ローテーターカフの効果的な鍛え方をご紹介
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ローテーターカフの4つの筋肉を鍛えて怪我を防止するために効果的な10種類のエクササイズをチェックしよう。
あなたはローテーターカフ(回旋筋腱板)を知っているだろうか?ほとんどの人は気にしておらず、ましてや、いたわることなどないパーツだろう。
「この筋肉群は、肩の最も重要な部位の一つです」そう語るのは、APTA認定理学療法士、 理学療法博士、 博士、Spark Healthy Runner創設者であるデュアン・スコッティだ。「ローテーターカフは4つの大きな筋肉と腱から成り、物を持ち上げたり、腕をさまざまな方向へ伸ばしたりするのをサポートします」。
つまり、ローテーターカフは日々の活動やフィットネス目標の達成のために極めて重要な役割を担っている。
「肩関節は、人体で最も可動性の高い関節です」とアレクシス・シュープは言う。彼はAPTA認定理学療法士であり、 理学療法博士、 O.C.S.、 C.S.C.S(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)の資格を持つ、PIONE3R Physical Therapy & Wellnessの創設者だ。「そのため、筋肉によって安定性を確保する必要があります。 そこで重要な役割を担うのが、肩関節に直接結合しているローテーターカフです」
日常のシンプルなタスクも、ローテーターカフがなければほぼ不可能だ。 この部位はたとえば、背中でブラのストラップを留めたり、髪をブラシでとかしたり、ボールを投げたり、テニスのラケットをスイングしたり、高い戸棚から物を取ったりするときに機能する。
ローテーターカフを構成する筋肉
ローテーターカフは1つのものだと思われがちだが、実際には4つの筋肉からなり、それぞれに固有の機能がある。 ローテーターカフを構成するのは以下の4つの筋肉だ。
棘上筋:肩の最上部にあり、腕を横に上げる外転の動きをサポートする。
棘下筋および小円筋:肩の背面にあるこの2つの筋肉が連動し、上肢と胴をつなぐ肩関節(球関節と呼ばれることも多い)を安定させ、外方向への動きをサポートする。 この関節は、腕をあらゆる方向へ動かせるようにする役割を担っている。
肩甲下筋:肩の前面にあるこの筋肉は、背中に手を伸ばすときの内転の動きをサポートする。
「日常生活で意識することはないかもしれませんが、間違いなくこれらの筋肉を使っています」とシュープは言う。 「肩にはもっと大きな筋肉もあり、それとは別にローテーターカフを鍛える人はほとんどいません。しかし、この部位を鍛えることには大きなメリットがあります」。
ローテーターカフを鍛えることがなぜ重要なのか?
ローテーターカフの怪我は珍しくない。「肩の痛みの原因はローテーターカフ症候群またはインピンジメント症候群である場合が最も多く、この部位の怪我や使いすぎは痛みや障害を引き起こします」とスコッティは言う。
彼によると、この怪我の原因はさまざまで、転倒時に手すりにつかまったことなどにより生じた外傷である場合や、単なる使いすぎの場合がある。 「使いすぎによって、ローテーターカフの筋肉や肩甲骨に結合している筋肉が弱くなり、90度または肩より上の高さで腕を繰り返し動かす際の運動パターンに異常が生じます」とスコッティは述べている。
このような筋肉の衰弱は、加齢によって生じる場合もあるが、重いものを繰り返し持ち上げる人や、腕を頭上に上げるスポーツ(野球、テニス、バスケットボール、ゴルフ、水泳など)をするアスリートによく見られる。
そのため、この筋肉群を鍛えることには、長期的に見てメリットがある。 以下では、スコッティとシュープがおすすめする、自宅でできるローテーターカフに最適なエクササイズを紹介する。
このエクササイズによって痛みが生じたり肩の痛みが悪化したりしないよう気をつけよう。 肩に何らかの違和感がある場合は、この運動を試す前に、医師や有資格の医療専門家に相談しよう。
ローテーターカフを鍛えるためのエクササイズ
1.プッシュアッププラス
腕立て伏せの姿勢になる。膝をついてもよい。 背筋を伸ばしたまま、体を下げる。 体を持ち上げたら、プラス記号を描くように、背中を押し上げて左右の肩甲骨を離し、元に戻す。
これを10~15回繰り返し、2~3セット行う。
鍛えられる筋肉:棘上筋、棘下筋
2.うつ伏せ水平外転(プローンT)
床にうつ伏せになり、腕を90度広げる。 両腕を床から上げて、左右の肩甲骨を近づける。 始めの位置までゆっくりと腕を下ろしていく。 「腕を高く上げすぎる必要はありません」とシュープは言う。
これを10~15回繰り返し、2~3セット行う。
鍛えられる筋肉:棘上筋
3.ドアウェイストレッチ
出入口の真ん中に立ち、腕を水平にして、出入口の左右両側をつかむ。 肩より高く腕を上げないように。 背中を伸ばしたまま、つま先に重心を移し、前傾する。 肩の前面が軽く伸びる感じがするはずだ。 動きを止め、初めの姿勢に戻る。 伸ばしすぎないように気を付けよう。
これを10~15回繰り返し、2~3セット行う。
鍛えられる筋肉:棘上筋
4.側臥位外転
横向きに寝転がる。 下側の腕の手のひらに頭を乗せるか、下側の腕を伸ばして上腕に耳を当てる。 上側の腕を90度に曲げて、ウエストに手を当てる。 肘を90度に保ちながら、天井に向かって前腕を回転させる。 上側の腕が胴から離れないようにする。シュープによると、勢いよく動かすと離れてしまう場合がある。
これを10~15回繰り返し、2~3セット行う。
鍛えられる筋肉:棘下筋、小円筋
5.ハイロー
直立姿勢になり、腕を前方に向かって水平に上げる。 肘を伸ばし、肩甲骨を完全に前方へ突き出す。 肘を後ろに引き、それに連動させて左右の肩甲骨を近づける。 初めの姿勢に戻る。
これを10~15回繰り返し、2~3セット行う。
鍛えられる筋肉:小円筋、肩甲下筋
6.スキャプションショルダーレイズ
腕を体の横につける。 親指を立てて、腕を前方に30度動かす。 続いて、腕を肩の高さへ80度上げる。 その姿勢を2~3秒維持する。 腕を下ろして、体の横につける。
「初めは0.5~1.5kgの軽いダンベルやハンマーを使用し、筋力がついてきたら重さを増やしましょう」とスコッティは言う。
これを8~12回繰り返し、2~3セット行う。
鍛えられる筋肉:棘上筋
7.バンド/ケーブルカラム外転
直立姿勢になり、腕に小さなタオルを巻く。 そうすると、肘と体の間にわずかにすき間ができる。 バンド/ケーブルカラムに対して垂直方向を向き、バンドから遠い方の手で取っ手をつかむ。 腕を90度に曲げて、手が胸の横に来るまで腕を外方向に回す。その状態を1秒保持し、2秒かけて腕を初めの位置へ戻す。
「このエクササイズ中は、背骨やヒップを回転させてはいけません」とスコッティは言う。 「また、この運動では2つの小さな筋肉を使うため、高負荷のバンドやケーブルである必要はありません」。
必要に応じて、これを10~15回繰り返し、2-3セット行う。
鍛えられる筋肉:棘下筋、小円筋
8.バンド/ケーブルカラム内転
直立姿勢になり、腕に小さなタオルを巻く。 バンド/ケーブルカラムに対して垂直方向を向き、バンドから近い方の手でハンドルをつかむ。 腕を90度に曲げて、手が腹部に触れないようにしながら、腕をへその方へ内方向に回す。 その状態を1秒保持し、2秒かけて腕を初めの位置へ戻す。
「大胸筋を使って、肘が体の前を横切るように内方向に動かしてはなりません」とスコッティは言う。 「上腕骨の下にほうきの柄が伸びている状態をイメージし、それを軸に腕を回転させます」。
これを10~15回繰り返し、2~3セット行う。
鍛えられる筋肉:肩甲下筋
9.テニスボールウォールサークル
壁に手が届く位置に立つ。 肩の高さに腕を上げ、手のひらでテニスボールを壁に押し当てる。 このとき、肘を曲げてはならない。 前傾することなく、ボールに軽く圧力をかける。 小さな円を描くようにボールを時計回りに動かし、次に反時計回りに動かす。
「このエクササイズは、関節窩の内側で上腕頭を安定させるための、4つすべての腱の安定性と圧迫力に重点を置いています」とスコッティは言う。 「スタビライザーの役割を果たすこれらすべての筋肉を使うと、じわりと熱さを感じるはずです」。
これを10~20回繰り返し、2~3セット行う。
鍛えられる筋肉:回旋筋腱板の4つすべての筋肉
10.ケトルベルまたはダンベルを使った片腕ミリタリープレス
直立し、片方の足を前に出す。 体幹に力を入れ、手にウェイトを持ち、腕を90度に曲げて肩の高さに上げる。 ウェイトを頭上に上げ、1秒維持する。 ウェイトをゆっくりと肩の高さに下ろし、2秒維持してから、もう一度上げる。
「この運動は、ローテーターカフの4つすべての筋肉を鍛え、高度に発育させることに重点を置いています」とスコッティは言う。 また、この運動によって痛みが生じないよう注意しなければならない、と付け加える。
これを8~10回繰り返し、2~3セット行う。
鍛えられる筋肉:ローテーターカフの4つすべての筋肉
文:フェイス・ブラー