ランニング前のウォームアップ方法をエキスパートが解説

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ラン二ングの前にウォームアップを行うことで、パフォーマンスとリカバリーによい影響を与えることができる。

最終更新日:2022年9月19日
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ランニング前のウォームアップ方法をエキスパートが解説

ランナーへの時代を超えて語り継がれる以下のようなアドバイスは、確固たる理由があり色褪せることがない。たとえば、およそ500キロごと、または6か月ごとにランニングシューズを交換する寒い時期であっても常に水分補給をする、徐々に距離を延ばしていく。そして忘れてはならないのが、ランニングの前にウォームアップを行うことだ。

他の方法は比較的わかりやすいが、最後のアドバイスには多くの疑問が生まれるかもしれない。 ウォームアップにはどれくらい時間をかければよいか? どのような動きを入れるべきか? そして、(特に時間がない場合)本当に必要なのか? ランニングそのものと同様に、ウォームアップもさまざまな要素に左右される。筋肉のこわばり、フィットネスのレベル、過去や現在のけが、そしてランニングの計画などだ。

「優れたランニングをするには、優れたウォームアップが大切です」と語るのは、シカゴのRRCA認定ランニングコーチであり、NASM C.P.T.の資格を持つエイミー・モリス。 「自重を活かした動きを10分間集中的に行うだけでも、筋肉を温めて、メンタル面の準備をするなど、ランニングに備える効果は十分にあります。 また、リカバリーにも効果的です」

(関連記事:自重ワークアウト(カリセニクス)とは?

シンプルなウォームアップ

ランニングは体脂肪の燃焼効果が低いと見なされているが、実は全身のワークアウトであるとモリスは述べている。 また、言うまでもなく、体幹で安定性を維持してバランスをとるのだと付け加える。

このような理由から、以下に紹介する動的なウォームアップを行うことをモリスは推奨している。 ランニングの場合は、軽いジョギングなどと、腰、脚、大臀筋、体幹をターゲットとした動き。

例:

  • 片脚で立ち、反対の脚をゆっくりと前後に振る(10回ずつ、両脚)
  • スクワットまたはジャンプスクワット(10回)
  • 横方向の動き(カーツィスクワット10回またはオルタネイトサイドランジ10回など)
  • 2、3種類の体幹エクササイズ(プランクステップ、ウィンドシールドワイパー、マウンテンクライマーなど)

ほかにも、 ノルディックハムストリングエクササイズがある。 2019年発行の『British Journal of Sports Medicine』に掲載され、およそ8,500人のアスリートとけが予防方法を取り上げた研究レビューによると、このエクササイズによってハムストリングのけがが半分に減少した。

アイルランドに拠点を置く同調査の主任研究員で理学療法士でもあるニコル・バン・ダイク博士は、シンプルな動きのエクササイズで、両脚を固定して楽にひざをつける場所さえあれば、どこででもできると述べている。

方法は次のとおり。

  1. まず、両足首を固定した状態でひざをつく。両脚をバーなどの下に置くか、ランニング仲間に押さえてもらうといい。
  2. 次に、背中を伸ばしたままできるだけゆっくり前傾する。両腕は組んで身体の方に寄せる。通常は、両手首を胸の前で交差させる。
  3. 身体を支えられる限界まで前傾したら、コントロールしながら身体を前に倒し、床や地面に両手をついて受け止める。

「ランニングのパフォーマンスには多くの要素が関わっていますが、実は、ランニングの良し悪しはハムストリングによるところが大きいのです」と博士は語る。 「このようなエクササイズを数分間行うことでけがを予防できます。だから、ウォームアップが重要になります」

フォームローラーをウォームアップに取り入れることもできる。 フォームローリングは筋肉の血流を増加させて炎症のリスクを低減することが、研究によって示唆されている。 フォームローリングのメリットをすべて享受するための秘訣は、エクササイズの前に行うことだ。

「フォームローリングで身体を高負荷のアクティビティに備えさせることができます」と語るのは、ダイアナ・ギャレット理学療法士で、 C.S.C.S.(認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)でもあり、州立セント・ジョンズ・ヘルスセンターのパフォーマンス・セラピー・センターで外来患者のリハビリテーション部門のマネージャーも務める人物だ。 「血流の増加も作用するので、筋肉だけではなく、神経や関節にも効果があります」

ランニングに合わせてウォームアップを調整する

モリスによると、ウォームアップの時間、強度、エクササイズは、その後のランニングやレースの種類によって変わることが多いとのこと。 たとえば、昼休みにトラックで1~2キロ走るだけなら、ウォームアップはランジ、スクワット、数回のノルディックハムストリングエクササイズといった動的なストレッチを5分間。続けて軽いジョギングを5分間行ってからスピードを通常のペースに上げていこう。

スピードトレーニングの場合、スプリントして筋力を鍛えるならば、膝を高く上げる、スキップ、スケーター、脚をヒップの方に蹴るなど、何らかのジャンプが含まれるドリルで、身体の準備をするとよい。

長距離走の日やマラソンには? 5分以上の「軽いジョギング」といっしょに、動的なストレッチの回数を増やし、垂直跳びも数分間行うべきだと、モリスは語る。 長距離を走ったことがある人は、多くの人がジャンプもしていたことを目にしただろう。モリスによると、これは身体の準備とともにメンタル面の準備にも効果がある。 文字どおり緊張を振り払ってから足を踏み出すためだ。

けがしているときにすべきこと

ウォームアップは一般的に重要だが、何らかのけがをしているときはさらに重要だと、ジョシュア・スコット医学博士は語る。博士は、ロサンゼルスのCedars-Sinai Kerlan-Jobe Instituteでスポーツ医学専門医を務めている。

絶対にランニングをしてはいけない状況がある。疲労骨折している場合や、走ると鋭い痛みが出る場合などだ。ただし問題によっては、エクササイズをすることでメリットが得られることがある。 いずれにせよ、異常な不快感がある場合には、医師や理学療法士に確認するとよいだろう。

(関連記事:疲労骨折とシンスプリントについて 知っておくべきこと)

たとえば、関節炎財団は、ランニングにより変形性膝関節症の痛みを緩和できると説明している。2018年の外傷性脳損傷に関する研究からは、有酸素運動(ランニングなど)をけがの後に数週間行うと、気分を高揚させることができることもわかっている。 どのようなけがであっても、医師からランニングの許可が下りたときは、長めのウォームアップに集中することをスコットは推奨している。 場合によっては、ウォームアップの動きとランニングを交互に行ってもよい。 ただし、ウォームアップについて迷っている場合は、必ず医師や理学療法士に許可を取ってから行うこと。

たとえばウォームアップでウォーキングを行う場合は、ウォーキングとランニングを繰り返すセッションに軽めのランニングを入れることが最適だとスコットは語る。 この方法だと、身体に過剰な負荷をかけずに、コンディションを整えることができる。 徐々にランニングに戻ることもできるので、けがの有無にかかわらず理想的だ。

「エクササイズの場合と同じように、身体の声を聞き、新しい痛みに注意を払ってください」と同氏は述べている。 「走り始めて、ウォームアップが不十分だと感じたら、その感覚はおそらく正しいでしょう」

文:エリザベス・ミラード

公開日:2022年9月19日

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