寒い季節のランニングを効果的に:エキスパートお墨付きの4つのヒント
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2人の理学療法士が、冬のランニングにふさわしい(着込みすぎない)防寒対策についてアドバイス。
寒いからといって外出を控え、ランニングから遠ざかるのはもったいない。 ただし、けがを予防し、ランニングの効果を最大限に高めるために、悪天候に備えることが重要だ。
冬場のランニングが初めての人や、これまで冬のランニングを楽しめなかった人は、寒い気候でのランニングについての専門家からのアドバイスを参考にすれば、ワークアウトの効果を最大限に高められるはずだ。
寒い気候は好きではないかもしれないが、ランニングをするなら暑い日より寒い日の方がパフォーマンスを発揮しやすいと、理学療法博士であり、 整形外科臨床専門医のジェシカ・チャンは語る。
寒い時期にランニングをすることで生じるけがは特にない。 チャン曰く、けがのほとんどは、気温にかかわらず、装備や適切なウォームアップが足りないために発生する。
けがのリスクが大して高くない人も、天気予報で積雪や凍結などの状況をチェックすることが大事だとチャンはアドバイスする。積雪や凍結により滑ったり転んだりするリスクが高まるうえ、シューズをはじめとする装備の選択にも影響する。
寒さの中でのエクササイズが、凍傷のような皮膚の損傷や低体温症を引き起こすおそれもある。 また、皮膚が濡れて凍傷になる可能性もあるため、速乾性に優れたアパレルを着用することが重要だと、理学療法博士であり、ニューヨーク大学ランゴーン整形外科センター所属の理学療法士、サイモン・M・ブロシエは話す。
1. 適切な装備を整える
走り出す前に、寒い気候に対応するランニングギアで装備を整えるようにしよう。 服装はランニング時の気分を左右するもの。寒かったり、暑すぎたりする状況は避けたいだろう。 「うまく重ね着することが、寒い季節のランニングに関して最も重要なポイントの一つです」とチャンは言う。
走り始めると、体はその運動を続けるためにさらに多くのエネルギーを生み出そうとする。その結果、体温が上昇する。 体温を調節し、熱くなりすぎないように、体は汗を分泌する。 汗で濡れるのを防ぎながら体幹の温度を快適に保つ必要があるため、機能的な素材を使用したギアを着用し、外気温より約6~11度高くなるような服装をする必要があるとチャンは指摘する。
また、天気予報アプリに表示される気温ではなく屋外での実際の体感温度を知るために、風冷指数のチェックも忘れてはならないとブロシエは述べている。 これもランニングの服装を決めるのに役立つはずだ。
寒い時期に走った経験があるなら、体の末端の部位が凍るように冷たくなったり、かじかんだりするのを防ぐために、手、耳、頭をカバーしなければならないということは承知しているだろう。 頭と手足は熱がすぐに逃げやすい部位であることを考慮し、ネックカバーや手袋といった必須のアクセサリーを忘れないようにしよう。 寒い気候への対応の仕方は人それぞれで、必要な重ね着の程度も異なる。いろいろと試して、心地よく走るのに必要な衣類の量を見極めよう。
2. 必ずウォームアップをする
ランニングの服装が整ったら、次は走るための準備だ。 天候にかかわらず、ウォームアップは是が非でも行うべき。 運動に備えるために、心拍数を上げ、筋肉の温度を高めて、可動域いっぱいに関節を動かせるようにする。 適切に行えば、ウォームアップが終わる頃には軽く汗をかくはずだとブロシエ。
寒い季節はさらにメリットがある。 ウォームアップをすることで暖かく感じるようになるので、寒さに体が順応しようとする最初の数分間のつらさが軽減されるとチャンは述べている。
3. 体の声を聞く
天候に応じて走る距離やワークアウトの内容を変える必要があるのではないだろうかと思うかもしれないが、チャンによればその必要はなく、むしろ体の声を聞くことが大事だという。
「寒い中でのランニングは、最初の数回は体が順応しようとしている段階なので、いつもよりきついと感じるかもしれません。だから、スピードを落としたり、早めに切り上げる必要があると感じるときは、その体の声に従うことが大切です」
フォームについて言えば、猫背になったり体がこわばったりしていることに気付くかもしれない。 これは寒い環境に置かれたときの自然な反応。フォームを意識して、リラックスした状態を保ち、正しいランニングメカニクスを維持することを目指そう。
最初の数回のランニングがきつすぎると感じた場合にチャンが勧めるのは、長距離ランを複数回に分け、短めのランニングを行う方法。こうすれば、寒い空気にさらされる時間を減らしつつ、同じ走行距離を確保できる。
4. クールダウンを忘れずに
ランニングの後は、できるだけ早く屋内に入り、乾いた衣服に着替えて、暖かい部屋でクールダウンを行うよう、チャンはアドバイスする。筋肉は、温まるとストレッチの効果が高まるからだ。 ランニング後の栄養と水分の補給も必須。
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ランニングの効果を最大限に高めるには、成功のための土台を作らなければならないとチャンは言う。 つまり、休息、リカバリーワークアウト、栄養豊富な食事、適切な水分補給が欠かせないということだ。 また、前述したように、適切に装備できるかどうかがランニングの成否を分ける。
自覚的運動強度を意識し、力ずくでやり通すのではなく、日々の感覚に応じてランニングの強度を変えることで、その日に何を「成功」とするかを決定しやすくなると、チャンは話す。
文:タマラ・プリジット