ランニング後に最適なリカバリー方法5選

アクティビティ

ここで紹介するリカバリー戦略をトレーニングルーティンに組み込んで、走りすぎによるケガを防ごう。

最終更新日:2025年2月25日
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ランニング後に最適なリカバリー方法5選 

走る距離の管理方法を学んでいる最中の初心者から、自己ベストの更新を目指すベテランアスリートまで、リカバリーはあらゆるランナーに欠かせない。

「リカバリーは、筋肉、腱、靭帯を休ませて修復する時間を与え、体力を回復し、炎症を抑えます」と語るのは、C.S.C.S.の資格を持ち、RRCA認定ランニングインストラクターとしてTeachMe.Toを運営するジェイ・シルバ。 「さらに時間の経過とともに一貫した進歩を期待できるため、パフォーマンスも向上します」と彼は言う。

リカバリーを優先しないとどうなるか?

運動の目標を達成するには、一貫したトレーニングプランだけでは不十分。 パフォーマンスを向上させ、健康全般を支えるうえでは、リカバリー戦略をルーティンに組み込むことが欠かせないのだ。 「リカバリーは、あらゆるレベルのランナーに不可欠です。ランニングで負荷がかかった身体は、リカバリーによって修復、適応し、より強く成長していくからです」とシルバは言う。

ランニングはハイインパクトなスポーツだ。つまり、水泳のようなローインパクトのエクササイズと比べると、体への負担が大きいということ。 サンディエゴ・モバイル・リハビリ・アンド・フィジカル・セラピー(San Diego Mobile Rehab and Physical Therapy)を運営する理学療法博士(D.P.T.)のラケル・フェルダーは、 ハードなワークアウトの後は、筋肉に微小な断裂ができると指摘する。 「微細な断裂ができるのは正常なことで、これは適切なリカバリーで治ります」と彼女は言う。 そのため、トレーニングプログラムには、ハイインパクトの運動とリカバリーを促進するローインパクトの運動をバランスよく組み込むのが理想的となる。

「適切なリカバリーを行わないと、オーバートレーニング、燃え尽き症候群、けがのリスクがあります。そうなると、数週間から数か月もランニングから遠ざかることになりかねません」とシルバ。 また、リカバリーを優先すると、身体が損傷した筋肉を修復して強く成長し、次のワークアウトに備えられるようになる。

ランニング後に最適なリカバリー方法

ランニング後のリカバリーを促進する方法はたくさんある。 ランナーに最も効果的なリカバリー戦略を習得して、長期的にトレーニングを続けていこう。

ランニング後に最適なリカバリー方法5選 

1. ワークアウトが終わったら、すぐにエネルギーを補給する

リカバリーはエネルギー補給から始まると言うのは、ヒューマン・パワード・ヘルス(Human Powered Health)のパフォーマンス生理学者であるレオ・ヒップ。 ワークアウトが終わってすぐにエネルギーを補給すれば、筋肉の修復と再生に必要な栄養素をより早く摂取できる。 「身体は炭水化物と脂質をエネルギーとして燃焼するので、運動の後はそれらを補給することが大切です」と彼は言う。

シルバが推奨するのは、ランニングが終わってから30〜60分以内にエネルギーを補給すること。こうすることで、リカバリーが最適化されると言う。 また、グリコーゲン貯蔵量(体内にエネルギーとして蓄えられている糖質)を補充するために、シリアルやフルーツジュースといった単純な炭水化物よりも複合炭水化物を優先することをすすめている。 「サツマイモ、米、オーツ麦は、良質な複合炭水化物が含まれた食べ物です」とシルバはアドバイスする。

タンパク質の摂取も、リカバリーには欠かせない。 「タンパク質をエネルギーとして燃焼させるわけではありませんが、筋肉は動きを支えるためにタンパク質を使います」とヒップは説明する。 十分な量のタンパク質を摂取すると、筋肉の修復と成長も促進される。 国際スポーツ栄養学会(ISSN)は、ワークアウトが終了してから2時間以内に、良質なタンパク質が含まれた食事や軽食をとることを推奨している。 「炭水化物とタンパク質の比率が、3対1または4対1になるようにエネルギーを補給しましょう。たとえば、バナナとプロテインパウダー入りのスムージーは、その良い例です」とシルバはアドバイスする。

ランニングが終わった後の食事や軽食には、良質な脂質を加えることも忘れずに。 「良質な脂質は体全体の回復をサポートし、炎症を抑えてくれます」とフェルダーは言う。 特にオメガ3脂肪酸は、運動後の炎症や筋肉の損傷を抑える効果が期待されている。 サーモンや亜麻仁、クルミなどのナッツ類は、炎症を抑える天然の脂肪酸を豊富に含む食品のほんの一例だ。

ランニング後に最適なリカバリー方法5選 

2. 水分を補給して電解質を補充する

「水分補給は回復の基本です。ランニング中に水分や電解質が失われると、脱水症状、疲労、けいれんを引き起こす可能性があります」とシルバは言う。 「ランニングの後は、すぐに水を飲むことも大事ですが、長距離のランや暑い日のランの場合、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど、失われた電解質を補うことも同じくらい重要です」

この3つの電解質は、リカバリーと全身の健康に欠かせない。ワークアウト後は、主に発汗(特にナトリウム)によってこれら3つの電解質が失われる。シルバは「このバランスを回復させるのに役立つのは、電解質タブレット、スポーツドリンク、ココナッツウォーターなどです」と言う。 電解質が豊富な水分を十分に摂取することは、筋肉痛を未然に防ぐことにも役立つ。 「水分補給は、体内の筋肉に栄養素を運搬する機能をサポートするだけでなく、遅発性筋肉痛の予防にも役立ちます」とシルバは説明する。

ランニング後に最適なリカバリー方法5選 

3. ストレッチ、フォームロール、セルフマッサージ

ダイナミックストレッチ(動きを伴うストレッチ)には、ワークアウト後の筋肉の再生を促す効果がある。 ウォーキングランジ、アームサークル(腕を大きく回すエクササイズ)、ヒップのCARS(関節可動制御法)はすべて、関節の可動域を全開の状態にまで動かすダイナミックストレッチに該当する。 このような可動性を重視した軽めの運動をリカバリーのルーティンに組み込むと、硬くなった筋肉がほぐれて柔軟性が高まり、損傷した筋肉への血流が促進される。そのため最終的にリカバリーが促進されるのだ、とフェルダーは説明する。

シルバによれば、スタティックストレッチ(静的ストレッチ)、つまり動きが必要ないストレッチは、柔軟性をサポートし、筋肉をしなやかに保つ効果がある。 彼が推奨するのは、ハムストリング、大腿四頭筋、ふくらはぎ、股関節屈筋など、ランニング中に使用する主要な筋肉をターゲットにしたストレッチだ。 また、セルフマッサージマッサージガンなどのツールを使ったマッサージでも、疲れた筋肉への血流を促進し、筋肉の緊張を和らげることができる、とも付け加えている。 シルバは、フォームローリングもその1つの手段だと言う。凝りやこわばりをほぐし、筋肉や骨を取り囲む筋膜組織への血行が促進される。

「ダイナミックストレッチ、スタティックストレッチ、フォームローリング、セルフマッサージは、どれもリカバリーに効果的です。柔軟性を高め、癒着しやすい筋肉に働きかけ、可動域を向上させ、DOMSを軽減する効果があります」とフェルダーは言う。 また、これらのリカバリー方法はどれも、けがの予防に役立つ。

ランニング後に最適なリカバリー方法5選 

4. クロストレーニングを組み込む

水泳、ヴィンヤサヨガ、サイクリング、ピラティスなど、ローインパクトのエクササイズを組み込んだクロストレーニングは、アクティブリカバリーとして組み込むこともできる。 重要なのは、トレーニングルーティンに変化を加えることだ。なぜなら、「同じ動きを繰り返すと、極度のこわばりや痛みを引き起こすおそれがあるからです」とシルバは話す。 だからこそ、ルーティンに変化をつけ、多様なアクティビティを通じてさまざまな方法で筋肉、腱、靭帯を動かすことが重要だ。

「リカバリーをする日に軽いクロストレーニングをすると、血液循環が促進されます。それが筋肉のこわばりを防ぎ、ランニングで使った筋肉を休ませることになります」と、シルバもこれに同意する。さらに、サイクリングや水泳などのローインパクトのアクティビティは、筋肉に負担をかけることなく血流を促進し、心拍数を上げられると付け加えた。 「これらのアクティビティは、補完的な筋肉群を強化し、全身の可動性を向上させ、心臓血管の健康維持にも役立ちます」と彼は言う。

クロストレーニングは、ランニングによるバーンアウトや筋肉のバランスの乱れを防ぐのにも役立つとフェルダーは説明する。

ランニング後に最適なリカバリー方法5選 

5. 休息を優先する

時には、すべてのアクティビティから離れて身体を休めることも必要だ。それでまったく問題はない。 結局のところ、「休養こそがリカバリーの基本です。体が十分に修復され、トレーニングによるストレスに適応するからです」とシルバ。

トレーニング計画には、少なくとも1日の休養日を組み込んで、身体に必要な休息を確保しよう。 それと同時に、1週間の間にさらに休養日が必要になったら迷わず休養しよう。それは体がもっとリカバリーを必要としている証拠だ。 「バランスの取れたランニングプログラムには、ハードなトレーニングセッションと同じくらい休養日が重要です」とシルバは言う。

リカバリーに欠かせないもう1つの要素は、毎日、質の良い睡眠をとることだ。 「身体はほとんどの修復プロセスを睡眠中に行っています。最適な回復を促すために、一晩に7〜9時間の睡眠を取ることを目標にしてください」とシルバは付け加える。

フェルダーは、睡眠の質を高める方法として、リラックスする就寝前のルーティンを作る、就寝前はスクリーンタイムを減らす、サウンドマシンを使うなどの睡眠健康法に取り組むことを勧めている。

文:シャイアン・バッキンガム

ランニング後に最適なリカバリー方法5選 

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公開日:2025年2月20日

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