ワークアウトの効果が表れるまでにどれくらい時間がかかるか?
スポーツ&アクティビティ
筋肉の増強、脂肪の燃焼、持久力の強化を目的としたワークアウトの効果を見極めるために役立つガイドラインをチェックしよう。
新しいワークアウトプランを始めるのはワクワクするものだ。 フィットネス初心者にとっても、トレーニングのルーティンを変えて新たな目標を目指す人にとっても、気になるのはワークアウトの効果が表れるまでにかかる時間だろう。
残念ながら、この疑問に対して誰にでも当てはまる回答はない。 フィットネスの効果は、ワークアウトのタイプ、セッションに費やす時間と労力、全体的な生活習慣によって異なるからだ。
しかし、効果を見極めるために役立つ一般的なガイドラインはある。
重要なのはワークアウトプランのタイプ
健康づくりの目標としてよく掲げられるのは、筋肉の増強、脂肪の燃焼、持久力の強化の3つだ。 このいずれかを目標としている人は、効果が表れる時期について、以下のことを覚えておこう。
フィットネスの目標:筋肉の増強
筋肉をつけるためのボディビルワークアウトプランに取り組む人は、筋肉の増強には時間がかかることを理解する必要がある。 これは一晩で達成できることではない。生理学的に複雑なプロセスであり、 ジムで根気を持って粘り強くトレーニングに励む必要がある。
たとえば、『European Journal of Applied Physiology』に掲載された2017年の無作為化比較試験では、 トレーニング未経験の初心者が筋肉を増強するのにどれくらい時間がかかるかを測定した。 被験者は週2回のエクササイズを4週間行い、セッションの度にウェイトを重くして筋肉に徐々に過剰な負荷をかけていった。 4週間後、筋肉は確かに増加したが、その増加量は超音波を使わなければ検出できないほどわずかなものだった。
また、『International Journal of Exercise Science』に掲載された2016年の研究では、トレーニングを行っていない人を対象に、筋肥大(筋肉の成長)の速度を調べた。 週3日のトレーニングを8週間行った後の、被験者の除脂肪筋肉量の増加率は約2%だった。
実際には、筋肉を増強するにはトレーニングを12週間程度継続する必要があるようだ。 『Journal of Strength and Conditioning Research』に掲載された2012年の研究では、筋肉量の有意な増加が認められるまでには平均で3か月かかることが分かった。
つまり、これらの研究によると、継続的にトレーニングすれば4週間ほどで筋肉が増え始めるが、 3か月継続しなければ明らかな筋肉量の増加は見込めないのだ。 また、ウェイトリフティングだけでは最大限の効果は得られない。筋肥大には他にも以下の3つの重要な要素が関わっている。
筋肉の増強を後押しする4つの重要な要素
1.食習慣
次の質問について考えてみよう。どれくらいの量の食事をしているか? どのような構成の食事をとっているか? タンパク質と水を十分に摂取しているか? これらの要素によって、筋肉が利用できるエネルギーの量と種類が変化する。
たとえば、『International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism』に掲載された2018年の研究では、同じ筋力トレーニングのルーティンを行った場合、低タンパクの食事をとったグループより高タンパクの食事をとったグループの方が筋肉の増加量が多かった。
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2.睡眠
筋肉はトレーニングによって損傷し、睡眠中に修復される。 質の良い睡眠を十分にとらなければ、筋肉は回復せず、タンパク質合成は起こらない。
さらに、睡眠不足は筋力と持久力に悪影響を及ぼすため、その状態でワークアウトを始めても、 筋肉増強のための飛躍的な進歩は見込めないだろう。
3.遺伝
『Journal of Applied Physiology』に掲載された2008年の研究では、遺伝が筋肉の増強にどのように関係しているかを調べた。 結果、サテライト幹細胞を多く保有している被験者は、16週間のトレーニングプログラムで大腿四頭筋の大きさを50%増やすことができた。 一方、サテライト幹細胞密度の低い参加者は、大腿四頭筋の肥大は確認されたものの、その増加量は少なかった。
重要なのは、自分の体格や遺伝的体質に合ったプランでトレーニングをすることだ。 その簡単な方法として、パーソナルトレーナーが作ったワークアウトプランを利用するとよい。
4.トレーニング方法
筋肉を増強するには、徐々に過負荷を大きくしていくのが最も効果的だ。 つまり、トレーニングの強度を継続的に高める必要がある。 同じウェイトで、同じ回数、同じセットのトレーニングを何週間続けても、筋肉は新しい刺激を受けず、変化しない。
フィットネスの目標:減量
減量が目標の場合は、ワークアウトプランと食習慣の調整を組み合わせる必要がある。 食習慣を調整すれば、マイナスのカロリー収支(カロリー摂取量よりカロリー燃焼量の方が多い状態)を達成しやすくなるからだ。 習慣的に過剰なカロリーを摂取している場合、どれだけエクササイズをしても減量効果は得られない。
一般的な目安として、1日に500kcalを消費すれば、1週間で脂肪が約450g減少する。 しかし、科学はそれほど単純ではない。 一様に1日あたり500kcalを消費しても、1週間で得られる減量効果は人によって異なる。 このマイナスカロリー収支のルールには、性別、アクティビティレベル、身長、体重、食習慣、健康状態の違いが加味されていないのだ。
たとえば、甲状腺機能低下症を患っている人は、体重が減りづらい。 同様に、体重の多い(骨密度が高いまたは脂肪や筋肉が多い)人が脂肪を燃焼する状態になるためには、500kcalを消費するだけでは足りない場合がある。
しかし、一般的には「1週間に約450g」というルールが健康的な減量目標とされており、減量のためにワークアウトに取り組む人にはおすすめだ。
フィットネスの目標:持久力の強化
心肺持久力と体力の強化は、スポーツのパフォーマンス向上に欠かせない。 筋肉の増強や減量とは異なり、持久力の強化に関しては、結果を左右する注意事項や条件がほとんどない。 そのため、有酸素運動の効果が表れる時期の目安は比較的簡単に示すことができる。
調査によると、30分以上の有酸素持久力トレーニングを週3回行えば、8〜12週間で有酸素能力を強化することができる。
他の目標の場合と同様に、持久力を強化する場合も継続的にワークアウトに取り組む必要がある。 体は時間をかけて変化するものだからだ。 体力が向上する際には、筋肉の毛細血管密度(すなわち、筋肉に運ばれる酸素の量)が増え、結果として最大酸素摂取量(VO2 Max)が増加する。 このプロセスによって持久力が強化されるが、それには時間がかかるため、根気よく続けることが重要だ。
結論
どんなワークアウトプランでも、望みどおりの成果を得るための最善の方法は、継続することだ。 ただし、効果を実感できてもできなくても、習慣的なワークアウトが心身に良い影響を与えるということを覚えておこう。
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