ランニングとローイング:優れているのはどちらのワークアウトか?
スポーツ&アクティビティ
スポーツやフィットネスの専門家の間では、ランニングとローイングのそれぞれのメリットや、どちらの方が目標達成により近づけるのかについて、さまざまな意見が出ている。
やる気に満ち溢れ、ワークアウトに挑む準備をしているところを想像して欲しい。 ジムに到着すると、空いているローイングマシンとトレッドミルが目に入ってくる。しかし、どちらを選べば良いのだろうか? エネルギー消費という点で考えると、ランニングよりもローイングの方が優れているのだろうか? もしくは、アクティビティ自体ではなくマシンだけで比較すると、汗をかこうと思ったときにはトレッドミルよりもローイングマシンの方が適しているのだろうか?
しかし、こうした疑問は必ずしも的を射ているとは言えない。 どちらのワークアウトを選んだとしても、効率的に持久力を培うことができる。 「最適」な選択肢は結局のところ目標が何であるかに関係してくると述べるのは、管理栄養士のレダ・エルマルディ (認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト=C.S.C.S有資格者)だ。 「ランニング対ローイング」論争を決着させるためには、なにを成し遂げたいかを初めに明確にすることが一番だとエルマルディは述べている。
ここで、特定の目標に対する各ワークアウトが持つ強みを紹介していく。
1.全身のワークアウトに最適:ローイング
ローイングには足を使って後方に押し出す動きも関係するが、ハンドルバーを後方に引くときには腕と肩も使う。それが、最高の上半身のワークアウトになる。「一般的に、ローイングではランニングよりも早く筋肉量が増えます」とエルマルディは語る。
ローイングは体の筋肉の約85%を活用するが、一方でランニングは下半身に重点を置いた運動であると考えられており、全身でみると使用する筋肉量は少ないことを明らかにした研究もある、とエルマルディは語る。 加えて、長距離ランは筋タンパク質の分解量を増加させる場合があり、結果として筋肉の成長が鈍化してしまう。
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2.最大のカロリー消費:ランニング
取り組みの程度にもよるが、仮にローイングとランニングに同じだけの労力を注いだとすると、ランニングの方がカロリーの消費にはわずかに有利であると、『The Micro Workout Plan』と『The Marathon Method』の著者でC.S.C.Sのトム・ホランドは述べている。
ハーバードヘルスパブリッシングによると、たとえば70kgの人が中程度の負荷の運動として1マイルを12分のペースで走った場合、1時間で約576カロリーを消費することになる。 中程度のペースでローイングを行うと、約504カロリー消費する。
数値にそこまで大きな違いはないが、メインの目標がカロリーの消費であるなら、簡単にスプリントを組み合わせることができるランニングの方がより優れたワークアウトであるとホランドは述べている。 もし1時間で10km走るような精力的なランニング(1マイルを10分のペース)を行うのであれば、1時間で720カロリーを消費することになる。
ただし、上記の数字は概算であることに注意して欲しい。 カロリー消費には、性別、代謝、フィットネスレベルなど、あらゆる要因が関係してくる。 特定のエクササイズを行ったときに自分が消費するカロリーの量は、他の人が同じ時間で消費するカロリーとは同じにはならない可能性が高い。
3.関節を保護する:ローイング
ランニングには多数のメリットがあるとホランドは語る。シューズを履けばどこでも走ることができるが、ローイングの場合はそうはいかない。
「とはいえ、ランニングは膝や腰などを中心とした関節に負荷がかかる場合があります」、とホランドは付け加える。 「ローイングは衝撃が少ないため、関節に負荷がかかるという欠点を伴わずに運動を行い、筋肉を増強できるという利点があります」
しかし、引くときに前かがみになるなどの不適切な方法でローイングを行ってしまうと、腰に問題が出てしまう場合があるとホランドは述べている。 それでも、ローイングのようなアクティビティは一般的に関節を守ることができる運動であり、ケガが長引いている場合などには特に重要となる。
4.バランス感覚と安定感の向上:ランニング
ランニングは手足を逆方向に動かすことから、ある程度のバランス感覚と安定感が必要であり、そうした感覚は取り組みを続けることで成長させることができると、C.S.C.S.で筋力トレーニングガイド『Return to Center』の著者でもあるロッキー・スナイダーは述べている。
それに比べてローイングでは、腕と足を左右同時に動かすため、バランス感覚は求められず安定感もごくわずかで十分と言える。 バランス感覚と安定感はどちらも、ヨガや高負荷トレーニングであるHIIT、さらにはチームスポーツまで、さまざまなその他のアクティビティに転用することができる。 そのため、いずれかのアクティビティのクロストレーニングとしてランニングかローイングに目を付けたのであれば、トレッドミルを試してみよう。
5.集中して取り組む汗をかくセッション:両方のワークアウト
どちらかのマシンにしか取り組む時間がない場合であれば、その日の目標に合う方を選ぼう。 しかし、日常的にワークアウトを行っていて、どちらも選ぶことができるのであれば、2つを交互に行うことで多くのメリットを得ることができるとスナイダーは述べている。
「たとえば、ランニングとローイングを組み合わせて週に2回ずつ定期的に行うと、それぞれの長所を実感できます」とスナイダーは語る。 「2つを組み合わせることで、異なる身体的負荷をかけ、相互に補完させることができます」
ホランドは、同じ日に両方のマシンを使用して有酸素運動のワークアウトを分割するのではなく、別々の日に行うことを勧めている。 ランニングを月曜日と水曜日、ローイングを火曜日と木曜日に行っても良いだろう。
残りの1日でどちらかのワークアウトを行う場合、ホランドはシンプルに考えるように勧めている。それは、自分が取り組みたいと思う方のワークアウトを選ぶことだ。最終的には楽しむことが、ワークアウトを行う上で考慮すべき重要な点だからだ。
文:エリザベス・ミラード
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