダーは、敵の攻撃からゴールを守るとき、中央のエリアにボールを運ばせないように注意を払い続ける。 「そのために、敵チームの守備的ミッドフィールダーと攻撃的ミッドフィールダーの間でパスコースをブロックします」とのことだ。
- ポゼッション時:「自チームがボールを保有しているときは、守備的ミッドフィールダーは守備と攻撃を結びつけながら、センターバックと似た役割を果たさなければなりません」とワイルド氏は言う。 とはいえ、このポジションでは前と後ろのどちらからもパスを受けられるように備える必要がある。
- 非ポゼッション時:守備的ミッドフィールダーは、敵の攻撃からゴールを守るとき、中央のエリアにボールを運ばせないように注意を払い続ける。 「そのために、敵チームの守備的ミッドフィールダーと攻撃的ミッドフィールダーの間でパスコースをブロックします」とのことだ。
サッカーにおける攻撃的なポジションとは?
1.攻撃的ミッドフィールダー
この選手は、ピッチを幅広くカバーする。 そのため、敵ゴール前への攻撃に飛び込む際と、自軍のディフェンスラインを守る際には、いずれも率先して動き出すことになるポジションだ。
- 非ポゼッション時:攻撃的ミッドフィールダーは、守備の大半を敵陣で行うことになるとワイルド氏は説明する。 自分のチームがボールを奪われると、攻撃的ミッドフィールダーは素早くボールを奪回しようとする。
- ポゼッション時:「自チームがボールを持っている時、攻撃的ミッドフィールダーは、ボールを持っている場合でもオフザボールでも、敵のディフェンスラインを突破できるようにサポートすることが多いですね」とワイルド氏。 攻撃的ミッドフィールダーは他の選手よりリスクを冒すことが求められるため、その分ボールを奪われる可能性も高くなるという。 同氏によると、「攻撃的ミッドフィールダーには決定機を作る能力が必要です。 リスクを冒せば、ゴールを奪えることもあるのです」とのことだ。
- 非ポゼッション時:攻撃的ミッドフィールダーは、守備の大半を敵陣で行うことになるとワイルド氏は説明する。 自分のチームがボールを奪われると、攻撃的ミッドフィールダーは素早くボールを奪回しようとする。
2.ワイドストライカー
別名:ウィング
ワイドストライカーは、フルバック前方の右サイドと左サイドに位置する。中央付近のチームメイトと密接に連携して、相手ゴールを攻撃するのが主な仕事だ。
- 非ポゼッション時:攻撃的ミッドフィールダーのように、「ワイドストライカーは守備の大半を敵サイドで行います。 主に、センターフォワードと連携してボールを運ぼうとする敵チームを阻みつつ、ゴールに近い場所でボールを奪うことで、攻撃の起点になろうとします」とワイルド氏は説明する。
- ポゼッション時:ワイルドの説明では、ワイドストライカーには攻撃において重要な役割が2つある。 1つは、フルバックからボールを直接受け取れるライン上に陣取って、中盤でのプレーにつなげること。 そしてもう1つ重要なのは、センターフォワードをサポートしながら、フォワードがボールの受け手として孤立しない(ボールを奪われない)ようにすることだ。
- 非ポゼッション時:攻撃的ミッドフィールダーのように、「ワイドストライカーは守備の大半を敵サイドで行います。 主に、センターフォワードと連携してボールを運ぼうとする敵チームを阻みつつ、ゴールに近い場所でボールを奪うことで、攻撃の起点になろうとします」とワイルド氏は説明する。
3.センターフォワード
別名:ストライカー
サッカーにおいてゴールを奪うのは主にストライカーの役割だとワイルド氏は言う。 チームは試合を通じ、ボールをストライカーにつなぎ、ゴールネットを揺らすことを目指す。
- 非ポゼッション時:敵チームが相手サイドでボールを保持している際、センターフォワードは誰よりも先に相手ディフェンスにプレッシャーをかけて、ゴール前へダイレクトにボールをつながれないようにする。
- ポゼッション時:センターフォワードの主な役割は、ボールを奪ってとにかくゴールを狙うこと奪うことだが、それとは別に、ワイドストライカーやミッドフィールダーにボールを戻して攻撃を組み立てるうえでも重要な役割を果たす。 センターフォワードは常に、自分でボールをドリブルするか、仲間にパスするかして、空いたスペースに「つけ込もうと」するとワイルド氏は言う。
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- 非ポゼッション時:敵チームが相手サイドでボールを保持している際、センターフォワードは誰よりも先に相手ディフェンスにプレッシャーをかけて、ゴール前へダイレクトにボールをつながれないようにする。
文:ジュリア・サリバン(A.C.E.認定パーソナルトレーナー)