姿勢を改善する5つのエクササイズをエキスパートが伝授
スポーツ&アクティビティ
エキスパートお墨付きのエクササイズで生き生きとした姿勢を身につけよう。
正しい姿勢を身につけることが背中の健康には欠かせないと、エキスパートは口をそろえる。 猫背にならずに背すじを伸ばして座るよう常に意識するのはもちろんだが、姿勢の改善に役立つエクササイズが数多く存在することを知っておくのも大切。そのようなエクササイズは誰にでも効果があるという。
「組織や筋肉は、自分がとる姿勢に順応します」と話すのは、Nike Well Collectiveトレーナーであり、NASM-PESおよびUSATF認定ランニングコーチの資格を持つダレン・トマッソ。 「パソコンを置いた机の前に座った状態で一日の大半を過ごしていると、体はその姿勢に適応していきます。肩は前に出て丸まり、頭は前に突き出る。骨盤は倒れ、脊椎は圧迫された状態になります」
さらに、姿勢が変わると筋力のアンバランスが起きるおそれもあると付け加える。 これが筋肉群の機能低下を引き起こし、可動域が制限されて、日々のアクティビティやワークアウトを行う際に痛みや違和感が生じる原因にもなるのだ。
そこで、姿勢の改善に効果のあるエクササイズをルーティンに加えてみよう。以下に紹介するエクササイズはそれぞれ体の異なる領域を対象としているので、可能であればすべて行うのがベストだ。
姿勢を改善する5つのエクササイズ
1.腹式呼吸
理学療法博士のジェン・フラボーニは、腹式呼吸をすると姿勢の改善につながると話す。
「下部胸郭と横隔膜を使う効果的な呼吸法が身につけば、無理に肩を後ろに引いたり腰を反らせたりしなくても、自然と肩が腰の真上に来るようになります。 下部胸郭が横方向に広がることで胸がゆっくり持ち上がり、背すじが伸びてリラックスした姿勢で座れるようになります」
また、鼻からの呼吸に集中することで、副交感神経が優位な状態に切り替わり、「休息し、リラックスした」状態になる。 こうすることで気分が落ち着くと、フラボーニ博士は言う。
方法:
- 肩を下ろしたまま、鼻からのゆっくりとした深い呼吸を2分間続ける。
- パソコンなどの画面を長時間見続けることで前かがみになり、猫背になった姿勢を何とかしたいという人もいるだろう。 首周りが緊張しないように、首もリラックスさせること。
- 腹式呼吸では、息を吸うときに胸郭の広がりを感じることがポイントだ。
2.座った姿勢での背面上部の回転
座った姿勢で背面上部をねじるエクササイズも、姿勢の改善にとても効果がある。
博士はこう語る。「背中の上側をねじる動きを強化すると、背面上部を広げる動きも改善されます。 回転と拡張という2つの動きが良くなると、一日中パソコンに向かって座っていることで前かがみになっていた猫背の姿勢が改善されます。ちょっとした運動で、自然に背すじを伸ばして座れるようになるのです」このエクササイズが重要なのは、背面上部をねじる動きと広げる動きを組み合わせることで、背骨が前方に傾いて曲がった体を逆方向に動かせるようになるからだと、博士は説明する。
方法:
- 背すじを伸ばして椅子に座るか、床の上で脚を組んで座る。
- 背すじを伸ばしたまま背中の上側が右を向くように体をねじり、楽にできる範囲で右腕を体の左側に伸ばす。右腕は地面と平行になるようにキープし、目線は後ろに送る。 反対側の手はひざに置いておく。
- ゆっくりと左右を切り替える。息を吸いながら体をねじり、吐きながら反対側にねじる。
3.ウェイタープルズ
トマッソによれば、ウェイタープルズが姿勢改善に役立つのは、胸筋のストレッチ効果があり、肩の筋肉を動かせるだけでなく、背面上部の筋肉(広背筋、菱形筋、僧帽筋の中部と下部など)を鍛えて背中を引き締め、背すじを伸ばす効果もあるからだ。
その理由についてトマッソはこう話す。「肘と手を後ろに動かすと、胸筋が伸びます。 胸が硬いと、猫背になりやすいんです」
また、ウェイタープルズは座った姿勢でも立った姿勢でもできる。仕事の合間にデスクを離れず取り組めるエクササイズだ。
方法:
- まず、両腕を前方に伸ばす。 手のひらは上向きのままにする。
- 次に、肘を脇に引き寄せ、肘の角度が90度になるようにする。
- 肘を体に近づけた状態で、腕をそれぞれ外側に開く。
- この姿勢を2~5秒キープする。
- この一連の動きを60秒間繰り返す。
効果が感じられない場合は、 姿勢をキープするときに、肩甲骨の間に鉛筆を挟んで胸を前方に突き出すイメージを持つといいとのこと。 また、上達して負荷を高めたくなったら、軽いレジスタンスバンドを手に持って行うようアドバイスする。 その場合は、両手でレジスタンスバンドの両端を持ち、外側に引っ張って内側に戻すという動きを繰り返す。
4.座った姿勢でのピジョンストレッチ
肩や胸椎などの上半身をターゲットにするエクササイズだけでなく、下半身にも目を向ける必要があり、特に腰の運動は姿勢の改善に効果的だとトマッソは強調する。 「座った姿勢でのピジョンストレッチが優れているのは、仕事中座ったままでいるために硬くなったお尻や腰の筋肉を伸ばせるからです」
またこのエクササイズは、脚を組んだりお尻を片側に傾けたりといった癖がある場合に生じる、体のアンバランスの緩和にも役立つ。
「脚を組むと、組み方の好みによってお尻が上下にずれ、わずかなアンバランスが生じます。 座った姿勢でのピジョンストレッチで反対側のお尻を伸ばせば、アンバランスの解消につながります」
方法:
- 椅子に座る。 左足を床につけた状態で、右脚を持ち上げ、右足首を左膝の上に置く。
- 上体を前に傾け、できるだけすねに近づける。
- この姿勢を3~5秒ほどキープする。
- 反対側も同じように繰り返す。
「お尻の外側と腰が緩むのを感じられるはずです」と、トマッソは言う。
5.頻繁に体を動かす
背中の筋肉組織を鍛える効果的な方法としてトマッソが最後に挙げるのは、とにかく体をよく動かすこと。 一般に、1日を通してより多く体を動かすことで、筋肉が凝り固まるのを防ぐことができ、血液循環が促進される。
「一日のノルマをこなすのに一杯のコーヒーが欠かせないのと同じように、軽めでもいいので運動を頻繁に取り入れれば、活力や集中力を維持できます」とトマッソは述べている。
これを実行するためにトマッソが勧めるのは、一日の間に体を動かすための短い休憩を頻繁に設けることだ(理想は1時間ごと)。長時間机に向かって仕事をする人にとって、この休憩は特に重要となる。 長時間にわたって座ったままでいると腰の筋肉が衰え、姿勢が悪くなる原因の一つになるからだ。
この休憩時間を利用して、姿勢の改善に役立つ前述のエクササイズを1つか2つ行ったり、早歩きで近所を歩いたり、階段を上り下りしたりするなど、体を動かしてみよう。
文:ジェシカ・エストラーダ