同じワークアウトルーティンを繰り返すべき?
Coaching
毎日のランニングやプッシュアップチャレンジは、適切に取り組めば、モチベーションを高め、進歩のスピードアップにつながる。その方法を紹介しよう。
- 一定の日数(数週間または数ヵ月間)にわたり、毎日同じアクティビティを行う連続ワークアウトに取り組むと、毎日運動する習慣が身につく。
- 連続ワークアウトは注意して取り組まないと、けが、筋肉のアンバランス、精神的疲労を引き起こすリスクもある。
- 同じワークアウトを繰り返すのが性に合わないという場合は、多様なエクササイズの宝庫であるNTCアプリをチェックしよう。
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実際に試してみたことはなくても、「連続ワークアウト」という言葉を聞いたことはあるだろう。30日連続スクワット、1ヵ月プランクプッシュ、毎日5Kを走るチャレンジなど。一定期間中に毎日同じワークアウトを繰り返すトレーニング法は、以前からそこそこの人気があった。勢いづくきっかけになったのは、パンデミックによる「自宅でのワークアウト」への移行だ。
毎日繰り返すことのメリット
連続ワークアウトが支持されるのは、達成の証明が容易だからだ。短期間に設定された時間ベースのチャレンジは、やるべきことが明確なので特に考えることなく取り組める。また、終わりが決まっていることもポイントだ。『The Champion’s Mind』の著者でもあるジム・アフレモウ博士(スポーツ心理学専門)は、期限を設けることで集中力が高まると説明する。「多くのジムがこうした期限付きのプログラムを実施しているのは、終点を決めておくことで、どんな目標でも測定と達成の到着点が定義できるようになるからです。最終的な目標からマイルストーンを設定し、少しずつ目標達成に向けて進んでいけます」また、連続ワークアウトは定期的にSNSで努力をシェアする絶好のチャンスであり、ワークアウト終了まで正直な自分を見せられる。
ワークアウト初心者にとって、連続ワークアウトはただのルーティンに思えるかもしれない。だがロンドン在住の運動生理学者であるトム・コーワンは、同じ動きを毎日続けることにもメリットはあると言う。「一つのチャレンジに取り組むことは、よりアクティブな生活に向かうモチベーションを高めてくれることにつながります。こうした新たな意欲がわくことで、多くのメリットが生まれます。連続ワークアウトを行うと勢いが生まれ、エクササイズ全般を日課にしやすくなります。そして同じ動きを数週間続けると、上達を実感できるのです」一貫性、そして仲間とのつながりが効果を生むのだ。
毎日繰り返すことのデメリット
特定のスキルが向上する一方で、体は多くの反復運動による負荷を耐えなければならなくなる。やり過ぎ、キツ過ぎ、速すぎなど、限度を超えてしまう問題も発生しやすい。リカバリーのために休日を設けないことも、疲労やけがのリスクを増やすとコーワンは警告する。たとえば正しいフォームをマスターせずに1日30回のプッシュアップを30日間続けようとすれば、スタート時の準備不足がけがのリスクを上昇させる。そして停滞期に陥りやすいという問題もあるだろう。同じ動きを繰り返していれば、体が慣れて難しさを感じなくなり、適応をやめてしまうのも当然だ。一般的な見解によると、連続ワークアウトの3-5週間でそんな停滞期が訪れる。連続記録の目標に設定しがちな「1ヵ月間」のチャレンジを検討する前に、そうした事実を考慮しておくべきだろう。
身体的な課題だけではなく、精神面の疲労もある。同じワークアウトを毎日繰り返していると、取り組みへのモチベーションが失われていくことがあると、アフレモウ博士は指摘する。長期的な進歩を目指す場合、これは妨げになる。
チャレンジを楽しく続けるには
同じエクササイズを毎日続けるメリットとデメリットを理解し、その上でチャレンジをスタートさせるなら、せめて適切なやり方で進めよう。上記の問題を防ぐためのヒントを以下に紹介する。
1. 簡単にできることからスタートする。
真夜中にInstagramで見つけると最高のアイデアに思えるかもしれないが、実際のところ、自分がこのチャレンジを達成できる可能性はどのくらいなのかをよく考えてみよう。コーワンは次のようにアドバイスする。「まずは、無理せず楽に達成できるレベルから始めてみましょう。毎日5K走る連続ワークアウトを始めたいけれど、普段は2Kしか走っていない場合、まずは2Kからスタートし、心肺系や筋持久力の向上に合わせて、毎日の距離を少しずつ増やしていきましょう」
コーワン氏はまた、フィットネスレベル以外にも考慮すべき点があると指摘する。「チャレンジに取り組むだけの十分な時間はあるのか。またチャレンジを続ける際に問題となりそうな怪我の経験はないか。そんな条件も振り返ってみる必要があります」
2. 全身のトレーニングを目的にする。
これは特に1つの動きを続けるチャレンジにおいて重要だ。「同じレジスタンスエクササイズを毎日続けると、特定の筋肉群の筋力はアップするかもしれませんが、他の筋肉への効果はありません。同じ動きを続けるほど、体のアンバランスと姿勢の崩れにつながることもあるのです」とコーワンは説明する。このような変化は、最終的にけがを引き起こす可能性もある。
筋力トレーニングの観点から言えば、全体のプランは主要筋肉群すべてを鍛えるものでなければならない。「30日間のスクワットチャレンジがしたいなら、是非やってみましょう。ただし週に少なくとも数日は、片足デッドリフトやカーフレイズも組み合わせ、バランスの取れた下半身ワークアウトにしてください」とコーワン氏は提案する。そして、上半身とコアを鍛える筋力エクササイズも組み入れてみよう。プルアップ、プッシュアップ、ランジなどを1ヵ月間続けるチャレンジでも、総合的なアプローチは重要だ。
3. アプローチを変え続ける。
同じ動きに、違ったメンタルアプローチで取り組んでみよう。「たとえば自己ベストを目指して全力で5Kを走ったら、次の日はアクティブリカバリーとして走ってみましょう。背中に当たる日差しや頬をなでる風を感じながら、今に集中するのです」とアフレモウ博士は語る。この方法の素晴らしいところは、単調になりがちなチャレンジにマインドフルネスの要素と新鮮な動機を取り入れられることだ。
これは単一動作を繰り返す他のチャレンジでも可能だ。バーピー、プランク、プッシュアップを、木陰や普段と別の部屋でやってみるのもアフレモウ博士のおすすめ。時には景色を変えるだけでも、新鮮な気分が味わえたりするものだ。
4. 簡単なことを続けてみる。
日常生活に取り入れる連続ワークアウトは、難しいものや見栄えがするものでなくても構わない。ストレッチやヨガを続けるワークアウトで、柔軟性のトレーニングを強化させてもいい。これがカーディオや筋力トレーニングセッションを補完することになったりもする。あるいは毎日早歩きで散歩すれば、大きなプレッシャーを感じたり、体に大きな負担をかけずに毎日の運動を促進できるとコーワンは語る。
5. レベルを上げる。
どんな運動を選んでも、継続的な効果を得るためには、慣れてきた頃に変化を加える必要がある。「エクササイズを徐々に進化させることにより、筋力とフィットネスのさらなる向上を継続することができるのです」とコーワンは説明する。これは、プログレッシブオーバーロードと呼ばれる手法だ。
たとえばスクワットなら、基本の動きをマスターしたら、次はどこまで速くできるか、何回できるか、どこまで負荷を増やせるかといったテーマで挑戦してみよう。エアスクワット、スプリットスクワット、スクワットジャンプ、片足スクワットなど、可能性は無限に広がる。さらに細かく見れば、バーピーにだってスクワットの要素は入っている。ヨガのセッションを2週間続けたら、次はペースが速いクラス、遅いクラス、時間が長めのクラスにも挑戦。自信がついたら、高度なポーズも楽しもう。しっかりと自分の体の声を聞いていれば、適切な選択ができるはずだ。
重要なのは、ただチャレンジを選んで続けていくだけではなく、自分自身に挑戦し続けることだ。連続ワークアウトのほかにも、パンデミックから学んだことがあるとすれば、それは「私たちは自分が思っているよりも強い」という事実だろう。
文:アンドリュー・ナギー
絵:グラシア・ラム
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