どんな状況にもセルフケアで対応
Coaching
たくさんの悩みを抱えながらも、絶えず成長し続ける方法をチェックしよう。
- セルフケアは、単に土曜日にマニキュアやペディキュアを塗ることではなく、常に自分自身をいたわることを意味する。
- その時々のニーズに合わせてアクティビティをカスタマイズしよう。たくさんのエネルギーを使うワークアウトをすることで、マッサージよりも大きな癒し効果を得られる場合がある。
- 感謝していることのリストを作るなど、専門家のアドバイスを実践し、心の試練を乗り越え、健康を維持しよう。
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「セルフケア」という言葉を聞くと、何が思い浮かぶだろうか。泡風呂に入って、心地良いブランケットにくるまりながらドラマを好きなだけ見る?それも間違ってはいないが、実はもっと奥深い。「セルフケアとは、自分自身をいたわるために毎日一貫して行う基礎的な方法のこと。これには、身体面、感情面、精神面の健康も含まれます。自分の最高の状態でいるための取り組みなんです」そう語るのは、マサチューセッツ州を拠点とするテレサ・メリト=コナーズ博士(セルフケアの専門家、教育コンサルタント、作家)。最高の状態であれば、人生でぶつかるどんな障害もうまく乗り越えていくことができる。
セルフケアとは、ただ自分を甘やかすことではない。気が進まなくても最終的に自分のためになることをしたり(歯医者に行くなど)、特定の状況で自分に必要なものを与えること(お昼休みに昼食を取るなど)もセルフケアになる。そう語るのは、『This Is for You: A Creative Toolkit for Better Self-Care』の著者であるエレン・バード氏(英国心理学会の準会員)。いずれにせよ、セルフケアとは自分自身へのエネルギー補給であり、これによって仕事、トレーニング、人間関係に全力で取り組めるようになるという。また、何とかリラックスしようと無駄に時間とエネルギーを使うのではなく、ストレスの原因となっている問題を解決するために、自分の内面をサポートするとよい。つまり、合わないジグソーパズルのピースをいくつも無理にはめ込んで何とかしようとするのではなく、欠けたピースを見つける時間を取るようにするのだ。
効果的に自分をケアするためには、自分をよく知る必要があるとバード氏は言う。「心を満たしてくれるものは、一人ひとり違います。また、その時はそれで満たされても、いつも同じもので満たされるとは限りません。セルフケアとは、自分自身とより深くつながり、自分の心、頭、体の声を聴くことです」
重要なのは、その時々の自分のニーズに合わせてセルフケアアクティビティを適切にカスタマイズすることだ。それができれば、目標に向かって駆け出す準備は万端。専門家の知見に基づいた以下の方法を試してみよう。
1. いっぱいいっぱいの時:エネルギッシュなワークアウトをする
心地良いマッサージはどんな場合にも解決策になるように思えるが、実際は背中をマッサージしてもらっている間も頭の中をTo-Doリストが駆け巡り、マッサージ前よりも気持ちが圧倒されてしまいがちだとメリト=コナーズ博士は語る。
代わりに博士がすすめるのは、気持ちを高め、ストレスを緩和してくれるワークアウトに取り組むことだ。5分間のダンスでもいいし、ウェイトリフティングのセッションでも、近所をダッシュすることでも、汗びっしょりになるヨガフローでもいい。たった数分間だけでも体を動かして心拍数を上げると、エネルギーが高まり、取り組んでいたプロジェクトや課題に対処できるようになると博士は言う。また、どんな種類のエクササイズにも自尊心を高める効果があることが研究で示されている。つまり、エネルギーと自信は、タスクをこなして成長を遂げるための強力なコンボになるのだ。
2. 眠れない時:風呂に入る
ストレスと不眠はセットになることが多い。だが、疲れた時の定番セルフケアである昼寝をすると、睡眠の妨げになる場合がある。アトランタを拠点とするレベッカ・レスリー博士(心理学博士、認定心理学者)によると、日中に眠ると体内時計が乱れてしまい、就寝時間に眠りにつくのがさらに難しくなることがあるという。
そこで試したいのが、温かい湯船に浸かることだ。学術誌『Sleep Medicine Reviews』に掲載された研究では、就寝前に1時間風呂に入ると、寝付きが良くなり、睡眠の質が向上するという結果が出ている。風呂に入ると体の温度調節系が刺激されて深部体温が下がるので、より眠りにつきやすくなるとレスリー博士は解説する。「また、湯船にゆったり浸かると気持ちが落ち着き、ベッドに入る前にリラックスできるので、睡眠に向けて思考を整えるのに役立ちます」
3. 不安な気持ちの時:友達に電話する
パジャマのまま赤ワインを飲んだり、スポーツ中継を見たりしながらリラックスしても、不安な気持ちは解消されないことがほとんど。何をしても、頭の中では考えがぐるぐると回っているからだ。そんな時には友達に電話をしてみると、気持ちを高めたり落ち着かせたりすることができるかもしれない。
「一般的に、不安は未来を心配するところから生まれます。友達と話して別の視点を得たり、計画を立てるためのサポートを求めたりすると、気持ちをコントロールできるんです」とバード氏は語る。また、自分を支えてくれる存在を思い出すことも気持ちを楽にする。たとえ問題解決を手伝ってもらえなくても、自分を応援してくれる人がいると知っておくこともときには必要だ。
4. 強い怒りを感じている時:瞑想や深呼吸をしてみる
湧き上がる怒りを、一瞬で消すことはできない。メリト=コナーズ博士は次のように提案する。「5分で構わないので、短時間の瞑想か深呼吸のエクササイズをすると神経系を落ち着かせ、心をクリアにして、バランスを取り戻すのに役立ちます。可能な場合は、怒りを引き起こした原因を探ってみましょう」こうすることで、分別を持って理性的に状況に対応しやすくなったり、怒りを手放して前に進みやすくなったりする(多くの場合、このほうが賢明だ)。
では、瞑想や深呼吸ができないほど怒りを感じている場合はどうしたらいいのだろうか。「あまりに気持ちが高ぶっている時は、体を動かしてみましょう。歩いたり、好きな曲を聴いたり、ダンスしたり、歌ったりして気分を変えてみるのです」とメリト=コナーズ博士は語る。そうして気持ちが少し落ち着いたら、瞑想や深呼吸のセッションを始めてさらに気持ちを静めるか、穏やかな気持ちで問題に対処しよう。
5. 落ち込んでいる時:感謝していることのリストを作る
「感謝の日記をつけている人は、生活の満足度も自己評価も高いという研究結果が数多く出ています」とレスリー博士は語る。とはいえ、日記帳の前で数時間を過ごす必要はない。メリト=コナーズ博士は、「毎日数分間の時間を取って感謝していることを2、3個書くか、Googleドキュメントでリストにする、またはスマートフォンのメモに書いていくのもいいでしょう」と提案する。「気持ちが沈んでいると気付いたら、そのリストを見返して、自分が感謝していることを思い出してみるのです」
最終的には、自分に合った方法を見つけることが重要だ。このガイドのおすすめの方法で健康的な生活の妨げとなる問題を解決することができなければ、気分が良くなるものが見つかるまで試行錯誤してみよう。その際に役立つのは、「今の私に本当に必要なものは何か?」、「未来の私が必要とするものは何か」と常に自分に問いかけることだとバード氏は語る。続けていけば、本当の意味で自分を大切にしていけるはずだ。
文:セリア・シャツマン
イラスト:ジョアナ・エレーラ