プリエのやり方をエキスパートが解説
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ダンスの基本動作、プリエをマスターしよう。
基本レベルのダンスなら、誰でも踊れる。 しかし、バレエのように伝統あるダンスのフォームをマスターしたいとなると、基本の習得が欠かせない。 プリエの習得もその一つ。プリエは基本的な動作であり、バレエレッスンの初目の段階で習うことが多い。
バレエのクラスやパフォーマンスによく取り入れられ、カーディオダンスのクラスでも採用されている。 AFAA認定ダンスインストラクターで、アイダホ州ガーデンシティのダンススタジオでオーナーも務めるケンドル・ニールソンは、クライアント向けのワークアウトにプリエスクワットをよく組み込むと言い、
「強度と複雑さのバランスを保てるところがいいんです」と語る。
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プリエにはある程度の技術の熟練が必要で、本格的なダンスに取り組むつもりなら、正しいフォームを身につけることが大事だと話すのは、マリ・レリン。 理学修士の資格をもつ、 N.A.S.M.認定パーソナルトレーナーだ。
この記事で、プリエについての予備知識、よくある間違い、プリエの動作をマスターするためのヒントをチェックしよう。
プリエとは?
プリエは、膝の向きとつま先の向きが常にそろうようにして膝を曲げる動きだと、レリンは説明する。 バレエのジャンプやターンで使われ、この動作によって弾みをつけたり、衝撃を吸収したりする。 プリエは、バレエの足の基本的な5つのポジションすべてで使われる動作だ。
レリンによると、プリエには次の2つの基本の形がある。
- ドゥミプリエ:かかとが地面から離れないぎりぎりのところまで膝を曲げる。体重はかかとと母指球に均等に乗せる。
- グランプリエ:ドゥミプリエより膝を深く曲げる。かかとを地面から浮かせ、体重は母指球に移していく。 太ももが水平になるまで股関節を開く。
「2つのプリエを別々に行うことも、動きをつなげて行うこともできます」とレリンは説明する。
ダンスでのプリエの役割とは?
プリエはダンスの「基本」だとレリンは言い、こう続ける。「ダンサーの動きの型を作る土台の要素が含まれます。筋肉を一定の状態で保ち、適切な姿勢を維持する方法を身につけるのに役立ちます。
また、プリエは跳躍や回転などの動きにも必要です。ジャンプ後の着地で衝撃をうまく吸収するのに欠かせません。」
正しい姿勢で踊るためだけでなく、けがのリスクを減らすためにもプリエの正しいフォームを習得する必要があるのだ。 プリエの正しいフォームを習得しないと、姿勢が崩れたり、膝を曲げる動作に支障が出たりするため、けがを引き起こしやすくなると、レリンは指摘する。
プリエによくある間違い
プリエは正しいフォームで行う必要がある。誤ったフォームでは、膝の関節に過剰な負荷がかかるリスクがある。 レリンは、次のような間違いをよく目にするそうだ。
- 膝の向きがそろわない。 プリエをするときは、「膝が常につま先の上に来るようにしなければなりません」とレリン。 つまり、膝を曲げるときに、つま先と膝の向きがそろうようにしなければならないということだ。
- 曲げ方が不適切。 腰、膝、足を適切に曲げる必要がある。
- 姿勢が間違っている。 「取り組むダンスの形によっては、上半身を上げ、腰を曲げないようにする必要があるかもしれません」とレリンは話す。 ただし、ダンスには多様な形式があり、「ルール」が当てはまらない場合もあるとも言う。 とはいえ、最初にこの動作を身につけるときは、背すじをまっすぐに保ち、けがを防ぐためにつま先と膝の向きをそろえた状態で膝を曲げることをおすすめする。
- 体が前に傾く。「背すじをまっすぐ伸ばした姿勢が望ましいです」とニールソン。 「前傾しないで、 重心を中央に保つようにしましょう。」
プリエの準備
まずはウォームアップとストレッチをするよう、レリンはアドバイスする。
「椅子やバーをつかんで、ペダルを踏むように足を動かすことから始めましょう。 脚を自由に揺らして曲げたり、上半身を曲げ伸ばししたりして、全身の関節を温めます。」
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足首やふくらはぎが硬くなりがちな人は、ランジの姿勢からふくらはぎのストレッチも行ったほうがいいと、レリンは言う。 「左右のかかとをそれぞれお尻まで上げて、太ももをストレッチしてもいいでしょう」とのことだ。
ただし、ウォームアップはあまり徹底的にやる必要はない。
「プリエはバレエクラスの最初の運動の一つなので、膝を深く曲げるグランプリエにいきなり移行するのでなければ、より複雑な動作に備えるウォームアップにもなると気付くはずです。」
レリンが推奨するのは、まず軽めのドゥミプリエから始めて、自分のペースでグランプリエに取り組むというアプローチだ。
また、アキレス腱、ふくらはぎの筋肉、膝、腰に支障がある場合は、プリエを正しいフォームで行うのが難しいかもしれないということは覚えておきたい。 その場合は、立った姿勢からゆっくり膝を曲げてドゥミプリエで様子を見るとよい。何らかの違和感や痛みがある場合は、それ以上膝を曲げないようにしよう。
プリエのやり方
レリンが説明する、バレエの伝統的なドゥミプリエのやり方は次の通り。
- 両足のかかとをつけ、左右のつま先をそれぞれ外側に45度開く。 これが、1番といわれるポジションだ。
- 膝を曲げていく。膝の向きとつま先の向きがそろうようにする。
- 膝を曲げるときも上半身が前を向くようにし、背すじをまっすぐに保つ。
「私は膝を曲げていくとき、エネルギーが脚の周囲でらせん状に働いていると想像するのが好きです。 この力のおかげで膝が外側に開き、骨盤が立つんです」とレリンは語る。かかとが地面から離れないぎりぎりのところまで膝を曲げよう。
ニールソンは、かかとに体重を乗せることを意識するようアドバイスする。 「重心を中央に保ちやすくなります」とのことだ。
グランプリエは、ドゥミプリエと同様のやり方で始めるが、一歩先の段階まで進む。
「上半身をまっすぐにし、膝とつま先の向きをそろえた状態を保ったまま、太ももがふくらはぎに触れるまで膝を曲げていきます」とレリンは説明し、膝を曲げるときと同じく、コントロールしながら元の姿勢に戻るようにしてほしいと付け加える。
繰り返しになるが、グランプリエではかかとが床から離れ、体重は母指球に移るとニールソンは言う。
腕の動きには、特に決まりはない。 「多くのダンサーは、膝を曲げるときに腕を左右に伸ばします」とレリン。 そうは言っても「自然に感じられ、背すじをまっすぐ伸ばし、正しい姿勢が保てる動きは試していい」と続ける。
プリエを完全に習得するまで多少練習が必要かもしれないが、それは問題ない。 ニールソンはこう語る。「初めはわからないことだらけで当然です。 一歩踏み出し、新しいことを始めるときに感じる不安を乗り越えましょう。」
文:コリン・ミラー