イメージトレーニングで成功を手に

Coaching

自分がゴールする瞬間や、採用面接に合格する場面。そんな未来の成功を視覚的に思い浮かべることで、あらゆる道が開けるかもしれない。

最終更新日:2022年6月30日
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  • 頭の中でイメージを描けば、目標を追いかける意欲や自信が高まり、実際の目標達成にもつながるという。
  • どんな靴を履いていて、どんな気分になるかというような、具体的なイメージをできるだけたくさん想像していけば、現実的で達成可能なイメージを思い描けるようになる。
  • NTCのワークアウトプログラムやNRCのレーストレーニングプランを利用して、フィットネスのビジョンを実現させよう。

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イメージトレーニングで成功を手にする

ボールをネットに蹴り込むところを思い浮かべるだけで、決勝ゴールを実際に決めた時と同じように脳が活性化することをご存じだろうか。これは研究によって証明されている。世界トップレベルのアスリートや起業家、彼らを導くコーチやメンターが、モチベーションやパフォーマンスを向上させるためにイメージトレーニングを導入しているのはこのためだ。

イメージトレーニングとは、頭の中に具体的で鮮明なシーンを思い浮かべること。これは心を落ち着ける効果もあるし、結果を出すための準備にも使える。「イメージを思い浮かべると、脳内のいくつかの領域が活性化します」と説明するのは、脳神経外科医のシェリ・デワン医学博士(ノースウェスタン・メディスン・セントラル・デュパージュ病院)。まず学習したり、計画したり、計画を実行したりするのは前頭葉だ。そして自分が考えた内容を映像化するのは後頭葉。

特定のイメージを繰り返し思い浮かべると、脳の闘争逃走反応を司る扁桃体の反応が鈍り、その行動にまつわる不安や恐怖が軽減される。また身体を動かすイメージを繰り返すと、実際にリアルタイムで運動しているときのように、脳と筋肉との間の運動神経路が強化される。これはピッツバーグの認定メンタルパフォーマンスコンサルタント、アンジー・ファイファー医学博士(応用スポーツ心理学協会理事)も指摘する理論だ。このようなメカニズムがすべて連動して、実生活の中で最高のパフォーマンスを発揮する能力を向上させるのだとデワン博士は説明する。

このメンタルエクササイズが非常に効果的で、長年にわたって研究者の注目を集めているのも無理はない。ウィスコンシン大学グリーンベイ校助教授のアラン・チュー博士(スポーツ、運動、パフォーマンス心理学プログラムを専門とする認定メンタルパフォーマンスコンサルタント)は、1960年代に同校が世界に先駆けて実施したイメージトレーニングの研究について説明してくれた。これは高校のバスケットボールチームを2つのグループに分けた実験で、1つのグループは物理的な練習だけを続け、もう1つのグループは特定の運動スキルのイメージトレーニングだけを実行。14日後、イメージトレーニングだけのグループは、物理的な練習だけのプレーヤーと同程度にスキルの習熟が見られたという。

それ以来、イメージトレーニングの分野ではさまざまな研究が行われてきた。『Journal of Neurophysiology』に発表された研究では、2つのグループの手首をギブスで固定し、1つのグループにだけ自由に手首を曲げている状態を頭の中で思い浮かべてもらった。4週間後、イメージを思い浮かべたグループは、思い浮かべなかったグループと比較して手首の強度低下が2分の1だったという。また別の研究では、フルーツの摂取量を増やしたいグループが、そのプロセス(いつどこでフルーツを購入し、どのように準備して食べるか)を思い浮かべるようにすることで、実際の摂取量を2倍に増やした。また『Journal of Imagery Research in Sport and Physical Activity(スポーツおよび身体活動における画像研究ジャーナル)』に掲載された試験的研究では、イメージトレーニングのテクニックを採用した体操選手は明らかに自信が高まっていた。他にも類似した研究は枚挙にいとまがない。

イメージトレーニングで成功を手にする

ボスのようにイメージを思い浮かべる方法

イメージトレーニングといっても、目を閉じるだけで効果が上がるほど単純なものではない。エキスパートたちによると、メンタルに働きかけるベストプラクティスがあると言う。ここではその方法を伝授しよう。

1. 起床したらイメージを作る。

起床後すぐに、5分間の「プロセスのイメージトレーニング」をする。目標達成に必要な行動をすべて視覚的に思い浮かべ、書き出してみよう。たとえば、1週間も続いている家族との喧嘩を終えて仲直りしたいとき。電話の約束を取り付けるメールを送り、電話をかける前に瞑想や事前練習をして集中力を高め、言いたいことを穏やかに話し、後で家族に贈るカードを買うところまで思い浮かべるのだ。そして、自分がイメージしたとおりに行動する。

これによって自信がつき、常に練習していくうちに、計画通りに行動しているかぎり自分は成功できると脳に言い聞かせることができる。この理論について説明するのは、カリフォルニア州バークレーの心理療法士、マイケル・シーリー氏(メンタルパフォーマンスコーチ)だ。朝起きてすぐこのトレーニングを実践することで、イメージした計画をしっかりと頭に植え付けられる。その上で、現実の行動に移せるようになるのだとシーリー氏は説明する。

このテクニックは、フルマラソンのような、難易度が高めのイメージトレーニングに進む前の準備段階としても有用だ。ファイファー氏はアドバイスする。「何かしっくり来ないと感じたら、思い浮かべたイメージを巻き戻して、最初からゆっくりとやり直す方法を学びましょう。練習を重ねていけば、そのうちもっと意識をコントロールして、体験したいイメージを正確に思い浮かべられるようになります」

2. 細部まで掘り下げる。

目標達成に関連するシナリオや感情を、1つひとつ細部にわたって思い浮かべる。チュー氏によれば、このとき脳はただ目標達成のことを考えているのではなく、具体的な実際の行動によって成功する練習をしているのだという。上手にやるには、五感をできる限り使って目標をイメージすること。これはオースティンのメンタルパフォーマンスコンサルタント、アンナ・ヘニングス氏からのアドバイスだ。

たとえば山の登頂を目指しているであれば、靴底で山道を踏みしめる感触、空気の匂い、眼下に広がる谷間の景色、風の音、山頂で食べる昼食の味などを思い浮かべてみよう。初マラソンの完走メダルを手にすることが目標なら、大会で着るウェア、当日の朝食、聴きたい音楽などを思い浮かべれば良い。あらゆることを具体的なイメージとして思い浮かべることで、そのイメージがよりリアルで達成可能なものとして感じられるようになる。そして、実生活でも目標を実現させたいという気持ちが高まっていくとチュー氏は言う。

3. 最高のパフォーマンスを思い出す。

成功事例を頭の中で再生すれば、自分の強みや成功への手順を確認して、それを繰り返すための準備が整えやすくなるとヘニングス氏は言う。こうすることで、前回の成功からエネルギーや自信を引き出せる。特に自信やモチベーションを喪失している場合に効果大だ

輝かしい過去の思い出がなくても、心配することはない。すっかり穏やかな気持ちになれた瞬間、嬉しさが爆発した瞬間、自分の強さに手応えを感じた瞬間などを思い出そう。このような瞬間の記憶は、現在の感情や心理に影響を与えて前向きになるために役立つとヘニングス氏は言う。たとえば、バーチャルプレゼンテーションを成功させたいのに、大人数を前にしたプレゼンテーションが未経験だとしよう。それなら初めてのデートで、とっさに何とか冷静さを取り繕った場面などを思い出してみよう。他人の過去のパフォーマンスを拝借してもいいとヘニングス氏は言う。誰かが首尾よくタスクを成功させている様子を観察し、使えそうなコツを見つけたら、そのコツを使って自分がスキルアップしている場面を思い浮かべるのだ。

4. 望むことの逆を思い浮かべる。

自分の目標に対するモチベーションが低下した時は、思い切りネガティブなイメージを思い浮かべるというトリックもある。「やりたいことができない世界では、どんな人生になるかを反事実として思い浮かべてみるのです」と説明するのは、ローリー・サントス博士(イェール大学シリマンカレッジ学長)だ。たとえば一人旅ができないほどの大怪我を負った自分や、記憶を失って小説を書けなくなった自分を思い浮かべてみる。「ほんの少し考え方を変えてみるだけで、現在の状況に感謝の気持ちが溢れてくるでしょう」とサントス博士。それが新しいモチベーションになるだろう。

文:ロザリン・フレイジャー
イラスト:ダビデ・ボナッツィ

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公開日:2022年4月11日