ワークアウトの途中に休憩を入れよう
Coaching
そう、ワークアウトの途中に入れるのだ。小休止を戦略的に1回(または2回)取ると、残りのセッションの効果がアップする。
リカバリーとは、プロテインスムージーを飲むことやフォームローラーを使うこと、または休養日だけを意味するのではない。筋肉のパワーを最大限に引き出したいのなら、ワークアウトの途中にもリカバリーを取り入れる必要がある。
ニューヨーク工科大学で運動科学プログラムのコーディネーターを務め、認定ストレングス&コンディショニングスペシャリストでもあるアレックス・ロススタイン氏は、「フットボールの試合のハーフタイム、バスケットボールの試合のタイムアウト、ボクシングの試合でラウンドごとに入る休憩などを思い浮かべていただきたい」と言う。「これらのような試合中の休憩は、すべて試合のリズムを妨げることなく選手の心と身体をリセットするのに役立つと考えられます」。
重要なのは最後の部分だ。ワークアウトの途中のリカバリー、つまり「休憩」とは、だらだらとルーチンをこなしたり、スマホの画面を見たりしていても構わないという意味ではない。定常状態の有酸素運動でも、筋力トレーニングでも、高負荷インターバルトレーニングでも、適切なタイミングでエクササイズの負荷を下げてやると、全力でトレーニングに取り組むときに、より多くのパワーを引き出すことができるようになるという競争戦略なのだ。
「フットボールの試合のハーフタイム、バスケットボールの試合のタイムアウト、ボクシングの試合でラウンド間に入る休憩などを思い浮かべていただきたい。これらのような試合中の休憩は、すべて試合のリズムを妨げることなく選手の心と身体をリセットするのに役立つと考えられます」
アレックス・ロススタイン
ニューヨーク工科大学の運動科学プログラムのコーディネーター、認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
失敗しない持久力トレーニング
定常状態のランニングやサイクリングのような持久力エクササイズの途中にリカバリー時間を組み込むと、カーディアック・ドリフト(ワークアウトの強度が変わらないのに心拍数が徐々に増加する現象)を弱めることができる。「このようなタイプのワークアウトは、本質的に脱水状態に陥りやすいため、カーディアックドリフトが起きやすいのです」と言うのは、ミシガン州グランドラピッズ在住の運動生理学者であるトッド・バッキンガム博士だ。適切に水分を摂取しないと、心臓が鼓動を打つたびに送り出す血液の量が少なくなる可能性があると彼は説明する。つまり、十分な血液と酸素を筋肉に送り届けるために、身体は鼓動の回数を増やす必要が生じるのだ。これにより、アクティビティが実際よりかなりハードに感じられると言う。長距離のランニングやサイクリングで短い「休憩」を取る(たとえば、1時間以上のワークアウトの間に、8-9分ごとに1-2分の休憩を取れば通常は十分)と、心拍数が下がることによって知覚される疲労度も下がるのだと言う。その結果、走れる距離が伸びたり、より速いペースで走れたりする可能性がある。
ランニングの場合、ワークアウトの途中にリカバリーを取り入れる最も簡単な方法は、ウォーキングまでペースを落とすことだ。『Journal of Science and Medicine in Sport』誌に発表された研究では、初めてマラソンに参加したランナーがランニングの間に1分間のウォーキングを何度か組み込むと、ランニングの後で筋肉痛や疲労を感じることが少なく、ノンストップで走ったランナーと同じようなタイムでゴールしたことが報告されている。
いずれにしても、一般にワークアウトの中間点かそれを少し過ぎたあたりで、短時間の休憩を入れるのが最も効果的だとロススタイン氏は言う。ワークアウトが長時間になればなるほど疲労が蓄積する(そしてパフォーマンスも低下する)からだ。休憩時間には、少し水を飲むとさらに良い。
全力でリフティング、ゆったり休憩
ロススタイン氏によれば、ワークアウト中の身体は、アデノシン三リン酸とグルコースをエネルギー源として使うという。重いウェイトを持ち上げているときは、消費されるエネルギーの量が増加するため、これらが両方とも激減する。しかし、短時間の休憩を取ると、これらの供給を取り戻すために必要な休息を身体に与えることができると彼は説明する。
さらに、この時間を賢く使えば、「二酸化炭素や乳酸といった筋肉の老廃物を洗い流して、トレーニングの次のセットに備えることができます」とロススタイン氏は言う。ワークアウトで最も負荷が高い箇所や全力で行う最後のエクササイズの前に、5分ほど心地良い動きのダイナミックストレッチをするのが効果的だと彼はアドバイスする。可動域を全開にした穏やかな動きに集中し、できるだけ多くの筋肉グループをストレッチするのがおすすめだ。たとえば、ハイニープル(立った姿勢で、片方の膝を曲げて胸に引き寄せる)は下半身に効果があるし、アームサークルは上半身に効果的だ。また、セットの間に少し歩き回るだけでも、ベンチに座ったり寝そべったりするより早く老廃物が排出されることが研究で明らかにされている。
「そうすれば、休憩の間じっと座って何もしない場合よりも、多くの回数をこなしたり、重いウェイトを持ち上げたり、良いフォームを維持できたりするはずです」とバッキンガムは言う。さらにワークアウト後に、より早く回復できるはずだ。
高負荷インターバルトレーニングとチャレンジを続けるための方法
高負荷インターバルトレーニングとは、ワークアウトの途中にリカバリーが組み込まれた形式で、ワークアウトと休憩を交互に行うものである。心拍数を低下させるために休憩を組み込むことで、心拍数に上下のピーク値が表れ、これによって心肺機能の健康状態が向上する。しかし、リフティングの場合と同様に、「インターバル形式の休憩は、トレーニングで発生する老廃物を排出するための時間でもあります。この時間が確保されないと、これらの老廃物があまりにも早く蓄積し、トレーニングを続けることが難しくなります」とバッキンガム博士は説明する。
確かに、高負荷インターバルトレーニングのワークアウトはさまざまだ。たとえば、トラックで行う場合は、400メートルの全力疾走4回の間にそれぞれ1分の休憩を入れたセットを3回繰り返す。これに対して、伝統的なタバタ式ボディウェイトセッションでは、20秒間の運動と10秒間の強度の休憩を8ラウンド繰り返す。どのワークアウトを選ぶかに関係なく、休憩時間には会話できるぐらいまで呼吸を正常に戻す必要があるが、筋肉が冷えてしまわない程度には短くして、すぐに次のラウンドに全力で挑めるようにしたいとロススタイン氏は言う。ウェスタンワシントン大学の研究では、最適な休憩を取るために、両手を膝に当てて立つことを提案している。この姿勢は、呼吸を楽にしてくれるため、ワークアウトの休憩時間に、より早く回復することができるのだ。
ワークアウトにリカバリー休憩を組み込むとしても、その目的は活力を取り戻し、適切なタイミングで自分のパワーを最大限に発揮することにある。どこかの時点で、ワークアウトを再開するには呼吸がリラックスしすぎたと思ったら、休憩する時間を調整して最適な長さを見つけよう。ワークアウトのあらゆる面に集中すればするほど、たとえ休憩中であっても、心身ともに、より多くの成果を得ることができるだろう。