ランニング後に最適な6つのリカバリー方法
スポーツ&アクティビティ
ランニング後にしっかりリカバリーをして、オーバーワークによる怪我や痛みを防止しよう。
着実にトレーニングすれば、ランニングのパフォーマンスは向上する。 しかし、マラソンに向けてトレーニングしている人も、ランニングを始めたばかりの人も、ランニングを継続するには次のセッションまでに効果的にリカバリーを行う必要がある。 そうしなければ、オーバートレーニングに陥るリスクやオーバーワークによる怪我を負うリスクが生じる。
ここで紹介するランニング後のリカバリーのためのヒントを参考にして、怪我を防止しながらランニングルーティンをこなし、望みどおりの成果をあげよう。
ランニング後のリカバリーはなぜそれほど重要なのか?
ランナーは一般的に、ランニングをすればするほど良いと思っていることが多い。 ランニングの目標を達成するには、継続することが大切だ。 しかし、パフォーマンスを高めつつ、怪我をせずに目標を達成するには、リカバリーの時間を確保する必要がある。
『Sports Health』誌に掲載された2009年の研究によると、毎年最大70%のランナーがオーバーワークによる怪我を負っている。 体を繰り返し酷使することが、ランナー膝、アキレス腱炎、シンスプリント、足底筋膜炎などの怪我の原因となるためだ。 こうした怪我は、体を回復させずに過度なトレーニングをした場合に生じるが、予防することができる。
ランニングは、体に負担のかかる高負荷のスポーツだ。 体を動かし続けると同時に、ストライドのたびに着地による体への衝撃を和らげるために筋肉が酷使される。 長距離ランやマラソンは、体への負荷がひときわ大きい。 通常のランに比べて長時間激しく体を動かすからだ。
ランニングをすると、筋肉の損傷や張りが生じる。 筋肉の損傷がグリコーゲンの減少と相まって、炎症が起こる。 2016年に『Sports Medicine Open』誌に掲載された研究では、マラソン後にランナーの炎症マーカーが増加したことが示されている。 実際に、これには用量依存的な相関性があることがわかった。 つまり、走る距離が長くなればなるほど、炎症の度合いが高まるということだ。
筋肉の損傷と炎症は気がかりだが、激しい運動に対する正常な生理学的反応だ。 必要なリカバリー時間を確保すれば、体をランニング後に修復することができる。
科学的根拠に基づいたランニング後のリカバリー方法
1.水分と電解質の補給
運動をすると、中核体温が上昇する。 その結果、発汗し、水分とミネラルが失われる。 『Journal of Athletic Training』誌に掲載された研究では、バスケットボールプレーヤーは40分の試合中に約4.5リットルの汗をかいた。 このとき、平均プレー時間はわずか21分だった。 バスケットボールはそもそも高負荷のスポーツではあるが、この研究結果は運動中の水分の喪失に関する知見として有益だ。
2019年に発表された研究によると、マラソン中にランナーは大量の水分とナトリウムを失う。 塩分喪失量は平均2.3グラムだったが、レース中に7グラムの塩分を失ったランナーもいた。 また、水分喪失量は平均2.5リットルだった。
どんなワークアウトでも、水分と電解質の補給は極めて重要だ。 多くの場合、水分補給は忘れないが、 失われた電解質の補給は忘れがちだ。 ワークアウト後に、電解質を含むスポーツドリンク、ココナッツウォーター、小さじ1杯の海塩やレモン果汁を加えた水を飲むだけでよい。
水分補給をしておくことは、ランナーのリカバリーを早めるのに有効だ。 必須栄養素の消化、筋肉の修復、ランニング中に失われた水分とミネラルの補給の促進に効果がある。2.炭水化物の摂取
グリコーゲンとして体内に蓄えられている糖質は、ランニング中に分解され、主要なエネルギー源として使用される。 『Nutrition Reviews』誌に掲載された2018年の研究で、運動開始から45分後にグリコーゲンの貯蔵量が減少し始めることがわかった。 長時間ランニングをするほど、より多くのグリコーゲンが失われる。
実際に、2010年に『PLoS Computational Biology』誌に掲載された研究によると、マラソンランナーの40%以上のパフォーマンス抑制の主な原因がグリコーゲン不足だという。 これは、ランニング中のパフォーマンスだけでなく、マラソン後のリカバリーにも影響する。
グリコーゲンを補給するには、ランニング後に炭水化物の多い食事をとればよい。 ランニング後に炭水化物を摂取すると、血糖値だけではなく、血液中のインスリン濃度が上昇する。 これによって、筋肉修復を促進するグリコーゲンの再合成が活発化される。3.フォームローリング
筋肉や組織は、筋膜という薄いシートのような物質で覆われている。 長距離ランの後は、筋膜が張り、硬くなる。 これにより、関節可動域(ROM)が変化し、遅発性筋肉痛(DOMS)が悪化する。
ランニング後にフォームローリングを行えば、筋膜がほぐれてリカバリーが促進されることがわかっている。 筋膜を伸ばしてほぐすことを、筋膜リリースという。 『International Journal of Sports Physical Therapy』誌に掲載された研究によると、フォームローリングには、関節可動域の改善、運動パフォーマンスの強化、リカバリーの促進といった効果がある。
ランニングの前後やワークアウトの前に5~10分間フォームローラーを使って、筋膜をほぐすとよい。 最も重点的にほぐすべき部位は、下半身だ。 フォームローラーの上に座り、臀部、大腿四頭筋、ふくらはぎを特に念入りに、片脚ずつほぐそう。4.ストレッチ
ランニング後に毎回時間をかけてクールダウンとストレッチをするのは、どんなランナーにとっても効果的だ。 クールダウンでは、5分間のウォーキングや低負荷の運動をするだけで、心拍数をゆっくりと下げることができる。 ストレッチには、2つのメカニズムによって怪我を防止する効果がある。
- 可動域(ROM)の拡大と、
- 血流の増加だ。
筋肉がこわばって可動域が制限されると、ランニングエコノミーが悪化し、怪我につながる可能性があることが、ある研究で示されている。 ストレッチによって血流が増えると、乳酸の処理が促され、リカバリーが早まる。 代謝の副産物である乳酸がたまると、筋肉の痛み、腫れ、ほてりにつながる。
「8つのウォームアップエクササイズでワークアウトに備えよう」の記事もチェックしよう!5.良質な睡眠の確保
質の良い睡眠を十分にとらなければ、体は適切にリカバリーすることができない。 筋肉の修復とリカバリーの大部分は睡眠中に行われるため、睡眠が不足すると、ランナーはポテンシャルを最大限に発揮できなくなる。
2011年版の『Medical Hypotheses』誌に掲載された研究で、睡眠不足の結果として生じるホルモンの変化に関する調査が行われた。 研究の結果、睡眠不足によってコルチゾール(ストレスホルモン)が急増することと、リカバリーに欠かせないタンパク同化ホルモンであるテストステロンとインスリン様成長因子(IGF-1)が減少することが明らかになった。 これらが組み合わさると、リカバリーが大きく阻害される。
ある研究では、睡眠不足のアスリートは、平均スプリント数と総スプリント数が著しく減少していた。 また、別の研究では、睡眠不足によって反応が遅くなり、正確性と持久力も低下した。 スプリントでもマラソンでも、パフォーマンスとリカバリーは睡眠の量と質によって左右される。 National Sleep Foundationは、1日7~9時間の睡眠を推奨している。6.高タンパク質の食事の摂取
炭水化物に加えて、タンパク質を摂ることが重要だ。 タンパク質には、筋タンパク質の分解防止作用を持ち、合成を促すアミノ酸が含まれている。
タンパク質を摂取できる食品は、何種類の必須アミノ酸を含んでいるかによって、完全タンパク質と不完全タンパク質に分けられる。 9種類すべての必須アミノ酸を含む完全タンパク質をとるようにしよう。 完全タンパク質は次のような食品に含まれている。- 魚
- 鶏肉
- 卵
- 牛肉
- 乳製品
- 豆腐
- 枝豆
- テンペ