プロネーションとサピネーションの違いとは
スポーツ&アクティビティ
下半身の関節の仕組み、特にプロネーションとサピネーションの違いを理解しておくと、適切なシューズ選びとけがの予防に役立つ。
プロネーション(回内)とサピネーション(回外)は、前腕と足という体の2つの部位の関節の正常な動きだ。 ただし、特に足でプロネーションやサピネーションが過剰になると、問題に発展するおそれがある。
ランナーはとりわけ、オーバープロネーションやオーバーサピネーションに要注意だ。どちらも足の運びに影響を与え、下半身の運動プロセスに問題が生じ、けがにつながる可能性があるためだ。
プロネーションとは?
上半身でプロネーションの状態になるのは、肘を90度曲げた状態で、手首関節を内側に回転させて手のひらを下に向けたときだ。 そうすると、橈骨と尺骨(前腕の2つの骨)が交差する。 ドアノブを回す動きは、前腕のプロネーションの一例だ。
下半身のプロネーションとは、足が内側に傾く自然な動きのこと。 足首の真下にある距骨下関節で起こる。
足を前に踏み出すときに、体重がかかとから前方に移り、母指球に体重が乗るとわずかに内側に傾く。親指の力を借りて、母指球で体を前に押し出すのだ。 American Academy of Orthopaedic Surgeons(米国整形外科学会)は、この状態を正常なプロネーションと説明している。
正常なプロネーションでは、内側への足の傾きは15%以内であり、蹴り出す前の一瞬、足の裏全体が地面に触れる。
オーバープロネーションに最適なシューズ
オーバープロネーションがある場合は、スタビリティシューズかモーションコントロールシューズの購入を検討するとよいだろう。 程度の差はあれ、足の動きをコントロールでき、けがのリスクを最小限に抑えられるシューズだ。
- スタビリティランニングシューズは、オーバープロネーションの人におすすめ。 ミッドソールで足のアーチをサポートするデザインで、サポート範囲をかかとまで広げたものもある。
- モーションコントロールシューズは、深刻なオーバープロネーションに悩んでいる人に最適だ。 ミッドソールでアーチをサポートするだけでなく、ヒールカップでもサポート性を発揮する。
足運びのプロセスを適切にサポートするシューズを履けば、日々のアクティビティを快適にこなせるようになり、スポーツのパフォーマンスも向上する。 たとえば、12週間にわたり226人を対象に行われた調査では、安定性とモーションコントロール機能を備えたナイキ リアクト インフィニティ ランを履くことで、ランニングによるけがのリスクが52%低減した。
サピネーションとは?
肘を90度曲げた状態で、手首関節を外側に回転させて手のひらを上に向けると、サピネーションの状態になる。 腕の力を抜いて脇に垂らした姿勢では、サピネーションによって手首が回転し、手のひらが前を向く。
下半身のサピネーションは、足が外側に傾く(内がえし)正常な動きだ。 ランニングの際は、体重を前に移す段階で、かかとが地面を離れ、体重が足の外側のへりに乗るときに、サピネーションが起こる。
サピネーションに最適なシューズ
サピネーション(アンダープロネーション)に対応するシューズを購入するとなると、ハイアーチに対応するシューズを選ぶことが多い。 通常、特にミッドソールのクッション性が優れたシューズを選ぶとよい。 トゥボックス(つま先部分)が広いシューズも、足をサポートし、衝撃を吸収してプロネーションの動きを助けてくれるのでおすすめだ。
ナイキ エア ズーム ペガサスやズーム ボメロといったニュートラルシューズは、衝撃吸収性、クッション性、土踏まずや足首のサポート性に優れている。 また、ナイキ リアクト インフィニティ ランは、トゥボックスが広めで抜群の安定性を発揮する。
よくある質問
オーバープロネーションやアンダープロネーションは矯正できるか?
オーバープロネーションやアンダープロネーションに関連するけがは、エクササイズで予防できる。 たとえば、プロネーションの傾向がある場合は、足首が倒れないニュートラルなプロネーションを保ったまま、カーフレイズや、スクワットなどの自重エクササイズを行うとよい。
アンダープロネーション(サピネーション)の傾向がある場合は、アキレス腱のストレッチや内ももの筋力強化が効果的だ。 オーバープロネーション、オーバーサピネーションのどちらの場合でも、理学療法士に相談して、けがの予防にぴったりのエクササイズを見つけるという手もある。
オーバープロネーションやアンダープロネーションであるかを判定するテストはあるか?
ウェットフットテストで、オーバープロネーションまたはアンダープロネーションの判定ができる。 コンクリートや紙など水分を吸収する表面の上を濡れた足で歩き、 足跡をチェックする。
- 足全体の輪郭が確認でき、土踏まずの跡が濃い場合は、オーバープロネーション。
- 土踏まずの部分が非常に薄いか、母指球の後ろが切れている場合は、アンダープロネーション。
- 土踏まずの部分がわずかに狭くなっている場合は、正常な状態と言えるだろう。
オーバープロネーションやアンダープロネーションは前腕で問題に発展することはあるか?
プロネーションやサピネーションによる前腕の問題は、通常、関節が過剰に回転することよりも、回転の範囲が狭くなることで生じる。 前腕の正常な回転角度は、プロネーションが約75度で、サピネーションが約85度。 多くの日常活動は、プロネーション、サピネーションとも50度の範囲で行われる。 プロネーションまたはサピネーションの回転角度が30度以上狭くなると、肩を大きく回転させなければならなくなるため、この状態が慢性的になれば、問題を引き起こす可能性がある。