ランニングとジョギングの違いとは?
スポーツ&アクティビティ
ここではランニングとジョギングの違いを明らかにし、総合的な健康を手にするためにそれぞれが果たす役割について説明する。
毎日、大勢のランナーがランニングシューズを履いて外に出ていくが、 彼らが取り組むのはランニングだろうか、それともジョギングだろうか? また、どちらの方が健康に良いのだろうか?
ランニングとジョギングの違い
「ランニング」と「ジョギング」という言葉に正式な定義はなく、陸上競技の統括団体である全米陸上競技連盟(USATF)による説明も見当たらない。ただ、ランニングとジョギングのどちらに取り組むべきかを判断するための要素はいくつかある。
1.スピード
多くのランナーは、ジョギングはランニングのペースを落としたものと捉えている。 専門家は通常、平均的なジョギングのペースは時速4~6マイル(mph)で、ランニングのペースは時速6マイル、または1マイル10分よりも速いスピードのものだと説明する。 とはいえ、ジョギングとランニングの区別のしかたには個人差があることを覚えておこう。
同じワークアウト中にジョギングペースとランニングペースを切り替えて行うこともあるだろう。 たとえば、スピードインターバルやテンポランに取り組む場合だ。いずれも、ウォームアップとリカバリーのためのジョギングを取り入れることが多い。 Nike Runningグローバルヘッドコーチのクリス・ベネットは、Nike Run Clubアプリの複数の音声ガイドランで、しっかりウォームアップを行うことが必須だとアドバイスしている。
「自分を追い込んだり、無理をしたり、頑張り過ぎたりしている場合、それはやめてください。 無理に追い込むようなウォームアップは妨げになるだけで、メリットはありません」とベネットコーチは言う。
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2.負荷
どれだけ速いランナーでも、特に激しいワークアウトをするときは、大体、ジョギングペースとランニングペースを適宜切り替えながらトレーニングを行う。 たとえば、スピードを上げる200mのインターバルスプリントの間に挟むリカバリージョグでは、ウォームアップペースよりゆっくり走ることが多い。 また、けがの回復期やランニングを始めて間もない時期なら、スピードに挑戦する前に、ウォーキングやジョギングから始めたほうがいいだろう。
ファルトレクやスピードトレーニングをルーティンに組み込むメリットはたくさんある。 『Sports Medicine』に2015年に掲載された研究レビューでは、高負荷インターバルトレーニングは、VO2Max(最大酸素摂取量。体がどれだけ効率的に酸素からエネルギーを生み出せるかを指す)にプラスの効果をもたらすという結論が出ている。 ファルトレクでは、速いペースとゆっくりのペースを交互に繰り返すことで、さまざまなエネルギーシステムを活用でき、結果として安静時心拍数が徐々に下がっていくのだ。
3.目的
目標にかかわらず、毎週の長時間ランの後は、足を回復させるためにトレーニングは控えめにしたい時もあれば、多忙な一日を終えてストレスを発散するために負荷を上げたいと考える時もあるだろう。きちんと考えたうえで実行すれば、どちらも有効だ。 トレーニングの効果を高めたければ、バーンアウトやオーバートレーニングを防ぎ、使い過ぎによるけがのリスクを下げるために、少しずつ負荷を高めていく必要がある。
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マラソンに向けてのトレーニングでも、生活の中に運動を取り入れて楽しみたい場合でも、ジョギングとランニングは心と体に大きなメリットをもたらす。 いずれも幅広いプログラムに取り入れることができ、さまざまな目標の達成に役立つことは言うまでもない。 そして、ゆっくりペースのリカバリーランは、スピード重視のトレーニングと同じくらい重要であることも覚えておこう。
「リカバリーランを適切に行えば、体、精神、心、気分の回復につながります」とベネットコーチは話す。
ランニングがもたらす健康上のメリット
がんのリスクの低減からストレスの管理まで、ランニングにはさまざまなメリットがある。 さらに、ハードなワークアウトを終えたときの達成感や、ランニングコミュニティの仲間とのつながりなど、目には見えないメリットもあるのだ。 それについて詳しく見ていこう。
『Medicine & Science in Sports & Exercises』で発表された研究では、調査参加者のうち速いスピードで走る人のほうが、高血圧、高コレステロール、糖尿病の投薬が少ない傾向が見られた。 5万人を超える男性ランナーと女性ランナーのパフォーマンスと医療の必要性を調査したところ、7分/マイルより速いペースで走る男性ランナーは、10分/マイル以上のペースで走るランナーより投薬量が少ないことがわかったのだ。 同様に女性ランナーでも、8分/マイルより速いペースで走るランナーのほうが、11分/マイル以上のペースのランナーより投薬量が少なかった。
さらに、『The Journal of Nutrition』で発表された170近くにのぼる観察疫学調査の考察によると、ランニングはがんのリスクを下げ、がんの治療にプラスの効果をもたらす可能性があるとのこと。 大規模な分析を行った結果、運動により大腸がんと乳がんのリスクが低下することが明らかになり、前立腺がんのリスクが下がる可能性が高いことも示された。
この研究論文によれば、「がんの検出、診断後の対処、リハビリ、生存率など、 がんの治療が関わる他の局面でも、運動が効果を現すことを示す証拠が増えてきている」とのことだ。
ランニングのメリットは身体面にとどまらない。慢性的なストレスを低減させる効果が期待できることを示唆する研究もある。 『Neurobiology of Learning and Memory』で2018年に発表された研究では、マウスを使って運動の効果を分析した。ストレス下にあるマウスに運動させた結果、運動しない対照群よりも高いパフォーマンスと記憶力を発揮したのだ。
ジョギングがもたらす健康上のメリット
ハードなランへのチャレンジは、大きな達成感を生む。 しかし、ジョギングのメリットもおろそかにはできない。 けがからの復帰を目指すときや、初めてランニングにチャレンジする場合など、ジョギングをすることで、運動を楽しめて頭がすっきりするだけでなく、健康面でも数多くのメリットが得られる。
2015年にHHS Public Accessで発表された研究では、18~100歳の55,000人を対象に、ゆっくりペースのランニングと心血管疾患による死亡リスクの関連性について調査が行われた。 その結果、時速6マイルより遅いペースで1日に5~10分走ると、心血管疾患による死亡率が大きく低減することがわかった。
ランニングとジョギングのどちらが効果的か?
ランニングとジョギングはどちらも効果的で、1日1マイル走るだけでも健康上のメリットがある。 アメリカ疾病予防管理センターによると、中等度から高強度の運動を週に2~5時間行うことで、ほとんどの成人は心血管疾患や慢性疾患のリスクを低減できるうえ、気分や睡眠の質を高められるそうだ。ランニングとジョギングは、この運動にぴったり当てはまる。
習慣的にランニングを行っているのなら、ジョギングは1週間のワークアウト計画の中で重要な役割を果たすはずだ。 習慣的にジョギングを行っているのなら、たまにはスプリントやテンポランを組み込んでスピードを上げると、どんなペースでも前向きにチャレンジする機会になる。 ランニングとジョギングはどちらも効果が高い。これらのアクティビティに取り組めば、走ることが好きになり、活動的な生活を長く続けられるだろう。
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